株式会社ヒューマンラボ
少数精鋭の研修会社が挑むマーケティング改革。
『日本の人事部』が、その機運を高めた
津田 陽一さん(株式会社ヒューマンラボ 取締役 マーケティング部長)
2020年以降、日本を襲ったコロナ禍はさまざまな企業に大きな打撃を与えた。法人向けに研修プログラムを提供する株式会社ヒューマンラボもその1社。そこで同社は、既存顧客だけでなく新規顧客の開拓に注力することを決め、『日本の人事部』との連携を進めている。その裏側を取締役 マーケティング部長 津田 陽一さんにお話をうかがった。
時代のニーズを先読みして研修プログラムを提供
まずはヒューマンラボの事業概要を教えてください。
当社は1996年に現在の代表を含む三人が立ち上げました。三人の人材開発ビジネスに従事していた経験を生かすべく創業し、25年以上の社歴を重ねています。
大阪を拠点としていますが、関東・中部圏を中心に日本全国にお客様がおられます。特定の業界や業種に偏らず、また一般企業だけではなく、大学や協同組合といったお客さまも含めて幅広いニーズにお応えしてきました。
お客さまへはどのような研修プログラムを提供されているのでしょうか。
世の中の情勢を踏まえながら、研修プログラムを開発・提供しています。例えば今、人材開発会社が答えるべき命題に、「これまでの成功体験が通用しないVUCAと言われる時代に、求められるリーダー像とはどのようなものか?」というものがあります。その答えとして、自分らしい価値観と強みを中心に据えたリーダーシップの形=「マイスタイル・リーダーシップ」を提唱し、その発見や発揮につながる研修を提供しています。
また女性活躍推進が叫ばれるようになってからは「女性活躍推進プログラム」を提供するようになりました。2008年から関西学院大学「ハッピーキャリアプログラム」の立ち上げ、運営に関わってきたノウハウを生かして、女性リーダー教育を体系化し、女性が自信をもってリーダーとして成長できる仕組みをつくれるようにお客さまを支援しています。
研修プログラムを提供する上でポリシーなどはありますか。
お客さまが実績や効果を創出できることは譲れないポイントです。特にコロナ禍になってから、研修会社を取り巻く環境は大きく変わりました。これまで対面で行われていた研修が見直されるようになり、お客さまの新たなニーズに応えることが求められています。
このような状況下で、当社はコンサルティング会社と研修会社の中間のような存在を目指しています。研修会社として培ってきたノウハウを生かして、コンサルタントのように企業の成長に関わっていく。それを踏まえて、最近では個別指導に近い形で座学と実践の機会を提供して社員の自律性を高めていく「個別指導型研修」や、デジタルの力で企業変革を実現する人材を育成する「実践型DX推進研修プログラム」などを提供するようになりました。
新規開拓を推進するために、『日本の人事部』と連携を図る
時代の流れを踏まえながら、ヒューマンラボはビジネスを展開していますが、あえて現在の課題を挙げるとすれば何ですか。
「顧客開拓」に尽きると思います。当社の強みの一つに「リピート率の高さ」があります。人材開発ビジネスの領域で活躍してきた創業者が、かつて開拓してきたお客さまから長年にわたり継続的に発注をいただいてきました。中途で入社した私からすると、このリピート率の高さは驚くばかりでした。
しかし、当社を支持してくださっているお客さまも、経営層の交代や担当者の異動などで徐々に変化しつつあります。そのため、近年はリピート率が徐々に下がっているのが実情です。
さらにコロナ禍が訪れて、先ほどお伝えしたとおり、お客さまも研修を見直すようになりました。大口だったお客さまも発注を控えるようになり、当社も方針転換を余儀なくされました。
そんななか、ヒューマンラボが『日本の人事部』をマーケティングパートナーに選んだ理由を教えてください。
最初は全国のHRソリューション企業の情報が網羅されたソリューションナビ上で、簡単な企業情報やサービスのみを掲載していました。しかし、現在はセミナー情報の掲載が中心となっています。
セミナーを中心にした理由は何ですか。
『日本の人事部』を知ったのは、当社に転職してきた社員からの紹介でした。2015年に初めて『日本の人事部』経由でセミナー集客を図り、それ以降単発的に利用させていただいてきましたが、本格的にお手伝いしていただくようになったのは最近のことです。
市場の変化に合わせて、新規の研修プログラムを継続的に開発するだけでなく、顧客開拓も継続的に行う必要に迫られていました。マーケティングパートナーになりうる企業を探しましたが、総合的に評価して『日本の人事部』にお願いすることにしました。
商圏を超えた顧客開拓が実現
『日本の人事部』を利用するメリットは何でしょうか。
まず実感しているのが、当社のマーケティングチームが主体的に行動するようになったことです。『日本の人事部』でオンラインセミナーを告知すると決めたら、内容や開催までのスケジュールなどを決めなければなりません。その過程で『日本の人事部』の担当者からサポートを受けつつ、自分たちで顧客開拓をするんだという気運が生まれてきたのは、大きな変化だと思います。
『日本の人事部』を利用することで、これまで接点がなかったお客さまからの引き合いが増えました。先日は、ある日本企業のフランス法人から引き合いがあったほどです。オンラインで発信することで商圏が日本だけではなく世界に広がることを実感しました。新たな市場のニーズに触れることで、研修プログラムの開発にもつながっています。
より一層の顧客開拓を進めるために
今後、どのような研修プログラムの提供を検討していますか。
現在提供している研修プログラムをブラッシュアップしつつ、「働く人たちが、自律的に働ける組織をつくる」ことを目的とした研修プログラムの開発を検討しています。具体的には日本企業にマッチする心理的安全性を高められる研修や、メンタルの強さを技術として捉える「社会的情動スキル」を高める研修などを考えています。
『日本の人事部』からセミナー集客テーマの提案を受けて実施したケースもあります。公開型の新人研修はその一つです。当社はこれまで、一般的なビジネススキルの習得を主眼とする研修プログラムはあえて避け、どちらかというと、ハイコンセプトな研修プログラムをメインとして市場に訴求してきました。しかし、『日本の人事部』からの中立的な視点での提案を受け、今後はもっと、お客様が参加しやすい公開型のスキル研修からまず体験いただくようなアプローチも試してみたいと思っています。
売り上げ増加に向けた踏み込んだ提案を期待
最後に、『日本の人事部』に期待することは何ですか。
新規開拓に向けた取り組みを始めて間もないこともあり、成果はこれからです。半年ごとにマーケティング予算を増やしながらトライアンドエラーを続けています。
今後は、見込み顧客リストの獲得だけではなく、『HRカンファレンス』からの商談化の秘訣や、セミナー集客の効果的な手法など、売り上げ増加に向けてさらに一歩踏み込んだ提案を期待しています。
最後に、今後の貴社のビジョンと『日本の人事部』に期待することをお聞かせください。
コロナ禍以降、当社の研修は「オンライン」という印象が強くなっていますが、オンラインに限らず「オフライン」でも提供できますので、その点はコミュニケーションを改善していきたいです。
その上で『日本の人事部』には、これまでと同様のマーケティングサポートはもちろん、メディアの知名度や信頼性を生かして「人事部の方々が集うコミュニティ」の立ち上げを期待したいですね。人事部の方々が何に困っているのかを共有できる場はなかなかありませんし、『日本の人事部』なら作れるのではないでしょうか。