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日本の人事部 LEADERS(リーダーズ)

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「人・組織・経営」研究の権威に聞く

「働きやすさ」だけでは伸びない、勝てない、生き残れない不確実性の時代に求められる人事の“競争戦略”とは

早稲田大学ビジネススクール 教授 内田和成さん

さまざまなリスクをはらむ不確実な環境下で、企業間競争は、さらに激しさを増しています。ともすると、自社の内側にばかり関心が向かいがちな人事パーソンも、そうした外の世界の嵐にもはや無関心ではいられません。大胆にリスクを取ってチャレンジできるリーダーや、何があっても生き残っていける本物の実力を持つ人と組織をつくるために、人事は何ができるのでしょうか。内外の市場とビジネスの栄枯盛衰を見つめ続ける競争戦略の権威として知られる、早稲田大学ビジネススクール教授の内田和成さんに、インタビュー。「優しいだけの環境では人は成長しません」――誰もが陥りがちな甘さやゆるさに、大いに活を入れていただきました。

早稲田大学ビジネススクール 教授 内田和成さん

Profile

うちだ・かずなり/東京大学工学部卒、慶應義塾大学経営学修士(MBA)。日本航空株式会社を経て、1985年ボストンコンサルティンググループ(BCG)入社。2000年6月から2004年12月まで日本代表。BCG時代は幅広い業界で、全社戦略、事業戦略、マーケティング戦略、IT、新規事業戦略など多岐にわたる分野のコンサルティングを行う。2006年4月より現職。競争戦略論やリーダーシップ論を教えるほか、エグゼクティブプログラムでの講義や企業のリーダーシップトレーニングを実施。三井倉庫社外取締役、キユーピー社外取締役など。著書に『ゲームチェンジャーの競争戦略』(日本経済新聞出版社)、『異業種競争戦略』(日本経済新聞出版社)、『仮説思考』(東洋経済新報社)、『論点思考』(東洋経済新報社)、『スパークする思考』(角川書店)、など多数。

不確実な時代に必要なのは正確な予測よりも強い“覚悟”

――従来型の将来予測では見通せない変化がいくつも重なりあい、企業を取り巻く環境はかつてないほど多様化・複雑化していると言われます。そうした“不確実性”を私たちはどう捉えるべきか、内田先生のご見解をお聞かせください。

確かに不確実な時代と言えますが、不確実だからこそ、先を見通そうとしたり、何が正解かを言い当てようとしたりすることにエネルギーを費やしても意味がない、というのが私の基本的な考え方です。では、何もしなくていいのかというと、もちろんそんなことはありません。何が起こるかわからないのなら、わからないことを無理にわかろうとするのではなく「何が起こるかわからないし、何が起こっても不思議ではない」という現実に対して“覚悟”を決めておく。まずはそれが肝要であり、これからの企業経営の大前提となるでしょう。

不確実な時代においては当然、企業が抱えるリスクもますます多様化・複雑化します。紛争地域における政治リスクやテロの脅威が増大する一方で、激しい自然災害や大事故、不祥事など、リスクはいつどこで顕在化してもおかしくありません。いざ事が起こったときに、パニックになったり、後手を踏んだりしないよう、あらかじめどういうリスクがあるかに思いを巡らせ、覚悟しておく必要があるわけです。

たとえば、リスクマネジメントの有効な手法の一つに「シナリオプランニング」があります。極端な可能性まで織り込んだ将来のシナリオを数通り策定し、それをもとに経営層が議論するというアプローチですが、シナリオといっても正確に予測することが目的ではなく、また、それですべてのリスクがカバーできるわけでもありません。シナリオ策定や議論を通じ、想定外のことが起こる可能性まで想定する。そういう心構えを磨くことに意義があるのです。リーダーに「想定外だった」の言い訳は許されません。

この続きは「日本の人事部 LEADERS(リーダーズ) Vol.5」でご覧になれます。

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