HRのオピニオンリーダー100人が提言、日本の人事を考える情報誌 「日本の人事部 LEADERS(リーダーズ)」

「日本の人事リーダー会」レポート

これからの時代、「組織開発」を推進する人事リーダーに大切なことは?

中村 和彦さん(南山大学 人文学部心理人間学科 教授/人間関係研究センター センター長) ほか

南山大学 人文学部心理人間学科 教授/人間関係研究センター センター長 中村和彦さん

働く人と人との関係性に働きかけ、組織やチームの活性化を目指す「組織開発」。組織が成長していく上で欠かせない取り組みだが、最近はテレワークの導入による働く場所の変化や、組織を構成する人材の多様化などによって、これまで以上にその重要性が叫ばれている。企業が組織開発を推進していく上で、キーパーソンとなるのは人事リーダー。では、組織開発を推進していく上で、人事リーダーには何が求められるのだろうか。組織開発研究の第一人者である南山大学・中村和彦氏の提言を受けて、日本を代表する企業の人事リーダーたちが語り合った。

Profile

なかむら・かずひこ/名古屋大学大学院教育学研究科教育心理学専攻後期博士課程満期退学。教育学修士。専門は組織開発、ラボラトリー方式の体験学習、グループ・ダイナミックス。米国NTL Institute 組織開発Certificate Program修了。組織開発実践者養成のトレーニングや組織開発コンサルティングなど、さまざまな現場における実践に携わるとともに、実践と研究のリンクをめざしたアクションリサーチに取り組む。主な著書に『入門 組織開発』(光文社)、『組織開発の探究』(共著、ダイヤモンド社)、『マンガでやさしくわかる組織開発』(日本能率協会マネジメントセンター)、『「組織開発」を推進し、成果を上げる マネジャーによる職場づくり 理論と実践』(日本能率協会マネジメントセンター)。訳書に『対話型組織開発─その理論的系譜と実践』(英治出版)がある。

中村氏による問題提起:組織開発を推進するうえで重要なものとは?

まずは中村氏が人事リーダーに向けて、問題提起を行った。組織開発には30通りもの定義があり、そのうえで60以上の変数があると言われている。中村氏はその中から代表的な定義を紹介した。

「組織開発とは組織の健全性、効果性、自己革新力を高めるために、組織を理解し、発達させ、変革していく、計画的で協働的なプロセスである」(ウォリック、2005)

「ここでポイントとなるキーワードは『健全性』『効果性』『自己革新力』です。健全性とは、チームにメンタルヘルスの問題がなく、メンバーそれぞれが満足度の高い状態にあること。効果性とは、組織の目標に対してメンバーそれぞれが結果を出せる状態にあること。この両方が高まることを目指しながら、自分たちの現在の状態に気付いて、より良くしていくことが自己革新力です。組織開発には、この自己革新力が高まるまで自分たちでディベロップしていくという意味合いがあります。また、組織開発の取り組みは、個人、職場、部署、部署間、部門間、組織全体など、さまざまなレベルで行われます」

この続きは「日本の人事部 LEADERS(リーダーズ) Vol.10」でご覧になれます。

ご購入はこちら