人が輝き、組織が活性化して、力を発揮し続けるために。
「人材ファースト」を掲げ、急成長企業のさらなる発展を実現する
有賀 誠さん(株式会社日本M&Aセンター 常務執行役員 人材ファースト統括)
日本の人事部「HRアワード2020」企業人事部門 個人の部 優秀賞に輝いた、株式会社日本M&Aセンター常務執行役員 人材ファースト統括の有賀誠さん。人事としての豊富なノウハウはもとより、経営者として蓄積した視点と経験を踏まえ、人や組織に関わる思想や施策を幅広く発信し続けています。若手ビジネスパーソンを主な対象として無償で開催する「有賀塾」では、戦略論やリーダーシップ論を中心に、経営リーダーに求められる知見や実践知を共有。次世代リーダーの育成にも積極的に取り組む有賀さんのキャリアや、人事という仕事への思いをうかがいました。
ありが・まこと/1981年、日本鋼管(現JFE)入社。製鉄所生産管理、米国事業、本社経営企画管理などに携わる。1997年、日本ゼネラル・モーターズに人事部マネージャーとして入社。部品部門であったデルファイの日本法人を立ち上げ、その後、日本デルファイ取締役副社長兼デルファイ/アジア・パシフィック人事本部長。2003年、ダイムラークライスラー傘下の三菱自動車にて常務執行役員人事本部長。2005年、ユニクロ執行役員(生産およびデザイン担当)を経て、2006年、エディー・バウアー・ジャパン代表取締役社長に就任。その後、人事分野の業務に戻ることを決意し、2009年より日本IBM人事部門理事、2010年より日本ヒューレット・パッカード取締役執行役員人事統括本部長、2016年よりミスミグループ本社統括執行役員人材開発センター長。2019年、ライブハウスを経営する株式会社Doppoの会長に就任。2020年4月より現職。1981年、北海道大学法学部卒。1993年、ミシガン大学経営大学院(MBA)卒。
日本と米国、裏返しの組織文化から気づいた
グローバルな組織マネジメントの鍵
「HRアワード」企業人事部門 個人の部 優秀賞の受賞おめでとうございます。ご感想をお聞かせください。
大変光栄に感じるとともに、とても驚きました。現職の日本M&Aセンターではさまざまな取り組みを進め、それなりに手応えも感じてはいますが、対外的にはまだほとんど発信できていませんから。評価をいただいている取り組みは私一人で行ってきたものではありません。前職のミスミ、現職の日本M&Aセンター、そして「有賀塾」の仲間たちに感謝したいと思います。
有賀さんは、人事という仕事にどのような思いや姿勢で向き合っていらっしゃいますか。 個人の部 優秀賞の受賞おめでとうございます。ご感想をお聞かせください。
私自身はまず「経営リーダー」でありたいと思っています。その思いのもと、たまたま今は人や組織に関わるテーマを担当しているにすぎません。企業としての理念が存在し、それを実現する施策としての戦略があり、一つの要素として人や組織を考えなければならないと考えています。
そう考えるようになった原体験をお聞かせください。
私は大手鉄鋼メーカーの生産管理からキャリアをスタートしています。日本で6年間の生産管理業務に携わった後、28歳で、買収先の米国企業の工場に赴任しました。現場で仕事をしながら気づいたのは、「生産管理やマーケティング、アカウンティングの考え方では日本と米国の間に大きな差はないけれど、人や組織に関する考え方はものすごく違う」ということでした。当時は「日本は年功序列、米国は個人・実力主義」と言われていました。今でも大きな意味では、その傾向に変化はないかもしれません。しかし実際は、ホワイトカラーは一部のエリートが若くして登用され、ブルーカラーは強力な労働組合が存在するがゆえにガチガチの年功序列。日本は「ホワイトカラー:年功序列、ブルーカラー:実力主義」であるのに対して、米国は「ホワイトカラー:実力主義、ブルーカラー:年功序列」になっているのではないかと気がつきました。私はこのように、日本と米国でちょうど裏返しの関係になっているという点に、グローバルな組織マネジメントの鍵があるのではないかと感じました。
そのような思いから、働きながら夜学で通い始めたビジネス・スクールでは、組織論や労使関係、リーダーシップといった分野について学び、それ以降、生産管理屋だった私が人事領域に踏み込むようになっていきました。
この続きは「日本の人事部 LEADERS(リーダーズ) Vol.9」でご覧になれます。
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