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「HRアワード2016」受賞者インタビュー

働く場所を従業員自らが選ぶ「リモートワーク」
働き方の選択肢を増やすことが、個人の能力発揮と会社の成長につながる

林 宏昌さん(株式会社リクルートホールディングス 働き方変革推進室 室長)

株式会社リクルートホールディングス 働き方変革推進室 室長 林宏昌さん

多くの企業がこれまでの働き方を見直し、多様な働き方を実現しようとしています。リクルートグループでも、場所に捉われない働き方を実現し、時間当たりの生産性を向上させることを目的に「つくる みなおす かんがえる 働き方変革プロジェクト」を導入。個人が自律的に柔軟な働き方ができるよう、さまざまな働き方を実践、検証しています。特にリクルートホールディングスが導入している、雇用形態にかかわらず全ての従業員を対象とした上限日数のない「リモートワーク」の取り組みは大きな反響を呼び、日本の人事部「HRアワード2016」で企業人事部門最優秀賞を受賞しました。同社ではどのように「働き方変革」に取り組み、どういった成果をあげているのでしょうか。プロジェクトの責任者である、働き方変革推進室 室長の林宏昌さんに、詳しいお話をうかがいました。

Profile

はやし・ひろまさ/2005年、リクルート入社。住宅領域の新築マンション首都圏営業部に配属。優秀営業を表彰する全社TOP GUN AWARDを、入社4年目と5年目に連続受賞、6年目でマネジャーに昇進する。入社8年目に社長秘書を務め、2014年に経営企画室室長、2015年4月より広報ブランド推進室室長兼「働き方変革プロジェクト」プロジェクトリーダー、2016年4月からワークスタイルイノベーション 働き方変革推進室室長に就任し、現在に至る。

ハードワークを重んじたリクルートが、なぜ「働き方変革」に取り組んだのか

「働き方変革プロジェクト」を始めた経緯や、その目的についてお聞かせください。

安倍首相が「2020年に女性管理職比率を30%にする」という目標を掲げた当時、当社の女性管理職比率は20%弱でした。私が経営企画室長時、リクルートグループにおけるダイバーシティ推進の中長期計画として「2018年までに女性課長職比率30%」を達成するという目標を設定。この目標を達成するには、働き方を大きく変革することが必要だと考えました。

昔からリクルートは「結果平等」を標榜する会社だと言われています。性別や年齢に関係なく、結果を出せば評価される構造です。現在もそれは変わりませんが、育児や家事、介護における女性の役割が大きいままでは当然、女性が仕事にかけられる時間は短くなり、“不釣り合い”が生じます。「結果平等」を標榜しているのに「プロセス不平等」であれば、「結果不平等」になってしまうのは明らかです。このような問題意識から、性別に関係なく、育児や家事、介護を分担できる会社にしていかなくてはならないと考えました。そのためには、社員全員の働き方を変える必要がある。男性も含めての対応ですから、「女性の働き方変革」「女性活躍推進」ではなく、全従業員の働き方を変えていく「働き方変革」がテーマとなったわけです。

では、「働き方変革プロジェクト」の概要についてお聞かせいただけますか。

これからは、個人が働き方を自由に選ぶ方向に進んでいくと思います。そういった働き方を企業の成長といかに両立させていくのか。画一的な働き方では、優秀な人材がいなくなるばかりか、多様な価値観を持った従業員が育たず、多様なマーケットニーズにこたえられなくなっていき、企業として競争力を失ってしまいます。そこでリクルートでは、2015年4月に「働き方変革プロジェクト」を発足。企業理念に掲げる「新しい価値の創造」を実現するには、多様な個が持つ経験の融合が必要であり、さらなる経験機会を獲得するためには、個人が自律的に柔軟な働き方を実践することが重要だと考えました。このコンセプトの下、いかに顧客価値や事業価値を高めていくか。そして、最終的には一人ひとりの多様な経験を組み合わせてイノベーションを生んでいくことができるかが、「働き方変革プロジェクト」の重要な狙いです。従業員側の制約をできるだけ取り払い、それをどうやって事業や企業の成長につなげていくのか。これが考え方のベースにあります。

この続きは「日本の人事部 LEADERS(リーダーズ) Vol.5」でご覧になれます。

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