セーフティーネットを考慮した雇用構造改革
~構造改革を断行し、同時に雇用を守る~
UTキャリア株式会社 代表取締役社長 UTホールディングス株式会社 執行役員
樋口 淳一氏
昨今では、経済のグローバル化や市場での競争激化等による経営環境の変化により、構造改革の一環として雇用調整を実施するケースが増加しております。雇用調整の実施にあたっては、対象となる方々の雇用を守るためにどのような施策を検討すべきか悩まれている企業様も多いかと思います。本講演では、『雇用調整』及び『雇用の確保』の相反する課題解決の方法を最新事例を含めて講演いたします。
―― 今回の講演のポイントについて、お聞かせください。
樋口:経済のグローバル化や、少子高齢化、国内経済のデフレーションなどが進んだことにより、「いびつな労務構成」や「技能の伝承難」など、企業内には中長期的な視点で取組んでいかなければならない問題が生じています。
一方、社会全体の視点で見ると、「若年労働者の高失業率問題」、「成長産業における人手不足」など、経済成長を妨げる課題も散見されます。
政府はこれらを受けて、雇用に関する重要施策の一つとして、「雇用の流動化」を促す仕組みの構築を進めようとしています。その一環として、労働移動支援助成金の大幅な拡充が為される方向で検討に入っているようです。
今回の講演では、「失業無き雇用構造改革」「世代間格差の解消」「組織の新陳代謝と活性化」といった切り口で、政府の施策に沿った形の雇用構造改革の推進方法についてお話したいとと思っています。
―― 貴社の強みや特徴について、お聞かせください。
樋口:当社の事業は、「雇用流動化支援事業」という位置づけで三つのサービスをご提供しています。(1)再就職支援サービス、(2)グループ外出向支援サービス、(3)正社員転籍型請負サービス(インハウスソリューション)の三つです。
従来型の再就職支援サービスは、「退職者が確定した後に受入し支援する」という「点」だけのサービスでしたが、当社では上記の三つのサービスを組合わせる事で、前工程から残留者対応までをフルサポートした「線」のサービスをご提供しています。
また、グループ会社の持つ正社員雇用派遣・請負サービスと組合わせる事で、「失業なき雇用構造改革」、「組織の新陳代謝」をご支援していきたいと思っております。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
樋口:職業柄、今までさまざまな方から雇用のあり方についてうかがう機会に恵まれてきました。その上で実感したのは、従業員の持つスキルや経験もさることながら、生産性に最も影響を与えるのは、働く人のモチベーションがどういう状況にあるかということです。
モチベーションの高い人は、得てして自己評価と他者(会社)評価のバランスが良い状態にある方が多い。現在日本の産業においては適材適所がなされていないケースが多く、この自己評価と他者評価のバランスが崩れているのだと感じています。
東京オリンピック開催に向けて、雇用のミスマッチを解消するお手伝いを行うことで、イキイキとした社会の構築に少しでもお役に立てればと思います。
- UTキャリア株式会社 代表取締役社長
UTホールディングス株式会社 執行役員 - 樋口淳一氏(ひぐち・じゅんいち)
- 日本エイム(株)取締役、パナソニックエクセルプロダクツ(株)取締役、UTホールディングス(株)執行役員を歴任。一環して大手メーカーの雇用施策の企画・コンサルティングに携わり、企業の雇用構造改革の推進を支援。目指している方向性は、「技能伝承」「世代間格差の解消」「雇用の流動化支援」と「失業なき構造改革」など。
- 日本の人事部「HRカンファレンス」事務局
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