グローバル戦略と人事部門の役割・機能
~日本企業へのアンケート結果と考察~
株式会社インストラクショナルデザイン 代表取締役社長
ASTDグローバルネットワークジャパン 理事/代表
中原 孝子氏
グローバル経営の進展とともに、多くの企業が人事部門のグローバル化に取り組まれています。これを受けて、我々はこの度、海外売上比率10%超の日本企業に下記のテーマでアンケート調査を実施しました。その結果を皆様と共有し、今後の方向性に関して考察します。
・ 人事部門の役割/機能に関するグローバルな共有の度合い
・ 人事機能の本社と各海外拠点の間の分担の状況
・ 上記の役割を果たすうえで人事マネジャーに求められる知識・能力
―― 今回の講演のポイントについて、お聞かせください。
中原:ここ数年、グローバルなサプライチェーンの構築、あるいは国や地域に根づいた市場創造の要請を受けて、各国の子会社や現地法人の役割も、日本本社の指示通りに生産や販売のオペレーションを管理するだけに止まらず、より高度な戦略的判断と実行が求められるようになっています。こうした変化に伴い、グローバルな組織やマネジメントのあり方、そして人事部門に期待される役割も変化しています。
今般サイコム・ブレインズと共に、「人事部門のグローバルな役割や目標の共有、本社と海外拠点の機能分担の状況」についてWEBアンケート調査を行い、グローバルに事業展開する大手日本企業60社超ににご協力いただきました。その結果を発表し、人事部門のグローバル化の状況と今後の課題を考察すると共に、人事マネジャーの新しい要件や必要となるスキルをディスカッションしたいと思います。
アンケート結果にも表れているように、「戦略パートナーとしてのHR」の必要性が高まっているいる中、人事部門も事業部門と同様、アカウンタビリティーを果たし、経営戦略に貢献する数値目標を掲げることが重要になってきました。では、その「数値目標」とは何でしょうか? 「○○人を採用しました」「○○人に研修を実施しました」といったものでしょうか? 人事部門は、何に基づいたどのような数値目標は設定すべきなのか、またそれを達成するために必要なスキルは何かというテーマについてもお話ししたいと思います。
―― 貴社の強みや特徴について、お聞かせください。
中原:グローバル経営を考える時避けられないのが、会社方針にしろ人事方針にしろ、ワンカンパニーとして求められている戦略の浸透です。その為には各国のマネージャー層の戦略への理解と、部下や従業員に戦略を浸透する為の共通言語がますます重要性になり、「そんなことは言わなくてもわかるだろう?」という以心伝心的/モノカルチャーの日本的発想からの脱却が求められています。
我々は明確な定義や測定基準を持って共通理解を得、企業成長の基盤を構築し、グローバルな視点で考えながら、目標達成に必要な<パフォーマンス>を実現させる人事施策と、その為のローカルアクションを明確にするHPI(HumanPerformance Iprovement)を得意としています。またパートナーシップを組むサイコム・ブレインズは、経営人材育成研修の企画および、コーディネーターとして日本・上海・シンガポールに拠点を持ち、HPIのアジアにおける早期展開を支援しています。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
中原:講演は、サイコム・ブレインズ代表の西田氏とともに、WEBアンケート調査の結果を皆様と共有しながら進めていきます。また、海外拠点の人事マネジャーの方に対して行ったインタビューの内容も紹介します。グローバル経営のパートナーとして、人事マネジャーにはどういったマインドが必要なのか、人事部門のグローバルなアラインメントをしっかりと行うために本社人事部が取り組むべきことは何かといったテーマについて、皆さまが抱えている課題を共有しディスカッションできる、有益な時間にしたいと思います。
- 株式会社インストラクショナルデザイン
代表取締役社長
ASTDグローバルネットワークジャパン 理事/代表 - 中原孝子氏(なかはら・こうこ)
- 岩手大学卒業後、米コーネル大学院にて教育の経済効果や国際コミュニケーション学を学ぶ。
外資系メーカーや金融機関で人材戦略部マネジャーを歴任後、2002年にインストラクショナルデザイン設立。効果的研修設計支援、パフォーマンスコンサルティング、人材開発機能の設計支援、タレントマネジメントの運営支援等を提供。
- 日本の人事部「HRカンファレンス」事務局
- 〒107-0062 東京都港区南青山2-2-3 ヒューリック青山外苑東通ビル6階
- E-mail:hrc@jinjibu.jp