服部 泰宏氏からのメッセージ
組織における「人事」の起こりは、19世紀後半頃だと言われています。当初は特定の部門としてのそれではなく、経営者や現場のマネジャーたちがそれぞれに担う、まさに機能としての人事でした。それからドイツでは1890年代、アメリカでも1900年前後頃に、部門としての人事が企業の中に起こったのですが、それは両国における経営学誕生の時期とほぼ重なっています。これは、決して偶然ではないと思います。社員のマネジメントをプロフェッショナル集団たる人事部の手によって行おうという動きが始まった瞬間は、かつて経験や勘に頼っていた経営の現場に、科学的のメスが入った瞬間でもあったのです。
それから120年にわたる研究蓄積の中で見えてきたのは、「人事の世界に唯一最善の理論などないが、こう考えれば良い解に近づくことができるという、ロジックは確かに存在すること」。そして、「優れた企業には例外なくロジックがある」ということです。
今日、人事の皆さんは、ますます多くの課題を抱え、日々忙しくなさっていることと思いますが、「人事の日」くらいは少し立ち止まって、自社のロジックを見つめ直したり、経営学が提示するロジックを味わったりなさってみてはいかがでしょうか。