講演者インタビュー
5年先・10年先を見据えた賃金制度の見直し方
~具体的な見直し例を複数ご紹介~
株式会社新経営サービス 人事戦略研究所 シニアコンサルタント
岩下 広文氏
足元の景気や企業業績は好調ではあるものの、5年先・10年先の将来を見据えると、「少子高齢化」という構造的問題によって日本経済や日本企業を取り巻く環境は非常に厳しくなると考えられます。この少子高齢化という現象が企業の人事的側面に及ぼす影響は、極めて大きいものがあります。本講演では、中長期的な観点からの持続的経営に資する賃金制度のあり方について、複数の具体例を交えながら解説いたします。
―― 今回の講演のポイントについて、お聞かせください。
岩下:昨年あたりから、日本経済は長らく続いたデフレから脱却し、ようやく回復基調に乗り始めました。そのような経済的背景もあり、今春は多くの企業が久し振りに「ベースアップ」を実施しました。しかしながら、5年先、10年先には、日本経済や日本企業を取り巻く環境は非常に厳しくなっていると考えられます。日本社会は「少子高齢化」という大きな構造的問題を抱えているからです。この少子高齢化という現象が企業の人事的側面に及ぼす影響は、極めて大きいものがあります。具体的には、以下の四つに整理できます。
- 65歳までの継続雇用義務化により、業種によっては仕事を割り振ることが難しい高齢労働者が増加していく
- 社員の高齢化に伴う平均年齢の上昇により、年功的な賃金制度の下では人件費が上昇していく
- 少子化の進展により、特に中堅・中小企業では若年労働者層の採用が極めて困難になる
- 社会保険料の上昇により、仮に社員数や給与水準は同じであっても、法定福利費だけは年々上昇していく
このような影響を鑑みると、足元の経済環境や業績状況だけを見るのではなく、先々を見据えた上で持続的経営に資するような賃金制度のあり方を、今こそ検討すべきと言えるでしょう。本講演では、これからの時代にふさわしい賃金制度や賃金カーブへの見直し方について、さまざまな例を交えて解説します。
―― 貴社の強みや特徴について、お聞かせください。
岩下:弊社の人事戦略研究所は、過去400社以上の人事制度改革を支援してきた実績があり、企業ごとの業種・業態や職種を考慮した豊富な事例・ノウハウを有しています。また、いわゆる「パッケージ」の人事制度をお客様に提供するのではなく、豊富な経験を活かして、企業の実情に沿った柔軟な制度設計・導入支援を行うことを強みとしています。
所属するコンサルタントも、採用・定年再雇用・非正規社員といった人事の個別課題に精通している者や特定の業種を得意とする者など豊富なタレントが揃っていますので、企業の抱えるあらゆる人事課題にきめ細かく対応することが可能です。本講演では、これまで弊社やコンサルタントが培ってきた経験・ノウハウに基づいて、具体的な賃金制度の見直し方法についてお話します。
―― 講演に向けての抱負や、参加される皆さまへのメッセージをお願いします。
岩下:賃金制度は会社だけでなく、社員にとっても非常に重要かつ影響性の高いものです。そのため、先々を見据えた問題・課題意識はあっても、なかなか具体的な見直しに着手できない企業が多いのではないでしょうか。そこで本講演では、人事担当者の方々が実際の見直しイメージを持てるように、概念的・理論的な説明はできるだけ少なくし、賃金制度・賃金カーブに関する具体的な見直し方法や見直し例を中心に解説します。
通常は2~3時間程度の講演内容ですが、今回は参加される皆さまの関心が最も高い「具体例」にポイントを絞って説明します。本講演が賃金制度見直しの一助になれば幸いです。
- 株式会社新経営サービス
人事戦略研究所 シニアコンサルタント - 岩下 広文氏(いわした ひろふみ)
- 国内事業会社にて人事・総務等の実務に従事。その後、人事アウトソーシング会社及び外資系大手コンサルティングファームにて人事コンサルティング業務に従事した後、現職。人事コンサル歴は11年超であり、人事制度構築や退職金制度設計だけでなく、組織・人事面における幅広いテーマでのコンサルティング経験を有する。
- 日本の人事部「HRカンファレンス」事務局
- 〒107-0062 東京都港区南青山2-2-3
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