高田 朝子氏からのメッセージ
AIとの協働に向けて急ピッチで体制を整える企業、併存に逡巡する企業、そして従来路線にとどまる企業――。日本企業はいま、経営の選択が数年後の競争力を決定づける過渡期にあります。この局面において、企業の命綱は資本でも技術でもなく、「人」です。
多くの意思決定はいずれAIが代替できるようになるでしょう。だからこそ、人間に残される意思決定の質は、これまでとはまったく異なる水準を要求されます。前提を疑い、複数の視点を往復し、不確実性の中で意味を編み直す判断は、人間にしかできません。そしてこの力は、現場任せや属人的経験では育ちません。経営の意思として、訓練の場と機会を設計して初めて身につくものです。
さらに、人間の競争優位は集合知にあります。AIのアウトプットを含め、多様な知を結びつけ、新たな価値へと転換できるか。偶然や個人の力量に委ねる経営は、もはや持続しません。人と人が交わり、知が循環する仕組みをつくれるかどうか――それは人事と経営の責任です。個人がその能力を存分に発揮するための仕掛け作りこそが企業により強く求められる。その実現のための研究をしていきたいと私は思っています。


