西田 政之氏からのメッセージ
生物の本能は、種を増やすことにあります。本能は、あらゆる場面で子孫を増やすよう、私たち人間をも都合の良い方向へ行動を誘います。一方、生物は多産多死の単細胞真核生物から少産少死の多細胞生物へ戦略転換していく過程で、特に人間は単細胞では持ちえない機能の一つである脳を獲得し、時に足かせとなる本能にあらがう手段を得ました。それが理性です。
私たち「人事の役割」を本質から突き詰めると、社員の理性を高めることにあるのではないかと考えています。では、どうしたら理性を高められるのか? それには、人事が主導して、社員が理性を高められるような学びの環境を整えることが肝要です。
全ての産業は、人材育成産業です。正解のない世界で、その不安に耐えうるには、確固たる自分を持つ必要があります。そのために、常に自分の頭で考え、ときには書籍などを通じて他人の頭で考えることで、内なるダイバーシティからの創発を促す。安易に得られる回答ではなく、内省と対話を通じて、苦労してひねりだした答えには力が宿ります。
誰もが哲学者のように思考することが求められる「一億総哲学者の時代」において、学びの伝道師としての人事の存在はさらに高まると思っています。