江夏 幾多郎氏プロフィール画像
江夏 幾多郎氏
神戸大学 経済経営研究所 准教授
えなつ・いくたろう/1979年生まれ。一橋大学商学部卒業。同大学にて博士(商学)取得。名古屋大学を経て2019年より現職。専門は人的資源管理論、雇用システム論。日本労務学会会長。主著に『コロナショックと就労』(ミネルヴァ書房)『人事評価における「曖昧」と「納得」』(NHK出版)など。

江夏 幾多郎氏からのメッセージ

現代の日本では、人事や雇用、あるいは働き方に関して、年々新たな考え方が創出・紹介され、その多くが「ブーム」と言うべき広まり方をしています。しかしこの間、例えば10年、20年で、「いい実践ができているな」「いい変化を経験できているな」と思える組織や個人は、全体の中でどのくらいを占めているのでしょうか。(『日本の人事部』で紹介されるような)新しい考えを知り、取り込むことそれ自体が、いい結果を約束するわけではありません。

本当に大事なことは、組織が人事や雇用を管理する、個人が自らの職業キャリアを形成する、その最中で、考え一つひとつが腹落ちするものかどうか吟味し、吟味を通じて自らの考えを練り上げることでしょう。志を共にする人々との対話、ことばの出会いや交換は、学んだ考えを吟味し、自らの考えを鍛え上げることを大いに助けるでしょう。人事、雇用、働き方に関するコミュニティがより豊かなものになることを祈念しております。