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【ヨミ】ソリューション フォーカスト アプローチ

ソリューション・フォーカスト・アプローチ

「ソリューション・フォーカスト・アプローチ(Solution Focused Approach)」とは、心理療法の一つで、問題や原因にフォーカスするのではなく、本人がすでに持ち合わせている能力や資質といったリソースに焦点を当て、改善を図る考え方です。頭文字をとって「SFA」とも呼ばれ、日本語では解決志向アプローチなどと訳されます。比較的短期間で問題を解決へと導く心理療法の一つとして確立した方法論ですが、現在はキャリア・カウンセリングやコーチングといった分野にも応用され、理想に近づくための理論として広く使われています。

ケーススタディ

「問題点を何とかしないとここから先に進めない」に潜む罠
ソリューション・フォーカスト・アプローチで解決の糸口を

よりよい未来を目指すとき、多くの人は今直面している課題に目を向けるのではないでしょうか。カウンセリングの場面でもビジネスの場面でも、問題や原因を深く追求することは解決のための重要なステップだと考えられています。しかし、人間関係や組織での困難な課題を考えるとき、問題点の洗い出しに集中しすぎることが必ずしも解決につながるとは限りません。犯人探しのようなマインドになってしまい、反発心や他責が強くなることもあり、その結果、解決から遠ざかってしまうこともあり得るからです。

ソリューション・フォーカスト・アプローチでは、最初に相談者が望む理想状態を定義します。そしてその状態を達成するために、相談者がどのようなリソースを持ち合わせているかを確認します。リソースとは、その人が持つ能力や強さや可能性のこと。仮に、相談者の内面の9割がつらく重い気持ちであったとしても、残りの1割の明るい部分・自信のある部分に目を向け、解決方法を探っていきます。

その際、「何がいけないか」ではなく、「どうすればより良い状態になるか」に焦点を絞ることで重要です。ポジティブな面に関する話が多くなるので、面談の雰囲気が明るくなり、最短距離での解決を目指すことができます。部下との面談やチームでの会議でも、問題点の追求に時間を使いすぎることは、かえって生産性を下げているかもしれません。より有効なコミュニケーションを実践するために、ソリューション・フォーカスト・アプローチの手法を参考にしてみてはいかがでしょうか。

企画・編集:『日本の人事部』編集部