新人でもできる簡単なことだよって勇気づけようとしていませんか

社員の定着率を上げるコミュニケーション 

⑫「新人でもできる簡単なことだよ」って勇気づけようとしていませんか？？

部下が全否定と受け取るとうまくいかない

特に新人の場合、多くのことが出来ないことが多いですね。

仕事の専門スキルや知識はもちろんですが、

社会人としての考え方、対応の仕方についてもかなり個人差もあります。

なかには、敬語やマナー、立ち居振る舞いといったことまで会社で教える必要がある、

なんてことも現在では多いのが現実です。

そして、昨今のゆとり・さとり世代において、すぐに諦めてしまう、という人が多いのも事実です。

ただ、これは彼ら本人に何か要因がある場合も多いですが、実はそうでもないこともあると思います。

例えば、私は新人だった頃は、パソコンも一人1台ではなく、お客様との連絡も電話とFAXが主でした。

ですので、私が新人だった時にはパソコンスキルも必要ありませんでしたし、

毎日のメールチェックなんて仕事もなかったのです。

携帯電話もまだまだ一般的普及とまでは遠く、会社から支給されていたのはポケットベルでした。

ですので、仕事のスピード感が今と全く異なります。例えばお客様から見積もりのご依頼があると、

会社に戻り、作って、稟議をもらい、早くてFAXにて送る、

悠長なお客様だと後日持っていく、というくらいのスピード感です。

今では、数時間で見積書をメールして、といったことが普通です。

また夜遅くに来たメールに対しても翌日朝には回答する、といったことも今では普通です。

例えば、営業の成果についても時代が変わりました。

今では毎月のように新しいものがどんどん出てきて、その商品知識に追いつくのに大変です。

インターネットもどんどん進んできており、そのスピードはますます加速しています。

お客様も多くの会社から営業されることに慣れてきて、うんざりしていることも多くあります。

例えば、私が新人時代、1日100件の電話を掛ければ、

どんな新人でも２～３件くらいのアポイントが取れました。確率で言うと３％くらいが平均です。

ですが、今、かなりのベテランが電話をしても、1日３００件かけ続けても1件アポイントが取れればいい方です。

つまり獲得率が３％から０．３％くらいにまで落ちている、というわけです。

つまり20年前は気合や根性で乗り切れたものが、今ではそれも難しくなってきている、と思います。

励ましの言葉にも心遣いを

上司はそんなことも忘れ、自分が新人時代を振り返り、

その時と比較して「新人でもこのくらい出来るレベルだよ」

「俺は昔1日3件くらいのアポイントは新人でも取れていたよ。」と言ってしまいます。

昔と今では、時代が違うのです。昔は簡単に出来たことでも、今では簡単に出来ないことが多くあります。

昔よりも今のほうが付けなければいけない知識やスキルは多くあります。

その分便利になったこと、スピーディになったこと、簡潔化されたことも多くあります。

上司としては励ますつもりで言っている「新人でも出来るレベル」ですが、

部下としては「自分は新人レベルも出来ないのだ」と落胆してしまいます。

励ますのであればむしろ、「僕たちの時代にはこんなに大変じゃなかったんだけど、

今の時代ほんとに君たちは覚えることも多くて大変だなぁ。」と言ってあげてください。

彼らにはその時代が分かりませんから、

そう上司から言ってもらえるだけで、ほっと安心できることも多くあります。