内定取り消しができる場合とできない場合
内定取り消しに関する問題は一時大きな問題となり、学生などを中心に不安が広がりました。
内定者と企業の関係は解雇権を留保した労働関係にあり、その関係性は試用期間中の人となんら変わらないものとされています。そのため、解雇同様に内定取り消しも簡単にはできないということになります。
では、どういった場合に内定取り消しができるのかですが、内定通知の際、もしくはその際に取り交わす誓約書に内定取り消し事由にかかわることに抵触した場合に可能とされています。
もちろん不合理なものであれば認められませんが、例えば犯罪に手を染めていたというのも理由となります。
誓約書などに記載されていない場合でも、内定の時点では知ることができなかった事実で、客観的にみて妥当な理由である場合に取り消しができます。
例えば、それまでに提出した書類に重大な虚偽があった場合や健康状態が優れない場合、大学を卒業できなかった場合などがあります。大学を卒業できなかった場合というのは、大学卒業を前提に採用活動が行われているためで、大学中退でもいいから来なさいとか、仕事をしながら卒業を目指しなさいという企業は少なく、ほとんどの場合は取り消しとなってしまいます。
ただ、あくまでケースバイケースであることから、書類の重大な虚偽も単に書き間違えである可能性もあり、すぐに取り消しとも言えないというのが現状です。
また、内定取り消しは、企業側の都合による事案もあります。
会社都合による内定取り消しは、整理解雇の必要性があることやそれを避ける努力をしたこと、労働組合と協議を重ねたことなどを経て初めて認められます。
その際には、内定取り消しの学生への職の斡旋など最大限の努力をしなければならないという取り決めが以前に役所となされています。そして、その手続きは解雇する場合と同様の形式となります。また、天変地異などで会社の運営がかなり難しくなった場合でも取り消しが認められるケースが出てきます。
しかし、会社都合の内定取り消しの場合、ハードルが高く、むやみやたらに取り消せないというのが真実です。裁判を起こされて、軽微な理由であると判断されて、取り消し無効の判決がたびたび出てきます。
そうなると、社員として雇用しなければならず、その関係性は最悪の状態で始めることになります。簡単に取り消さないよう、内定段階で慎重に選考を重ねていくことが大事と言えるでしょう。
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鈴木 孝裕(スズキ タカヒロ) 株式会社ウェブサーブ 代表取締役
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