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専門家コラム

マンパワー費管理

 企業が継続的に存続していくためには、魅力的な商品やサービスを提供することとともに、環境の変化に対応した柔軟なマネジメントをしなければなりません。環境変化が激しければ、マーケット動向に対応した、あるいは先取りした商品・サービスの提供とともに、コストコントロールを短期的に実行できなければなりません。コストの中でも人件費は比率の高い大きなコストである企業が多いため、最近では人件費の管理について問題課題を抱えている企業が多くなりました。人件費のコントロールとは、当期の業績に連動して人件費をコントロールできることが求められており、期中での人件費マネジメントが大きな課題になります。多くの日本企業では人件費が固定的です。特に業績下降局面において、人件費を直ちに縮小できるマネジメントが徹底している企業は多くありません。業種別には、小売りやサービス業などは日々の業績に鋭敏であることもあり、人件費マネジメント力も高い企業が多い業種でしょう。銀行や保険業界などは外部の環境変化によって業績が決定する要素が大きく、また業績の振幅も大きいため、多少の業績変化で人件費を短期間でコントロールする意識が強くありません。しかし、現下の環境においては、日本企業全般的に人件費の業績に連動したマネジメントを強く指向する傾向にあることは確かです。


人件費とは、正社員の直接人件費(給与賞与合計)と間接人件費(社会保険負担分や退職金など)、非正社員の人件費も含まれます。会計上、人件費は雇用関係にある社員に関する費用です。しかし、企業の実体の運営では、派遣社員の費用や個人事業主や下請けなどへの外注費、アウトソーシング費用なども人件費と代替性がありますので、広義では人件費的な認識になります。マンパワー費という命名が妥当かは別として、企業目標達成のために必要なマンパワーに関する費用全体を管理しなくてはなりません。社員を減少させても、その分派遣社員を増加すれば人件費は低下しますが、マンパワー費は変わりないからです。コストコントロールを徹底して行うには、人件費管理ではなくマンパワー費管理が重要ということです。業績に連動したコストマネジメントを行うためには、正社員の直接間接人件費と非正社員の直接間接人件費、人材派遣費用、外注費、その他のアウトソーシング費用全体を適切にコントロールしなければマネジメントしていることになりません。


企業業績が好調時にはこのようなコストマネジメントはあまり強く意識されません。業績が不振になるとコストマネジメントが強調されることになります。業績不振時にはマンパワー費を短期間で減少させなくてはなりません。短期的に減少させることのできるマンパワー費は、正社員の超過勤務手当、賞与が代表的です。また、非正社員の人数の削減、派遣契約の停止、外注やアウトソーシングの内製化などが中心的な施策となります。これらのマンパワー費マネジメントが一元的に管理されコントロールされている企業はあまり多くありません。これは正社員については人事部、非正社員や派遣社員、外注は事業部などのライン権限で意志決定していることが多いからです。そのため人事部では正社員の人件費以外のマンパワー費の実態を詳細に管理できていない企業が散見されます。


今後は人件費管理ではなく、マンパワー費管理が重要であり、そのためには人事機能として正社員以外のコストに関する詳細な情報管理や統制を行うことが求められるようになります。人件費管理からマンパワー費管理へという考え方が株主や経営が求めている人事機能ではないかと思います。 


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コラム執筆者
林 明文
林 明文(ハヤシ アキフミ)
株式会社トランストラクチャ 代表取締役シニアパートナー
トランストラクチャは組織人事の専門家としての情報を発信してまいります。
トランストラクチャは、合理的かつ構造的なアプローチを信条とし、人事基盤の診断から設計・運用までをトータルにサポートします。
得意分野 経営戦略・経営管理、モチベーション・組織活性化、労務・賃金、人事考課・目標管理、キャリア開発
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