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プロフェッショナルコラム

『プラダを着た悪魔』に学ぶ、組織への染まり方 (2)

前回は、映画「プラダを着た悪魔」で、ファッション誌の編集部という想定外の職場に乗り込んだ新人女性部員のアンディが、同僚の一言で組織のカルチャーへ適応する覚悟を決め、活躍のきっかけを掴んでいったことを紹介した。

 

このように自らが組織へ適応する努力をした結果、組織から受け入られることを、人材育成の世界では「組織社会化」という。具体的には、1.その組織での仕事に関する知識とスキルを身につけること、2.その組織の価値観や行動規範を身につけること、3.その組織の他のメンバーから求められる役割を果たすこと、の3つが要素となる。

 

ひと昔前なら、飲み会の席で(本意ではなくても)「若輩者ですが、よろしくお願いいたします」と先輩陣に頭を下げてからやっと組織の一員として認められ、翌日からベテラン社員に質問したり同行したりすること許され、といった具合かもしれない。

 

しかし今は、このような教育係的な役割を果たしてくれる社員がいるかどうかは、会社によって千差万別だ。

 

◆ 人事が整備しておくべき「仕掛け」

では、新卒や中途社員のために、人事がこのような「組織社会化」という仕組みを設計するにはどうしたらよいのだろう。

 

1.レポートラインを整備する

まず、いわゆる「誰に報告するか」というレポートラインと「どのように報告するか」というレポーティングが、新卒や中途社員の定着のための生命線になる。人事としては、入りたての社員と同じ目線を持って「彼ら彼女にとってなじみのない組織で、どうやって自分の活動を報連相しやすい環境を設計してあげるか」が重要になる。離職を防ぐためにも、細心の注意を払いたいところだ。

 

レポートラインでなじみ深いものが日報や週報だが、教育担当者が短くても良いので、「しっかり見ているよ」「このあたりができるようになったね」「このあたりはさらにこんな風にしてみよう」といったフィードバックをスピーディーに返し、加えて双方向性のあるやりとりにすることで、成長途上にある彼ら彼女らをサポートするマインドを持つよう心がけたい。

 

2.入社後一週間は対面のコミュニケーションを心がける

 

次に、LINEやChatwork、Slackなどの社内SNSなどの手段を活用するのも良いが、入社してから1週間は対面によるコミュニケーションの機会を特に心がけたい。入社して間もない社員の組織定着がうまくいっている企業の中には「月イチのランチ面談+会議室での面談」を半年程度継続して実施しているところもある。対面手段としては、今ホットな1on1やメンターといった制度を活用するのも良いだろう。

 

3.良いチームのバロメーターは報連相にある

 

そして、良いチームのバロメーターは何といっても”報連相“がうまくいっていることだ。「ある重大事故の背後には29の軽微な事故があり、そして、その背景には300 の異変が存在する」というのをハインリッヒの法則というが、この”29の軽微な事故”を発見するためには、周りがミスやエラーに気付く仕組み作りが大切である。そのためには、先の1や2のコミュニケーション上の整備と違い、報連相の回数、内容、行動結果などを定量的に判断する必要がある。具体的には、社内SNSの活用などが考えられて良いだろう。

 

ところで、「報連相しやすい上司を目指す」ことも特に重要だ。確かに、有能な上司ほど離席しがちで、なかなかつかまらないかもしれないが、忙しさが問題なのではない。話を聞いてくれなさそうな雰囲気を漂わせている上司や報連相しても反応が薄い上司はもっともNGなパターンだ。

 

現在、サントリーホールディングス社長の新浪剛史氏は、ローソンの社長時代、自分から部下の席まで行って声をかけるようにしていたという。心理カウンセリングの分野でも、セラピストが「ワンステップダウン(相手と等身大かそれ以下の目線)」の意識でクライアントと向き合えば、ラ.ポール(相互信頼)が形成しやすいことが知られている。

 

人事としては「報連相してこないのは部下が悪い」という上司ではなく、「報連相したくなるような」上司が増える働きかけをしたいところだ。


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コラム執筆者
細野 和彦
細野 和彦(ホソノ カズヒコ)
株式会社ログシー/育成支援事業部/統括
育成支援事業部は新卒、内定者、アルバイト、中途社員の入社1年の“定着”と“育成”にフォーカスした研修サービスを提供しています。
我々の事業部では、専属の開発担当と共創し、開発した研修にエビデンスをつけ、現在だけでなくと未来にも目を向けたプログラムを開発いたします。
得意分野 モチベーション・組織活性化、キャリア開発、コーチング・ファシリテーション、チームビルディング、コミュニケーション
対応エリア 全国
所在地 新宿区四谷

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