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プロフェッショナルコラム

受講生を利用するモンスター講師、人事が見抜くためのポイント

10月ともなると企業の人事担当者は、来年度の新入社員のための研修の「仕入れ」へ向けていっせいに動き出す。しかし、担当者がせっせと見つけた講師の全てが「当たり」とは限らない。

では、企業にとってどんな講師を「ハズレ講師」と言うのか。この点について2006年に発売後、幾度も版を重ねている「企業内人材育成入門」(中原淳 編著)は、「企業教育の政治力学―人材教育は本当に必要か」という章の中で、物語風のエピソードを用いた興味深い指摘をしている。

 

◆落ちこぼれ受講生を「わざと」作り出す研修講師

 

この章は「大学教授という肩書きを持った外部講師によるある研修で、講師の要求する水準に満たない落ちこぼれの社員達が生まれ、その集団は上司による厳しい目にさらされる」というシーンから始まる。そして、研修の成果に納得していた人事担当者が、落ちこぼれのレッテルを貼られたメンバーを眺めてふと「講師は、彼らを一度でもフォローしたことはあったのだろうか」と疑問を持つ様子が描かれる。

研修講師というのは、個々の出来不出来はあっても、受講生に対して公平に一定の研修効果を認め、外部からの批判に対して受講者を擁護するのが通常の姿だと言える。しかし、この章で登場する講師はそれとは真逆で、一部の受講生にあえて「落ちこぼれ」の烙印を押すことで、講師自身と「研修」という自らの商品を正当化することに徹している。その結果、研修の成果は受講者次第、という構造になってしまっている。

 

◆人事担当者が研修講師の共犯になるリスク

 

研修講師にとっての一番の優先順位は「講師自身の生き残り」と「講師の企画した研修を商品として延命させること」であり、研修業界の激しい競争を考えればある意味それは当然かもしれない。

しかし、一部の受講生を「生贄(いけにえ)」にして自らの研修を正当化する講師をそのままにしておけば、人事担当者はこういった講師といわば「共犯関係」になってしまう。このような状況に置かれた場合、人事担当者は一体どういうスタンスを取れば良いのか。

 

◆外部講師による研修で、人事がチェックすべき3つのポイント

 

この点について、企業の研修設計や人材育成を20年にわたってサポートしている専門家に聞くことができた。

まず、ひと言で言うと「研修講師と受講者の間にあるバイアス(認識や利害のズレ)を人事担当者がしっかりと自覚し、会社と現場の双方にとって必要な研修をいかに設計するかが重要になってくる」そうだ。

例えば研修の内容は、あらかじめ研修講師から受講生の上司に対して直接伝えてもらうようにすべきだ。

「現場で起こりそうな課題について、研修を通じて学んでもらう以上、研修で教えることと現場で教えることが食い違っては大変です。講師の伝える内容と、現場で求められる内容を確実にすり合わせしましょう」

また、講師の作成した受講アンケートの内容は、人事がしっかりと確認しておいた方がリスクは少ないはずだ。

「講師側のミスリードで、受講者のアウトプットにバイアスがかかってしまうと大変です。

学べたことを受講者が本音で書くことができ、その内容に応じて後日フォローを入れることが出来る内容なのか、人事担当者は確認してください」

そして、研修による効果の測定方法を講師に提案してもらうことも必要になってくる。

「そもそも研修による効果は測定しにくいというのが前提としてありますが、“研修によって受講者の行動がどのように変容したのか?”という成果をどこに求めるかというすり合わせは必要です。具体的には、研修を受けることで能動的に行動できるようになるのか、指示を受ける際の姿勢が変わるのか、+αの提案が出来るようになるのか、など講師から提案を貰うようにしましょう」

人材の採用と育成に関する、ある大きなイベントで「新卒入社組を全員、社外のコミニュニケーション研修に出したら、かえって新人とベテランのコミュニケーションがギスギスするようになってしまった」とこぼす大手企業の人事担当者に出会ったことがある。「講師に丸投げでやったら終わり」の研修は社員のモチベーションを下げ、かえって逆効果になる恐れがあることを頭に入れておきたい。

 

【今回のまとめ〜人事担当者が気をつけたい3つのポイント】

1.  研修内容を、講師から受講者の上司に直接説明してもらう

2.講師が作成した受講アンケートの内容は実施前に確認しておく

3.   研修効果の測定方法を講師に提案してもらう

 


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コラム執筆者
細野 和彦
細野 和彦(ホソノ カズヒコ)
株式会社ログシー/育成支援事業部/統括
育成支援事業部は新卒、内定者、アルバイト、中途社員の入社1年の“定着”と“育成”にフォーカスした研修サービスを提供しています。
我々の事業部では、専属の開発担当と共創し、開発した研修にエビデンスをつけ、現在だけでなくと未来にも目を向けたプログラムを開発いたします。
得意分野 モチベーション・組織活性化、キャリア開発、コーチング・ファシリテーション、チームビルディング、コミュニケーション
対応エリア 全国
所在地 新宿区四谷

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