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連載:事例で知る職場の問題解決 第9回:部下が本音を言わない

本シリーズでは、よく職場で起きる問題の事例を取り上げ、解決策をご紹介します。ぜひ職場改善のヒントにしてみてください。

よくある職場の問題9:部下が本音を言わない

 

~ある問題職場の情景~

売上拡大のアイデアを検討するため、営業・技術が合同で会議を行うことになった。年次に関係なく集められたので、若手社員に配慮した営業部長が会議の冒頭で「全員で活発に意見を出し合って次の一手を考えよう。若手も遠慮しないで、忌憚のない意見を言ってほしい」と発言した。

 

ここまでは良かったが、ある若手社員が勇気を出して改善策のアイデアを意見すると「それは○○の点が検討できてないよ」「ちょっと難しいかもね」などネガティブなコメントで押し返されてしまった。そこから若手~中堅社員に一歩引いた雰囲気が広がり、結局話すのは管理職のみになってしまった。

 

 

皆さんの職場でも、部下が本音を言わないことはありませんか?研修の場でも、この悩みを持つマネージャーの声がよく出てきます。

 

チームのパフォーマンスを決めるのは下記の5つの要素だと研究から分かっています。

1. チーム全員が話し、話す量もほぼ同じで、それぞれの1回の発言は短い

2. メンバー間のアイコンタクトが盛んで、会話や伝え方にエネルギーが感じられる

3. リーダーだけに話すのではなく、メンバー同士で直接コミュニケーションを取る

4. メンバー間で個人的な雑談がある

5. メンバーが定期的にチームを離れ、外の環境に触れ、戻ってきたときに新しい情報を他のメンバーと共有する

 

いかがでしょうか?

一般的に言われている“優秀なチームの特徴”と異なっている点もあり、意外に感じられたかもしれません。冒頭の会議場面でも、このような要素が不足している可能性があります。では、一体こうしたチームをつくる秘訣は何なのでしょうか。

 

■「心理的安全性」を確保する帰属のシグナル

心理的に脅かされない、心の安全がある状態こそが、チームのパフォーマンスを高めます。これを「心理的安全性」と言います。具体的には「意見を述べても気まずくならない、拒否されない、罰せられないという安心感があること。メンバーがありのままの自分でいられるような相互信頼と相互尊重の雰囲気があること」です。

 

心理的安全性のメカニズムは脳科学で説明できます。ハーバード大学で心理的安全性を研究するエイミー・エドモンドソンは、「私達の脳には、『自分は他の人からどう思われているのだろう』と常に心配している部位(扁桃体)がある。

特に自分より上の立場の人からの評価を気にしている。脳内の出来事だけで考えれば社内から拒絶されるのは死を意味する。人間にとって、危険を察知するのは本能なので、会社などの組織は、細心の注意を払って危険だと感じるような状況を取り除かないといけない」と言っています。すなわち、脳の原始的な部位である扁桃体が、危険の察知を行っているのです。

 

また、まったく逆の役割として帰属のシグナルを受け取り絆を作るのも扁桃体です。「ここは安全な場所だ。そして私達は繋がっている」「この関係を大切に思っている」というシグナルを受け取ると、心理的安全性が生まれるのです。

 

■帰属のシグナルの特徴は3つあります

1. エネルギー

目の前で起こっているほかのメンバーとの交流を大切にしている

2. 個別化

メンバーを独自の存在と認め、尊重している

3. 未来志向

関係はこの先も続くというシグナルを出す

 

冒頭の事例では、営業部長の発言からエネルギーを感じてもらうことができたでしょう。しかし、ネガティブなコメントで若手社員の話を遮ったため個別化に失敗し、管理職以外の意見が出なくなってしまいました。

 

全員が互いの話を聴く、発言に感謝するといった行動をとることで、若手社員や中堅社員も心理的安全性を感じてもっと意見を引き出せた可能性があります。また全員に発言の機会を与えるのもひとつの方法です。

参考:「THE CULTURE CODE 最強チームを作る方法」ダニエル・コイル著、楠木建監訳

 

監修:(株)トッパンマインドウェルネス パートナー・コンサルタント

あまねキャリア工房 代表 沢渡あまね


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コラム執筆者
北條藍子
北條藍子(ホウジョウアイコ)
企画開発チーム クライアントパートナー
㈱トッパンマインドウェルネス、企画開発チームのコンサルタントとして、お客様の社員一人ひとりの成長と組織の内発的変革をご支援します。
お客様の人材戦略、特に人材育成の課題解決に取り組んでいます。より本質的な変化を起こすため、対話や内省を通して受講者が自ら気付きを得ること、今までと異なるものの見方に気付き取り組み姿勢が変化したりモチベーションが向上することを重視しています。
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