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専門家コラム

【連載】事例で知る職場の問題解決 第五回:属人化

本コラムでは、よく職場で起きる問題の事例を取り上げ、解決策をご紹介します。ぜひ職場改善のヒントにしてみてください!

 

■よくある職場の問題5:属人化

~ある問題職場の情景~

Aさんは経理部の債権管理課で働いている。債権管理課の大事な仕事は、売上後に取引先から確実に入金してもらうこと(入金管理)。未入金の債権を滞留債権と呼び、これが多いと資金繰り悪化等のリスクがあるため、会社は「滞留債権ゼロ運動」を推進中だ。

 

ある日、Aさんは急病でしばらく休職することになった同じ課の大ベテランBさんの業務を急遽引き継ぐことになった。Bさんは長年取引のある大口顧客を数多く担当している。AさんはBさんの取引先を担当したことがないので、業務を確認しようとしてすぐに恐ろしいことに気付いた。

 

Bさんの業務が完全にブラックボックス化していたのだ!すなわち、取引先ごとに異なる支払明細やフォーマットがあり、Bさん以外に入金確認方法が分からない。課長には「Bさんに任せていて細かいところは分からないから、まず営業に聞いてもらえる?」と言われたが、営業には「Bさんが取引先と直接やり取りしていたので分かりません」と言われる始末。

 

「このままだと滞留債権を見過ごしたり、期日までに決算を締められないかも」とAさんは背筋が凍る感覚に陥った・・・。

 

 

 

皆さんの職場でも、事例のように属人化が起きていませんか?

属人化は悪いものばかりではありません。沢渡あまね氏は、著書「職場の問題地図」で、属人化には「良い属人化」と「悪い属人化」があるとビールにたとえて説明しています。

 

良い属人化は、特定の人にしか出せない付加価値です。例えば当社の業界であれば、プロのファシリテーターは難易度の高いワークショップ(例:変革期にある会社の役員と社員の対話)でも、臨機応変に対応できるといった付加価値を発揮します。

 

一方、悪い属人化は、チームとして「やって当たり前」の仕事が特定の人にしかできない状態です。事例のように、特定の人がいなくなった途端に仕事が止まるリスクを孕みます。

 

ということは・・・Aさんの置かれている状態をこのまま野放しにしたらどうなりそうでしょう?

Aさんが恐れている滞留債権が発生したり、決算が締められないかもしれません。

そうならないようにAさんが頑張っても、すぐにBさんと同じレベルの仕事ができず、過剰な負担がかかるかもしれません。

 

この問題を打開するには、Aさん個人の努力に頼らず、チームで一致団結して不測の事態に備える必要がありそうです。

チームメンバーが問題を自分ごと化して向き合えれば、解決策を決めて実行する機運が作られ、事態の改善が期待できます。ここからは本ワークショップでご提供しているヒント集の一部をご紹介します。

 

 

「マニュアル作成」で脱属人化!

職場の問題地図ワークショップでは、属人化を防ぐ方法のひとつとしてマニュアル作成をご紹介しています。

 

ベテランのBさんが急病になり業務がストップする危機に陥ったことを反省し、経理部全体でこのヒントに基づいて話し合いました。

 

債権管理課に限らず、多くの人が属人化のリスクを感じた経験を持つこと、定型業務が多いことから、マニュアルを作り業務を標準化しようと全員一致で決まりました。

そこで、同じ業務に携わる人の1人が標準化を検討してマニュアル化し、他の人がそのマニュアルに沿って業務をやってみることにしました。

 

すると、思った以上に業務をスリム化できることに気付きました。作成者以外の人が「なぜこの進め方なのか?」と業務の背景や意味・意図を新鮮な目で見直すと、互いの好みやこだわりで続いていた不要な作業の発見につながったのです。

さらに、浮いた時間で経営陣への分析データ提供など、利益貢献につながる業務ができるようになりました。

「めでたしめでたし!」 と言いたいところですが、

とはいえマニュアル作成は労力がかかります。作成する時間がない場合もあるでしょう。

 

そこで、マニュアルの目的に沿って、レベル感や作成方法などを下記のように検討できるとよいかもしれません。

・「ノウハウメモ」など簡易な記録ベースで仕事の勘所だけを複数人で共有する

・PC上の操作を自動記録してマニュアル動画を作成してくれるITツールを使う

・文章ではなくマンガで作成する

・マニュアル作成を専門業者にアウトソースする

などです。

こうしてチームとして仕事の進め方を合意して実行し、実際に仕事時間に比して成果が出せることを実感できれば、職場の勝ちパターンの出来上がりです!

 

監修:(株)トッパンマインドウェルネス パートナー・コンサルタント

あまねキャリア工房 代表 沢渡あまね


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コラム執筆者
北條藍子
北條藍子(ホウジョウアイコ)
企画開発チーム クライアントパートナー
㈱トッパンマインドウェルネス、企画開発チームのコンサルタントとして、お客様の社員一人ひとりの成長と組織の内発的変革をご支援します。
お客様の人材戦略、特に人材育成の課題解決に取り組んでいます。より本質的な変化を起こすため、対話や内省を通して受講者が自ら気付きを得ること、今までと異なるものの見方に気付き取り組み姿勢が変化したりモチベーションが向上することを重視しています。
得意分野 モチベーション・組織活性化、キャリア開発、コミュニケーション
対応エリア 全国
所在地 台東区