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プロフェッショナルコラム

【連載】事例で知る職場の問題解決 第三回:仕事の総量が多い

本コラムでは、よく職場で起きる問題の事例を取り上げ、解決策をご紹介します。ぜひ職場改善のヒントにしてみてください!

 

■よくある職場の問題3:仕事の総量が多い

 

~ある問題職場の情景~

Aさんは人事部で採用チームに所属し、新卒と中途社員の両方を担っている。昨今の人手不足の影響か、なかなか採用できないことが会社の課題だ。

 

チームとしても成果を出せていない焦りがあり、

「学生に会社説明会やインターンシップで魅力を感じてもらうため、アイデア出ししよう」

「経団連の採用活動の指針が廃止されたことへの対応策を考えなければ」

「応募者がなかなか集まらない。転職エージェントと人財要件を改めて整理する打合せをしよう」

「今はやりのリファラル採用(※)を試したらどうかな」

など次々と打開策を繰り出している状況である。

 

※リファラル採用・・・社員から自社に適していると思われる知人・友人の紹介・推薦をしてもらい、採用選考を行う手法

 

しかし、それはどんどん仕事が増えているということ。実際、こうした打開策が出てくるたびにAさんや同僚は上司から調査や企画立案を依頼されている。上司も関係者への協力依頼や役員との調整に忙殺されている。必然的にチームの残業時間がうなぎ登りに増え、チーム全員が疲弊していく・・・。

 

この調子だと自分達の中から退職者が出てしまうかも・・・ふとよぎった考えをAさんは慌てて心の隅に押し込めた。

 

 

このような”仕事の総量が多い”問題、あなたの職場でも起きていませんか?

仕事の総量が多くなる原因は一概には言えません。本連載で既にご紹介した「手戻り」「会議に関するムダ」もその一因ですし、他にも属人化や、事務処理が多い、過剰サービス等々、様々な原因が複雑に絡み合って生じる問題だといえます。

 

このまま仕事の総量が多い状態を野放しにしたらどうなりそうでしょうか?

チームや組織レベルでは、仕事の優先順位付けがされず、どんどん仕事が増えるので、重要度が高く緊急度の低い仕事が後回しにされ、組織として成果を出せない、ジリ貧に陥るリスクがあります。

 

また、様々な打開策を考える姿勢はすばらしいですし、やってみないと分からないこともあるでしょう。しかし、全てやろうとすると長時間労働で生産性が下がったり、心身ともに疲弊します。最悪の場合、会社を辞める人が出るかもしれません。本当に辞めてしまったら、さらに1人あたりの仕事量が増える悪循環に陥ってしまいます。

 

この問題を打開するには、有限なリソースをどう効率的に使うかをチームで考える必要がありそうです。

チームメンバーが問題を自分ごと化して向き合えれば、解決策を決めて実行しようという機運が作られ、事態の改善が期待できます。ここからは本ワークショップでご提供しているヒント集の一部をご紹介します。

 

 

■重要度×緊急度マトリクスで優先順位付け

職場の問題地図ワークショップでは、仕事の総量が見えるようにする方法として、チーム全体で仕事を見える化することが大事だとお伝えしています。

 

具体的には、重要度×緊急度マトリクスを使い、互いが抱えている業務を出し合い、チームとして各業務の優先度を話し合って整理し、取り組む仕事とその比重、やめる仕事を決めます。話し合いを通じて業務全体の目的を捉え直し、優先度順位を見直すことにつながります。

このとき、「やめられる仕事はないか」を検討することがとても大事です。

効果が薄い仕事、仕事のための仕事(例:報告書などの社内説明資料作りや、いわゆる『ハンコリレー』など)、形骸化している仕事など。こうしてチームに余白を作っていくことで、新しい重要な仕事が始められます。

 

冒頭の事例で上記のヒントを使って話し合った事例を紹介します。

重要度と緊急度を整理してみると、中途採用はその両方が下がっていることに気づきました。

 

以前は、現場が即戦力を期待して中途採用を強く望んでいるため、緊急度の高い即戦力の中途採用に時間を割いていました。

現在は、現場の戦力も安定していることを考えると、実は新卒採用の重要性が高まっていることが話し合いによって見えてきました。

 

自社の採用戦略のあるべき姿に立ち返り、当社は中途採用より新卒採用の重要度が高いと合意したため、業務の優先順位を見直しました。

また、緊急度は低いものの、新卒採用業務の中で特に重要度が高いと判断した「経団連の採用活動の指針廃止」への対応に多くの時間を割くことに決めました。一方、「リファラル採用」は重要度も緊急度も低いと判断し、調査や施策検討は中止することにしました。

 

このような話し合いは、採用活動が一巡する時期に、その年の振返りと次年度の活用方針を決めるために重要だという認識も、全員で手に入れた大きな成果でした。

 

こうしてチームとして仕事の進め方を合意すると、自分達で決定したことなので納得感が高まるとともに、目的意識が明確になり、チームの一体感向上も期待できます。

さらに、実際に仕事時間に比して成果が出せることを実感できれば、職場の勝ちパターンの出来上がりです!

監修:(株)トッパンマインドウェルネス パートナー・コンサルタント あまねキャリア工房 代表 沢渡あまね


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コラム執筆者
北條藍子
北條藍子(ホウジョウアイコ)
企画開発チーム クライアントパートナー
㈱トッパンマインドウェルネス、企画開発チームのコンサルタントとして、お客様の社員一人ひとりの成長と組織の内発的変革をご支援します。
お客様の人材戦略、特に人材育成の課題解決に取り組んでいます。より本質的な変化を起こすため、対話や内省を通して受講者が自ら気付きを得ること、今までと異なるものの見方に気付き取り組み姿勢が変化したりモチベーションが向上することを重視しています。
得意分野 モチベーション・組織活性化、キャリア開発、コミュニケーション
対応エリア 全国
所在地 台東区

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