企業研修、採用、評価、人材開発、労務・福利厚生のナレッジコミュニティ

プロフェッショナルコラム

第3回:実践からの学び-②実践と振返りの重要性

注)本コラムは、当社(株)トッパンマインドウェルネス 取締役 松井が執筆いたしました。

 

先日、当社が組織開発をご支援した組織長の方と、対談形式のセミナーで事例紹介する機会がありました。

 

このセミナーの参加者より「基本的に、特に斬新な取組みがあるわけではなく、やるべきことをやったという印象を受けました。」との感想を頂きました。その際、組織長は「その通りです。考えて、実行して、振り返って、次を決めて。。。これらを社内の力でできる事が理想。しかし、組織の中にいるとそれができないのも事実。軌道にのせるために、粘り強く関わってくれる外部ファシリテーターの力は必要だったと思う。」とコメントを頂きました。

支援した私たちとしてはありがたいコメントでしたが、組織開発の取り組みはPDCAを回すことが根幹にあるということだと再認識させて頂きました。

 

今回は、PDCAを設計・運営出来なかった事例を通じて、学んだことを紹介したいと思います。事例概要は次の通りです。

 

 

////////////////////////////////////////////////////////

■本件の事例概要は次の通りです。

○テーマ

新組織の立ち上げ

○期間

2ヶ月

○参加者

・組織長

・各部門(経営企画、営業、開発、サービス運用)の管理職

合計 10名

○主要な取組み

・関係者への事前ヒアリング(1対1)

・全員対話(2回)

第1回:お互いを知る / 問題と課題の整理

第2回:組織方針の共有 / アクションプランの策定

////////////////////////////////////////////////////////

 

□成果と課題
<成果>
・全員対話の第1回では、お互いを知るワークを通じて、それぞれが強みとしていること、現状職務で取組んでいることなどの相互理解が進み、組織のこれからをともに話すための関係構築が進んだ。
・事業成長としては踊り場にあることへの危機感を共有し、何を変えなければいけないか、共通のフレーム(ビジネスモデルキャンバスを活用)のもと、対話を進めることができた。
・各部門で見ている"顧客"が違うことが明らかになり、そのことを受けて次年度の方針を明確にすることを組織長が約束して第1回を終了できた。
・全員対話の第2回では、組織長より第1回の対話での気づきを踏まえた方針が発表され、参加者の納得感がある状態でスタートできた。
 
<課題>
・全員対話の第1回終了時、組織長のアクション(方針作成/検討)へのコミットメントに偏っており、その他の参加者がどのように貢献するのかが曖昧な状態で終わった。
・全員対話の第2回実施時に、第1回で共有した矛盾点や問題点("顧客“は誰か、何で稼ぐか、など)の解消に向けた話し合いが進まなかった。
・特に、第2回は次年度計画の重点項目をアウトプットにしたため、第1回の市場全体を見る視点から、部門最適の視点に落とし込まれる傾向が強く、通常の計画作成プロセスに近いアウトプットになった。
 
 
□振返っての学び
振返ると、総論賛成の状態は作れたが、各論の整合性が取れていない状態で業務を進める形になった点が、成果創出に貢献できなかった原因であったと考えます。今回の事例から学ぶことは以下の2点です。
 
(1)次回へのコミットメントを明確にする
本案件では、第1回の話し合いで得た成果を、組織長が中心に引き取る形で終わりました。結果、組織長一人がボールを預かる形としてのまとめとなり、第2回の参加者に「組織長が決めたことだから」という受身の姿勢を持たせてしまいました。
第1回で全員が熱意を持って本質的な問題点に向き合うという成果があったにも関わらず、そのエネルギーを第2回の成果物に反映できなかったといえます。これは、第1回の成果をメンバー全員でまとめるというプロセスにしなかったことが要因です。
さらに、第2回では、直近の結果を求めることが重視され、通常のアクションプラン策定のプロセスに戻ってしまいました。自分達で話し合ったことを活かして、次のアクションを決めることの重要性を学ばせてもらったといえます。
 
 
(2)対話の成果物と実務の成果物を区分する
本件は、実務の目標、方針を策定する(ビジネスゴール「実務の成果物」を描く)ことが大きな目的でした。当社が対話型のファシリテーションを通じて解決していく問題は、ビジネスゴールそのモノではなく、ビジネスゴールに影響を与える「パフォーマンスゴール」を見つけ、その発揮を支援していくことです。
第1回の対話で見出したパフォーマンスゴールは、「売上規模拡大」というビジネスゴールの実現に向けた「全員が同じ顧客を見る」ことが挙げられます。「全員で同じ顧客を見る」ために必要なことは何かという点について対話を掘り下げる必要があったのですが、「売上規模拡大」の施策がテーマ設定されたことで、いつもの計画検討の流れになりました。
参加者にとっては今期の重点事項に落とし込みたいというベクトルが強く働く状況下ではあったものの、対話の成果の重要性を認識して頂き、取り組んで頂くことが重要であると改めて感じました。
 
 
PDCAを組織でしっかり回すためには、書類上に整理するだけではなく、一人一人の「やってみよう」という想いをしっかりのせることが重要になります。そのためには、「ビジネスゴールをどのようなパフォーマンスによって実現させるか」という部分を明確に出来るような対話の進め方や時間配分が必要になるという学びを得た案件でした。この点は、今後も設計工夫の探求が必要と考えます。


関連情報

この記事にコメントする

この記事に対するご意見・ご感想のコメントをご投稿ください。

※コメントの投稿をするにはログインが必要です。

※コメントのほか、ニックネーム、業種、所在地(都道府県まで)がサイト上に公開されます。

コラム執筆者
本田 郷士
本田 郷士(ホンダ サトシ)
株式会社トッパンマインドウェルネス マーケティングチーム
㈱トッパンマインドウェルネス、マーケティングチームの営業・コンサルタントとして、お客さまの課題抽出から解決策のご提案、実施をご支援します。
マネジメントや人材育成・組織変革の経験を基に、トッパンマインドウェルネスの営業およびコンサルタントとして、お客様の人材戦略の解決に日々取り組んでいます。
過去には、営業コンサルティング、マーケティング戦略策定などに携わる。
得意分野 リーダーシップ、マネジメント、コーチング・ファシリテーション、チームビルディング、コミュニケーション
対応エリア 全国
所在地 台東区

会員として登録すると、多くの便利なサービスを利用することができます。

タレントパレット

注目コンテンツ


テレワーク特集

「テレワーク」のメリット・デメリットを整理するとともに、導入プロセスや環境整備に必要となるシステム・ツール、ソリューションをご紹介します。


【人事の日制定記念企画】
オピニオンリーダーからのメッセージ

HR領域のオピニオンリーダーの皆さまから全国の人事部門に向けてメッセージを頂戴しました。


人事メディア情報

人事メディア情報

人事・労務関連の代表的なメディアをご紹介いたします。


「グロービス学び放題」導入で公募研修の受講者が増加<br />
“自発的に学ぶ”企業文化を醸成

「グロービス学び放題」導入で公募研修の受講者が増加
“自発的に学ぶ”企業文化を醸成

急速に変化する市場環境の中で競争力を維持・向上させていくためには、人材...


「見える化」による効果検証で テレワーク導入をスムーズに実現<br />
西部ガスが取り組む“業務・ワークスタイル改革”とは

「見える化」による効果検証で テレワーク導入をスムーズに実現
西部ガスが取り組む“業務・ワークスタイル改革”とは

福岡市に本社を構える西部ガス株式会社は、「働き方改革」の一環としてテレ...