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「富士通 高度人材に3000万円超の報酬」への疑問

毎日新聞8月8日付けで「富士通 高度人材に3000万円超の報酬 今年度中にも新たな人事制度」という記事が出ていた。同社の時田隆仁社長が毎日新聞などの取材に応じ、「AIなどで高い専門性を持つ社員に対して、年齢に関係なく年間3000~4000万円程度の報酬を支払う新たな人事制度を今年度中にも導入する方針を明らかにした」「高度なIT人材を巡って世界中で激化する人材獲得競争への対応を強化する考えを示した」とのことである。

 

発言の詳細が記されていないので、どのような発言に基づいてこの記事が書かれているのか不明であるが、人事制度の設計・導入を長年手掛けてきた経験から、この記事内容の基本的な疑問点・問題点を指摘しておきたい。

 

まず「高い専門性を持つ社員に対して年齢に関係なく年間3000万円から4000万円の報酬を支払う」とあるが、高い専門性とは何か?「高度なIT人材」を指しているようだが、どのような定義が可能なのか、またそれを判定する納得性の高い根拠をどのように示すのだろうか?(富士通の)平均年収800万円という中で、これを変えずに3000万円から4000万円の年収を支払うことのできる整合性の取れた体系をどのように構築するのかは大変興味深い。整合性は関係なく、高い専門性があると誰かが認定すれば決定するようなやり方は制度とは呼べない。「給与は何に対して支払うのか」という会社としての報酬思想・哲学と言えるものを根拠として給与制度は構築される。この発言内容だけを見ると、「専門性」がカギとなる。富士通としては専門性に対して高額な報酬を与えるという経営思想を打ち出したと受け取られる。結構なことだと思う。しかし年収で4倍から5倍の差を裏付けるだけの専門性の差をどのように打ち出す積りなのか、発表される人事制度が楽しみである。

 

発言の後半で時田社長は「個々が担う職務や役割に対して市場価値を反映させた報酬を支払う」と強調したとある。もしこれが本意だとすると、支払う対象は職務や役割であり、「高度な専門性」ではないと理解できる。このつながりをどのように説明されたかは記事からは不明だが、人事制度を考える上ではこの違いは決定的である。報酬思想・哲学の視点から言えば、富士通は「専門性」に払うのではなく、「職務・役割」に対して払うと言っていることになり、全く別の制度を目指していることとなる。

 

報酬決定のプロセス設計も含めて細かいことを言えば様々な形が考えられるが、結論的に言えば「専門性」はInputであり、「職務・役割」はOutputである。会社としての報酬思想・哲学としてInputに対して支払うのか、Outputに対して支払うのかは会社の在り方(経営戦略)と密接に関係している。Outputに対して支払うと言った瞬間から、Outputの定義とその測定・達成判定の根拠をどうするかという議論の展開となる。従来の職能資格型人事制度を踏襲してきた日本企業が能力定義に多大な労力を割いてきたのとは全く異なる道を歩むことを意味する。Inputさえ良ければ会社の業績が良くなるという、高度経済成長の延長にある人事管理が相変わらず蔓延している日本において、富士通はOutputを軸とした経営に進むという意思表明をされたのかも知れない。

 

富士通は1990年代初期に成果主義人事を標榜して人事制度を大幅に改定、その後さまざまな批判に対応し、制度に手を加えながら現在に至っている。今回の発言の内容がどのような制度改定・構築につながるのか、興味深いところである。

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秋山 健一郎(アキヤマ ケンイチロウ) 株式会社みのり経営研究所 代表取締役

秋山 健一郎
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