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プロフェッショナルコラム

「組織と人のイノベーション」第3回 組織感度を高める

第3回 組織感度を高める

イノベーティブな組織をつくろうと思ったとき、何から手を付けたらよいのでしょうか。
最初に見極めていただきたいのは、組織の感度。組織全体がさまざまな情報や変化を感じ取る力を持っているかどうかです。いわば、組織の「感じる力」です。

組織感度という言葉も、組織感情と同様に、私の造語です。もともとは一人ひとりが、身の回りで起きている小さな出来事にも気づき、これから起こりうる変化や現象に関心を持ち、アンテナを広く持っていることが大切です。つまり、個々人が周囲や未来の変化を感じ取る力が土台です。
ただこれも、組織感情のように、周囲に広がっていきます。みんなが目の前の仕事に閉じこもり、近視眼的になっていくと、周囲も未来も見えなくなる、見なくなる。そうした人たちが増えていくと、周囲や未来の変化への関心も会話も減っていきます。やがてみんなの感度が鈍くなる、本当は自分たちの将来に影響するかもしれない変化にも気づけない、それこそただ自分たちを追い込むリスクとしか受け止められなくなります。だから、個々人の意識は大切なのですが、それ以上に組織全体で目線を内側から外側に向け、「感じる力」を再生していくことが必要なのです。

では、どうしたら組織感度を高めることができるのでしょうか。次の2つのアプローチで考えてみてください。

一つ目のアプローチは、みんなの関係性がある程度良好であることが前提ですが、「いきなり共通体験」をしてみるというものです。
たとえば、ダイヤローグ・イン・ザ・ダークという暗闇の中をグループで歩きながら、感度を研ぎ澄ましていくというプログラムがあります。ドイツで生まれたプログラムで、日本でも体験できますが、視覚障がい者の方に案内をいただきながら暗闇の中をグループで声を掛け合い、一緒に進んでいくというものです。最初はお互いの距離感がわからず、足下がどうなっているかもわからず不安でいっぱいですが、やがて周囲の小さな息遣い、音、温度、動きを感じ取れるようになっていきます。どこかで心の窓が開きだす。すると、周囲への感度が上がっていく。こんな不思議な体験をすることができます。
ジェイフィールでも、「禅」や「気功」を取り入れてみたり、自分の今と自然と向き合えるような「ドラマ」を制作し、一緒に感じる、一緒に心の窓を開くという体験をしてもらっています。大切なのは、みんなで同じものを感じ取るということです。
ハウステンボスに「変なホテル」というロボットが運営する近未来型のホテルができたそうですが、こうした未来を先取りした新しい取り組みをみんなで体験してみる。逆に、おもてなしの究極のサービスを体験してみる。こうした異体験をみんなですることで、自分たちの固定概念を壊してみる。そんな経験ができないか、ぜひ考えてみてください。

ただ、こうした経験はあくまできっかけにしかなりません。より大切なのは、日々の生活の中でこうした感度を高めていくプロセスを創り出してしまうことです。これが二つ目のアプローチです。
私が教えている東京理科大学大学院、イノベーション研究科では、各自がプレゼンテーションする前に、今週の1枚といって、ちょっとした話題、ニュース、写真などを持ち寄ることを習慣にしているゼミナールが多くあります。
街角で見つけた不思議な看板、面白い新商品情報、海外で話題になっているニュース、家族で体験したことなど、何でも構いません。でも自分が気になったこと、気づいたこと、面白いと思ったことをプレゼンする前に紹介します。
最初はかなりプレッシャーになりますが。何度か繰り返していると、みんなの感度が上がってくるのがよくわかります。よくそこに気付いたねという、小さな広告、ニュースの中に、面白い情報や意味を見出す人も出てきます。すると、それがまたお互いへの刺激になり、組織全体の感度が高まっていきます。
その上で、これも半年に1回ぐらいでもいいので定期的にやってみていただきたいのは、「未来ワーク」です。こうした萌芽的な事例、気になる情報をみんなで事前に集めます。それらを読み込んで、複数の情報や事例を組み合わせて、未来の変化を予測します。それが自分たちの生活、会社の未来にどう影響するかをそのあと議論しながら、自分たちが向き合うべき変化を見出していきます。

組織感度という言い方をしていますが、要は「好奇心」です。みんなが周囲に心の窓を開き、小さな変化、小さな現象に気付けるようになり、そこに未来につながる意味を見出せるようになっていく。これが組織全体の未来への関心、未来を考える力を引き出してくれます。
夏休みは特に、自然と向き合ったり、日常と違う体験をする良い機会ですよね。そんなことを通じて、まずは自分の心の窓を大きく開いてみてください。きっと、身近なところに何か自分を幸せにしてくれる小さな種が見つかると思います。


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コラム執筆者
高橋 克徳
高橋 克徳(タカハシ カツノリ)
株式会社ジェイフィール代表取締役  東京理科大学大学院教授
ベストセラー「不機嫌な職場」の著者
リレーションシップを基軸にした新たなマネジメント論を提唱
「つながり力」の再生が、個を活かし、組織を強くする。
「組織感情」「リレーションシップ」など、組織力を高めるための方法論を数多く提案。
個々人が働く喜びを取り戻し、組織がイキイキと動き出す支援をしています。
得意分野 経営戦略・経営管理、モチベーション・組織活性化、リーダーシップ、マネジメント、チームビルディング
対応エリア 全国
所在地 渋谷区

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