【人事評価】見直しの目的や手法、課題を解説

自社において人事評価制度がうまく機能していなかったり、従業員の納得感を得られる評価が実施できていない場合には評価制度を見直す必要があります。しかしどのように見直せばよいのか悩む担当者も多いでしょう。
当記事では、人事評価制度の見直しを検討している場合にどのような手法を用いればよいのか、どのような課題があるのかなどを解説します。
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人事評価制度とは
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人事評価制度とは、従業員のスキルや組織への貢献度などをあらゆる側面から評価し、報酬や等級などの待遇に反映させる仕組みです。それぞれに合わせた育成施策や配置転換などの人材マネジメントにも用います。
■人事評価制度の3要素
人事評価制度は次の要素から成り立っています。
⚫︎能力評価:業務上のスキルや知識に対する評価
⚫︎業績評価:成果や目標の達成度合いに対する評価
⚫︎情意評価:従業員の仕事への意欲や態度に対する評価
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人事評価制度の見直しの目的
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自社がどのような状況に陥っているのか把握し、目的を明確化したうえで見直しをしましょう。
ここでは人事評価制度の見直しの目的について紹介します。
■従業員に対する処遇の改善を適切に行うため
人事評価制度は、従業員の昇格など給与査定を行うための重要な材料となります。もし自社の従業員から評価に対する不満の声が多い場合、人事評価制度を見直したほうがよいでしょう。評価基準が曖昧だったり、評価基準が「能力・業績・情意」のいずれかに偏っているようであれば、見直す機会と判断してよいでしょう。正しい処遇を実施できるようになれば、従業員に対する処遇の改善に導くことができます。
■適材適所の人材配置を実現するため
人事評価制度を見直すことにより、従業員のスキルや適性を正確に把握できるようになることで、配置転換や昇格による異動を実施する際、適材適所に人材配置することが可能です。自身の経験やスキルに合ったポジションに就けられれば、従業員は本来の能力を十分に発揮でき、やりがいを感じながら働けるでしょう。
■効果的な人材育成を促進するため
従業員から現在の人事評価基準に対する不満が挙がっていない場合でも、見直しを検討すべきケースもあります。もし企業が求めるスキルレベルに達していない・求めるレベル以上の人材がいない場合には、人事評価制度の見直しが必要です。
まずは自社に「どのような人材が必要なのか」を再確認し、そのために従業員をどう育成していくかを検討しましょう。そうすることでより効果的な人材育成を実施できるようになります。
■組織全体の業績アップにつなげるため
人事評価制度を見直すことは、あらためて組織の経営方針・目標などを見つめ直す機会にもなります。それを従業員に周知することで、それぞれがどのような目標を立て、どう行動していくべきか考えるきっかけとなります。従業員が組織目標に沿って行動できれば、業務改善・効率化が進み、生産性の向上が期待できます。それによって、自ずと組織全体の業績アップにもつながるでしょう。
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人事評価制度の見直しポイント
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自社の人事評価制度がうまく機能していない場合にはいくつかの理由が考えられます。
ここでは、人事評価制度を見直すポイントを紹介します。
■組織の理念・ビジョン・価値観が明確か
どのような企業でも、人事評価制度は組織の経営理念やビジョン、価値観などに沿った設計をしなければなりません。まずは自社の方向性や考え方などが明確かを確認しましょう。なお、時代の変化とともに変わる経営目標に対して柔軟に対応できる人事評価制度を設計することを検討しましょう。
■求める人物像が設計されているか
人事評価制度の見直しの際は、組織がどのような人材を求めているのか、どういったスキルを求めているのかを明確にすることが非常に大切です。なぜなら、理想の人物像が明らかになっていれば、従業員は理想像と自身の差を把握することができるからです。
不足しているスキルなどがあればそれを補う行動を取りやすくなり、理想の人物像に近づければモチベーションアップや組織への信頼度、エンゲージメント向上につながります。また、従業員のスキルアップの指標にするため、部門ごとの理想像を設計することも重要です。
■人事ポリシーが定義されているか
自社が求める人物像や、従業員に期待する価値観、採用・評価基準などを示す人事ポリシーが定義されているかもチェックしましょう。人事評価制度を見直すにあたり、人事ポリシーが定義されていれば検討しやすくなります。人事ポリシーを定義しておくことで、その先で再び人事評価制度を見直すタイミングが訪れた際にも効率的に検討を進めることができるでしょう。
■人事評価制度が周知できているか
自身がどのような基準で評価されているのかがわからなければ、従業員が評価に納得することは難しいでしょう。企業と従業員が同じ認識・方向性である状態は、納得感のある評価につながります。また、公平な評価を実現するためには評価する側の教育も必要です。評価者の主観や印象だけで評価することがないよう、評価方法についても研修などを通して周知するようにしましょう。
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人事評価制度見直しの手法
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現在の人事評価制度がうまく機能していない場合、新しい手法を取り入れることも一案です。
ここでは近年主流となりつつある、4つの評価手法を紹介します。
■MBO
MBOは「目標管理制度」ともいい、約7割近くの企業が導入しているといわれる評価手法です。組織の目標に沿って従業員自らが個人目標を設定し、その達成度合いを評価するマネジメント方法です。従業員のスキルアップが望めるほか、目標達成の度合いによって評価が行われるため、企業・従業員双方が納得感を得られるメリットがあります。
■OKR
OKRは、目標(Objectives)と主要結果(Key Results)を結びつけ、目標設定、進捗確認、結果に対する評価を頻繁に行う評価手法です。目標に対する進捗確認を随時行うため、最終的な評価も公平かつ納得感のあるものになるというメリットがあります。
■360度評価
上司だけでなく同僚や部下なども評価者となり、多方面から評価する手法です。1人の主観に偏ってしまいがちな評価とは異なり複数人から評価されるため、客観的かつ公平な評価ができるのがメリットです。また、従業員の業績やスキルだけでなく、職場内での人間関係やチームへの貢献度も把握できます。
■コンピテンシー評価
組織において高いパフォーマンスを発揮している人材の能力などをモデルとし、従業員の行動を評価する手法です。モデルに近い人材となるために従業員はどこをどう努力すべきか把握しやすくなり、効率的な人材育成が叶うとされています。コンピテンシー評価は、評価者の主観に偏らない公平な評価が行えることがメリットです。
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人事評価制度の見直しの課題
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人事評価制度が上手に運用できない企業には、共通した課題が見られます。
どのような課題があるか把握しておくことで、適切な評価制度の見直しを実施することができるでしょう。
■現状と人事評価制度が合致していない
企業が抱えている課題はそれぞれ異な異なるため、「トレンドだから」というような理由で新しい人事評価制度を導入してしまうと、うまく機能しない可能性があります。自社がどのような課題を抱えているのかを把握し、働き方に合わせた人事評価制度を取り入れる必要があるでしょう。
■評価制度の内容が浸透していない
人事評価の基準があいまいだと従業員はどう評価されているのかわからず、結果に対して不満を感じてしまうでしょう。評価に対する不満は企業への不満となり、最悪の場合には離職につながります。
自社の人事評価制度を従業員に周知するとともに、「なぜこの制度なのか」という点についても説明することが大切です。評価制度を周知する際には、組織の経営目標や理念なども伝えることで、従業員全員が同じ方向を目指した目標設定や行動ができるようになります。
■評価結果が具体的に説明されていない
せっかく自社に適した人事評価制度を設定しても、評価結果が従業員に伝わっていなければ透明性のある評価制度とはいえません。人事評価制度は従業員の処遇を決定する材料になりますが、同時に今後の指標を示す役割も担っています。
評価結果を説明することで、従業員は「なぜこの評価なのか」「今後どのような行動をとればよいのか」を明確に把握できます。目指すべきゴールがあれば仕事へのモチベーションも向上するでしょう。
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人事評価制度を見直すメリット
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人事評価制度を見直すことで得られるメリットを3つ紹介します。
■モチベーションアップ
人事評価制度が適切に運用されている状態とは、従業員の意欲やスキルを正しく評価できている状態です。正当な評価による処遇の反映は従業員に納得感を与えるとともに、さらなるスキルアップへのモチベーションにもつながります。
また、適切な人事評価が行われていれば、適材適所の人材配置も可能になります。従業員は自分の能力を発揮できるポジションに就くことで、向上心高く業務に臨めるでしょう。
■組織と従業員の信頼関係が築ける
人事評価制度を見直す際、現場の声も聞くことで企業全体で納得感の得られる評価制度を構築することができます。制度を見直す際には、現在の人事評価制度に対する不満や改善して欲しい点などをヒアリングしながら検討するとよいでしょう。
人事担当者は従業員がどのような点で改善を望んでいるか把握できます。また、従業員は自分たちの意見を聞いてくれることに対する満足感を得られます。コミュニケーションをはかりながら見直しをすすめることは、従業員の企業に対する信頼感や愛社精神の向上、つまりエンゲージメント向上のきっかけになります。
■従業員の隠れた才能を見出せる
適切な人事評価制度を運用できれば、従業員個々の能力・スキルを明確に把握できるようになるでしょう。そうすることで、適材適所の人材配置や不足しているスキルの再発見、これまで見えなかった隠れた才能を見出せる可能性もあります。
能力・スキルのレベルが明確になれば、必要な研修を考案・実施でき、効果的な人材育成施策を打ち出すことができるでしょう。
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まとめ
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人事評価制度は、公平かつ透明性の高いものでないと納得感を得ることができません。適切な評価が実施できれば、従業員のスキルアップやエンゲージメント向上を促します。従業員が高いパフォーマンスを発揮できれば、将来的に企業の成長にもつながります。働き方の多様化や顧客ニーズに合わせて、定期的に人事評価制度を見直すようにしましょう。
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人事評価制度の見直しにはシステムを
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