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専門家コラム

日本的なキャリアマネジメントを考える(5)

(続き)

 

部下のモチベーションが上がれば、上司のモチベーションも上がりますから、部下と上司のキャリアを考えるとき、部下のモチベーションをいかに上げるかは、とても重要なテーマになります。

 

情けは人のためならず、という格言があります。若い人たちは、この格言を「情けをかけると、かけられた人はそれに甘えるので、その人のためにならない」という意味にとる傾向があると言われていますが、元々の意味は「人に情けをかけると、それが巡り巡って自分にプラスになってかえってくる」という意味でした。

ここでは元々の意味を活かして、「上司が部下のモチベーションを上げることは部下のためならず」と言かえていただきたいのですが、残念なことに、「上司が部下のモチベーションを上げようとしたら、部下がそれに甘えて、部下のためにならない」と、考えて、やたらと部下を追い詰める上司がいます。「獅子の子落とし」タイプと私は呼んでいます。獅子の母は子どもを谷に突き落とし、這い上がって来る子どもだけを育てるという、ライオンにとってはえらい迷惑な言い伝えがあり、この手のスパルタ教育が好きな上司は、暴言的な言動で部下を脅します。

私は、部下には常に高いレベルの要求をした方が良いと考えていますが、優しい言葉遣いでも、高度なレベルの要求を部下に伝え、部下に実践させることはできます。

 

 

部下のモチベーションの問題を考える時、避けて通れない心理的課題があります。それは学習性無力感です。何をやっても何の効果も得られない状態が続くと、自分は何もできないことを学習して、無力感にとらわれ、何もしなくなる心理状態のことです。

悲しい話ですが、企業の人員削減の対象になる中高年のビジネスパーソンの中には、学習性無力感に陥っている人が少なからず存在します。一流企業に入社した人たちですから、元々は優秀だったはずです。10年、20年と時間の経過とともに、次第に自分で考え、自分で行動する習慣を失い、受け身のキャリアをいくうちにリストラ対象者になってしまうケースにしばしば出会います。

その原因の大部分が人間関係にあります。特に上司との関係が重要です。この文章の流れからすれば、パワハラ的な上司につぶされて、学習性無力感に陥った人が多いように思われるかもしれませんが、反対に上司に甘やかされてつぶれた人もいます。

 

パワハラ的上司と甘やかし上司の心理的な共通点は、共感が薄いことです。

(続く)

 


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コラム執筆者
松下 信武
松下 信武(マツシタ ノブタケ)
わたし・みらい・創造センター(企業教育総合研究所) 上席研究員 / ゾム 代表
日本のエグゼクティブ・コーチング創生期から活躍し続ける、人材育成のスペシャリスト
現在も月10名程度のエグゼクティブ・コーチングを継続中。
メンタルコーチとしては、オリンピック選手のメダル獲得にも貢献。
心理学をベースとした人材育成のアドバイスや心理アセスメント作成でも好評を博している。
得意分野 モチベーション・組織活性化、安全衛生・メンタルヘルス、キャリア開発、マネジメント、コーチング・ファシリテーション
対応エリア 全国
所在地 新宿区

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