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「戦友体験効果」を取り入れた21卒採用活動で辞退者を減らす

◆新型コロナウィルスの影響によって企業の採用スケジュールは後倒し

 

先日の前編・後編の記事を通してお伝えしたことは、マズローの欲求5段階説とハーズバーグの動機づけ衛生理論にもとづいて、生理的欲求・安全欲求・社会的欲求が満たされていない今は企業において衛生要因を解消する取り組みをしたほうがいいですよ、という内容でした。

 

実はこれ、今在籍している従業員に対して有効な話だけではなく、現在進行中の21卒採用活動にも通じる話なんです。

 

3月30日に株式会社マイナビが1060社を対象に行った「マイナビ2021年卒企業新卒採用予定調査」を発表しました。そこで明らかになったことは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で「エントリーシート結果通知」、「面接」、「内々定出し」の開始時期が後倒しになっている現状でした。

 

―――――――――――――――

”新型コロナウイルス感染拡大が採用スケジュールにどのような影響を及ぼしているかを検証するため、2月に回答があった企業と、感染拡大のニュースが大きく報道され始めた3月に回答があった企業の回答を比較した。

2月に回答があった企業では前年に比べ「前倒し傾向」がみられたが、3月以降に回答があった企業では、「エントリーシート結果通知」「面接」「内々定出し」の開始時期が1カ月ほど後倒しになる様子が見受けられた。

新型コロナウイルスの影響を受け、学生との接触機会が限定された結果、採用活動における選考フェーズが後倒しになっているようだ。”

―――――――――――――――

 

新型コロナウィルスの影響によって企業の採用スケジュールが乱れるなか、採用予定数は前年並みという回答が出ているところを見ると、各社の採用意欲は変わらず、売り手市場が21年卒はまだ続く見込みだとわかります。

 

ということは、選考・内定辞退者数も例年のように見込まれることも予想できますね。

 

ですが、企業にとっては例年にも増して選考・内定辞退者数を控えたいところ。なぜならば、例年よりも後倒しの採用スケジュールを強いられた各社はできるだけ採用活動を長引かせたくないと思うから。

 

新型コロナウィルスの影響を受けた今、選考・内定辞退者数を抑制するための対策は例年と同じでよいのでしょうか?

 

 

◆衛生要因のうち、重視すべきは「構成員」という因子への対策

 

先に結論を言ってしまうと、「NO」です。例年と同じではなく、今のこの状況に合わせた対策を取る必要がありますね。では、どんな対策が有効なのか見てみましょう。

 

そもそも応募者が企業を選ぶ際、上記の写真で表されるような以下の5大因子を見ていると言われています。

 

1)活動内容:
会社の方針、ビジョン・ミッション・バリュー、事業内容、扱う商品など

2)構成員:
上司や先輩の能力、監督、指導方法、人間関係、カルチャー、雰囲気など

3)待遇:
給与、福利厚生、正当な評価など

4)労働環境:
ワークライフバランス、作業環境など

5)成長可能性:
スピード感、裁量、実際の仕事内容キャリアパスなど

 

この5大因子はハーズバーグの動機づけ・衛生理論にもとづいて出された項目で、これらを企業が応募者に選考過程を通してしっかりと伝えていくことで選考・内定辞退者の減少に繋げられると考えられています。

 

冒頭でお伝えした、生理的欲求・安全欲求・社会的欲求が満たされていない今は企業において衛生要因を解消する取り組みをしたほうがいいですよという内容は採用活動においても言えることで、衛生要因である「1)活動内容」「2)構成員」「3)待遇」「4)労働環境」をとくに解消すべく選考過程を通して働きかけをしたほうが辞退者減少に効果的だと考えます。

 

なかでも重視したい因子は「2)構成員」。

 

その根拠となるのはこちら。新卒採用のダイレクトリクルーティングサイトOfferBoxを運営する株式会社i-plugが21年卒の学生を対象にした「企業の魅力と働き方」に関する調査結果です。

 

これは2021年に卒業予定の学生4199人を対象に就職活動に対する意識の実態を調査したもので、「就職活動で重視すること」や「企業に求めるもの」が明らかになりました。

 

そのなかで「どのような企業に魅力を感じるか」を聞いたところ、トップは4年連続で「社内の雰囲気が良い」で、全体のうち75.6%を占めたとのこと。

 

「雰囲気」・・・なかなか明確な答えではないなと一見思われがちですが、雰囲気が良いことを魅力に感じる理由には、「仕事のパフォーマンスに影響する」「ギスギスした雰囲気の中では効率のいい仕事ができない」などを挙げていて、学生なりに生産性の観点から雰囲気の良さを求めている学生が多いということがわかります。

 

これはもうまさに、5大因子のなかの「2)構成員」のことですよね。

 

さらにもう一つ、「社内の雰囲気が良い」ことを求める就活生に対して、今の状況だからこそ取り入れたい選考手法があります。

 

 

◆「戦友体験効果」をいいぐあいに取り入れる

 

ところで私たちは、恋をしたときに感じるあのドキドキは不安や恐怖を感じるドキドキと区別ができません。ですので、初デートでお化け屋敷に一緒に入って一緒にドキドキすると(勘違いかもしれないのに)恋愛が始まりやすいとも言われるのは、それがゆえんです(保証はしませんけど笑)。

 

カナダの心理学者ダットンとアロンによって実証された「つり橋効果」と呼ばれるこの心理効果を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

 

このつり橋効果と似た心理効果に、「戦友体験効果」があります。

 

これは、過酷な体験を他者と協力して乗り越えると相手に対する好意が高まる、という心理効果です。よくアクション映画でヒーローとヒロインが過酷な体験を一緒に乗り越えると好意を抱きやすい、というのもこれにもとづいているんですよね。

 

社会心理学者の榊博文さんいわく、映画のようなインパクトある状況ではなくても、また恋愛というカテゴリーではなく同性の仲間同士でも、「戦友体験効果」は生じるとのこと。

 

今の状況であれば、新型コロナウィルスの影響を受けながらもいかに就職活動を乗り越えられるかという観点から、この心理効果が生じやすくなるように、いい具合に選考過程に組み込めるとよいでしょう。

 

例えば、グループワークは選考の定番になりましたが、オンラインで同じ就活生と例年よりもやや負荷のかかるグループワークを選考過程に取り入れるとか、あるいはグループワークのテーマ自体を「新型コロナの影響を受けた弊社の業績を上向きにするためのアイデア・施策」にして就活生と企業が一体となってコンペ式で取り組むことも有効ではないでしょうか。

 

榊さんいわく、「戦友体験を経るとお互いに相手の要請を請け入れやすくなる」とのこと。内々定というオファーを出したときに企業からのその要請を請け入れてもらえるように、今のこの状況だからこその選考方法を実施してみてください。

 

5大因子のなかでも「2)構成員」=社内の雰囲気の良さを求める就活生にとって、今のこの状況を鑑みながら選考に反映させることで、貴社の選考・内定辞退者を少しでも減らすことができれば幸いです。

 

 

《お知らせ》

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