子の看護等休暇や介護休暇を時間単位で取得する際の運用について
いつもお世話になっております。
当社では、正社員の所定労働時間を1日8時間と就業規則に定めております。
また、子の看護等休暇や介護休暇の取得については就業規則に次のように定めています。
・子の看護休暇は、時間単位で取得することができる。
・介護休暇は、時間単位で取得することができる。
なお、実際の運用としては、これまで、子の看護等休暇や介護休暇の取得については、時間単位での取得を認める際に「分単位」での細かな取得を認めておりました。
例)
11月10日:2時間21分の介護休暇取得
11月13日:3時間26分の介護休暇取得
11月17日:2時間13分の介護休暇取得
合計:8時間(1日分)の介護休暇取得
ただ、分単位での管理は煩雑ですし、月をまたぐケースもあり、後から勤怠管理表を見た時にわかりづらいため、今後は「1時間単位」での取得に統一することを検討しております。
この変更により、社員に著しい不利益が生じるものではないと考えておりますが、従来の運用との違いにより、以下のような不便が想定されます。
・2時間30分のみ子の看護等休暇や介護休暇を取得したい場合
・3時間の取得を予定していたが、業務都合により残業が発生し、3時間5分勤務することになった場合
上記のようなケースを踏まえたうえで、子の看護等休暇および介護休暇の取得を「1時間単位」に統一する旨、運用及び就業規則を変更することについて、問題がないかご意見をお願いできれば幸いです。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/11/21 14:05 ID:QA-0161016
- newyuiさん
- 神奈川県/その他業種(企業規模 31~50人)
この相談に関連するQ&A
プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
法的には時間単位ということになりますから、
1時間の整数倍での取得カウントとして、
取得時間は、端数は切り上げる運用となります。
一方で労働時間に対しては、賃金の支払いが発生します。
投稿日:2025/11/21 15:44 ID:QA-0161030
相談者より
いつもお世話になっております。
大変参考になりました。
ありがとうございました。
投稿日:2025/11/21 19:00 ID:QA-0161036大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について回答いたします。
ご記載の内容は不利益変更問題が生じる可能性もありますが、
以下を理由に許容範囲内の変更に該当するものと思案いたします。
・分単位の取得は法律上の義務ではない
・時間単位の取得は法律の要件を満たしている
・分単位管理の負担軽減など合理的な目的がある
・本来、会社の規定上は1時間単位である。
・不利益といっても著しいものではない
但し、従業員にとっては不利益と感じることは避けられませんので、
ケースに応じた変更事例を交え丁寧に従業員へ説明することが求められます。
例)2時間30分の時間が必要な場合は、3時間の申請をするなど。
余りにも混乱が生じそうであれば、経過措置期間を設け、変更時期を
少し後倒しにするなどの配慮を行っても良いかと思います。
投稿日:2025/11/21 15:52 ID:QA-0161033
相談者より
いつもお世話になっております。
大変参考になりました。
ありがとうございました。
投稿日:2025/11/21 19:03 ID:QA-0161037大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.結論
1時間単位への統一は法令上まったく問題なく、実務上も“許容される”変更です。
ただし、不利益変更と評価される余地があるため、丁寧な周知と運用配慮が必要です。
2.法令の結論
育児・介護休業法は「1時間単位」での運用を正面から許容している
育児介護休業法施行規則 第23条(子の看護休暇)
育児介護休業法施行規則 第34条(介護休暇)
および厚労省Q&Aでは:
・法定の最小単位
令和3年改正により
1日・半日・時間単位のいずれの取得も企業に義務付け
“1時間を下回る単位(分単位)まで認める義務はない”
つまり、
会社が「1時間単位に限定する」と規程で定めることは完全に適法です。
(※分単位はあくまで“努力義務”でもなく、各社の任意。)
3.従来「分単位」を認めていた → 廃止して「1時間単位」へ
これは 不利益変更に該当する可能性があります(重要)。
・理由
分単位で取得できた → 1時間単位のみに制限
= 労働者の取得自由度が減少(権利が縮小)
→ “不利益”と言われれば不利益
ただし、
著しい不利益ではなく、合理的理由もあるため、変更自体は十分に許される類型です。
4.不利益変更の合理性の判断(就業規則変更の四要素)
最高裁:丸子警報器事件、みちのく銀行事件等の枠組みに基づく。
変更の合理性は以下で判断します:
(1)変更の必要性
→ 分単位管理は煩雑で誤記・誤集計のリスク、月跨ぎで把握困難
→ 運用の統一・勤怠の透明性確保
→ 管理者・本人双方の負担軽減
= 必要性は高い
(2)変更後の不利益の程度
→ 「30分休が使えない」程度
→ 1時間単位は法定の最低ラインであり“極端な制限”ではない
= 不利益は軽微
(3)代替措置の有無
→ 取得時間が1時間未満の端数が出るケースに対し、
適切な運用で吸収可能(後述の運用案)
= ケア可能
(4)労使交渉・周知状況
→ 労働者代表意見聴取 → 就業規則変更
→ 周知期間を十分にとる
= 問題なし
→総合判断
合理的な不利益変更として認められる可能性が極めて高い。
5.ご懸念のケース(2.5時間・3時間予定→3h5m勤務)への対応
運用方法を工夫すれば、法的トラブルは回避できます。
【ケース1】2時間30分だけ休みたい
→ 3時間の取得を申請してもらう
→ 端数は早退や遅刻で調整することも可能
または
→ 業務の柔軟な調整で負担軽減
→(例)30分の遅刻・早退を優先して認める等
※法的には問題なし
【ケース2】3時間休を申請したが、3時間5分勤務となった場合
→ 原則:申請通り 3時間分 の看護/介護休暇を消化させる
→ 5分の超過勤務は「労働時間として扱う」ことが基本
ただし運用として
残業指示があった場合:割増賃金対象
本人都合で勤務してしまった場合:原則「調整」扱い可能
(例)出社時間を5分遅らせる等
6.「1時間単位」に統一しても違法にならない理由
法的に完全に問題ない理由は以下の通り:
(1)法は1時間未満の付与を義務付けていない
→ 企業判断で上限・下限を設定可能
(2)取得単位の変更は原則「運用の合理化」
→ 勤怠管理上の混乱を防ぐ目的
→ 同種の改定は多数例あり
(3)不利益が“最小限かつ合理的”
→ 分単位 → 60分単位
→ 権利を完全に奪うわけではない
→ 取得機会を減らさない仕組みが維持されている
(4)厚労省も「1時間単位が標準的な運用」と示している
実務指針やQ&Aでも、
1時間単位を前提とした説明 が大部分。
7.実務上の改定方法(トラブルを避けるポイント)
以下を行えば、法的リスクはゼロに近づきます。
(1)就業規則に明確に記載
例:
子の看護休暇・介護休暇は、1時間を単位として付与する。
(2)労使の意見聴取・説明
「分単位廃止は管理上の合理化」である旨を丁寧に説明。
(3)端数発生時の運用ルールを明文化
例:
申請どおりの時間を休暇として扱う
時間外勤務が発生した場合は、原則勤務時間として扱う
端数5分・10分程度は勤務調整を柔軟に行う
(4)周知期間を1か月以上確保
従業員に新しい運用が浸透するよう配慮。
8.結論(御社の変更は 法的に問題なし)
子の看護休暇・介護休暇の取得単位を「分単位 → 1時間単位」へ変更することは、法令上適法であり、合理的運用として認められる。
不利益変更の可能性はあるが、不利益の程度は軽微であり、説明・周知を行えば問題なし。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/11/21 16:25 ID:QA-0161035
相談者より
いつもお世話になっております。
大変丁寧にわかりやすくご説明いただき、ありがとうございました。
大変参考になりました
投稿日:2025/11/21 19:18 ID:QA-0161042大変参考になった
人事会員からの回答
- オフィスみらいさん
- 大阪府/その他業種
本来は、時間単位での取得であって、分単位での取得は認められてはおりませんので、「1時間単位」と明記することで差支えはございません。
時間単位を超えて必要な時は端数時間は切り上げて、時間単位で申請してもらうことでよろしいでしょう。
投稿日:2025/11/22 10:54 ID:QA-0161056
相談者より
いつもお世話になっております。
大変参考になりました。
ありがとうございました。
投稿日:2025/11/25 10:24 ID:QA-0161091大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
対応
分単位取得が貴社独自のシステムのため、法的義務違反ではなく単に社員への不利益変更の可能性ということになるでしょう。
それゆえ丁寧な説明と、移行期間設定などで、説明を尽くしている姿勢を見せるべきと思います。
半年から1年先からの施行とし、説明会や動画開示などで、「変更を知らなかった」と言わせないような、入念な情報提供、その確認をすべきです。
投稿日:2025/11/22 12:37 ID:QA-0161057
相談者より
いつもお世話になっております。
大変参考になりました。
ありがとうございました。
投稿日:2025/11/25 10:26 ID:QA-0161092大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、労働条件の不利益変更には該当するものといえます。
しかしながら、ご認識の通り重大な不利益とまでは言えないですので、従業員に対し真摯に変更事情を説明された上で導入までに期間を置かれる等の緩和措置を採られる事で対応すれば違法行為を問われるには至らないものといえるでしょう。
その上で、個別に発生した突発的な問題に関しましては、都度事情を鑑み柔軟に対応されてもよいでしょう。
投稿日:2025/11/22 19:20 ID:QA-0161063
相談者より
いつもお世話になっております。
大変参考になりました。
ありがとうございました。
投稿日:2025/11/25 10:28 ID:QA-0161094大変参考になった
プロフェッショナルからの回答
時間単位とする場合の「副作用」
以下、回答いたします。
(1)「就業規則では時間単位で取得することができる」とのことです。その一方で、「実際の運用としては分単位での細かな取得を認めてきた」とされています。
(2)この「実際の運用」(労使慣行)が、黙示の合意を介して、または事実たる慣習(民法第92条)として労働条件になっているとすると、「1時間単位」の運用にしようとする場合、1)労働者との合意(労働契約法第8条、第9条)、若しくは、就業規則による不利益変更(労働契約法第10条)が必要になると考えられます。
(3)ところで、そもそも、本件、なぜ、就業規則では「時間単位で取得することができる」としているにもかかわらず、実際の運用として「分単位での細かな取得を認めてきた」のでしょうか。何らかの支障があったのであれば、上記(2)1)、2)のいずれを採るにしても、「1時間単位」とする場合の「副作用」への対策を講じる必要があると考えられます。
(4)例えば、出社していることもあり「切りの良いところ」まで業務を続けることを余儀なくされ実際には時間単位で取得することができなかった(時間単位年休の一部が無駄になってしまった)ということや、皆忙しいので用事が終わり次第「時間単位年休」を切り上げて職場に戻ってきてもらえないかと言われたということが考えられます。そのようであるならば、手を離せない仕事が残っている場合には上司が引き継ぐ、時間単位年休の時間帯を職場で明示的に共有するなど、きっちりと「1時間単位」で年休を取得することができるための環境を整備しておく必要があると考えられます。
(参考)
【労働契約法】
(労働契約の内容の変更)
第八条 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。
(就業規則による労働契約の内容の変更)
第九条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。
第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。(以下、略)
投稿日:2025/11/22 20:06 ID:QA-0161064
相談者より
いつもお世話になっております。
制度導入当初より時間単位の「時間」とは、『1時間の整数倍』での取得でカウントするという認識がなく、『時間と分』を含む単位での取得と誤った認識しておりました。
参考になるご意見ありがとうございました。
投稿日:2025/11/25 10:45 ID:QA-0161097大変参考になった
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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