マイカー通勤者の通勤手当の非課税限度額について
いつも参考にしております。
当社ではマイカー通勤者の通勤手当は非課税限度額を支給しています。
このたび官報で2025年4月に遡って限度額が改定されました。
通勤手当も遡って差額を支給する必要がありますか?
投稿日:2025/11/19 20:00 ID:QA-0160907
- うさとらさん
- 埼玉県/医療・福祉関連(企業規模 51~100人)
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プロフェッショナル・人事会員からの回答
プロフェッショナルからの回答
ご回答申し上げます。
ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.改正内容のポイント
・ 国税庁が公表しているように、マイカー(自動車・自転車など交通用具を使用する通勤)者の通勤手当の非課税限度額が引き上げられています。
・ 改正された政令(所得税法施行令の一部改正) は 令和7年(2025年)11月19日公布、11月20日施行です。
・ 遡及適用として、「令和7年4月1日以後に支払われるべき通勤手当」について改正後の限度額を適用することとされています。
・ 引き上げ後の限度額の例として(片道距離別・月額):
- 55km以上 → 38,700円(改正前31,600円)
- 45km以上55km未満 → 32,300円(改正前28,000円)
- 他の区分も同様に引上げあり。
2.「差額支給」をする必要があるかの整理
対応すべきケース
次のような場合は、年末調整時の精算などを含め「差額の非課税扱い拡大」により、過去に課税されてしまった部分を是正する必要があります。国税庁の説明にも記載があります。
令和7年4月1日以降支払うべき通勤手当(例:給与規程に基づき毎月支給日が定まっており、支給月が4月以降)に対して、改正前の限度額で源泉徴収をしていた。
結果として、改正後の限度額を適用すれば「非課税になったはずの金額」が、課税対象になっていた(=従業員が税負担していた)場合。
→ この場合、年末調整時に「新たに非課税となった部分」を計算し、給与総額から差し引いて調整することが必要です。
差額支給=支給額を増やす(会社が追加で通勤手当を支給する)必要があるか?
やや語弊を生む点なので注意です。必ず「追加支給」を会社がしなければならないわけではありません。ポイントは以下の通りです。
会社が既に支給している通勤手当の額が、改正後の非課税限度額以内なら、追加支給をしなくても差額支給の必要はありません。国税庁資料に「改正前の非課税限度額以下であった人については、精算の手続は不要です」。
逆に、支給額はそのまま(あるいは限度を超えていた)で、改正前限度額を超えて課税扱いになっていた人については、追加「支給」というよりも、年末調整での「非課税扱い拡大に伴う課税取り消し・税額還付」という形が一般的です。つまり、会社が通勤手当を上げる義務があるわけではなく、「源泉徴収・年末調整の精算対応」が中心です。
→ ただし、会社が「通勤手当金額を見直して上げる」方針をとるなら、支給金額自体を改正後上限に合わせて改めることは可能です。
3.「差額支給禁止」となるケース
令和7年3月31日以前に支払われた通勤手当、または「令和7年3月31日以前に支払われるべき通勤手当」であって4月1日以降に支払ったもの(=未払状態で4月以後支給されたもの)については、改正後の限度額の適用対象外となっています。
→ つまり、このような手当については遡って非課税限度額を適用して差額を出すことはできません。
4.実務上のチェックポイント
・ 通勤手当の支給規程・実務フローを確認:支給日・計算方法・通勤距離区分など。
・ 特に、マイカー通勤者で片道の距離が10km以上・15km未満以上の区分にいる方など、引上げ幅がある区分の従業員を対象に、今まで支給額と限度額の関係を確認。
・ 支給額が改正後の限度額を超えていた月(2025年4月以降)については、源泉徴収簿・年末調整の対応を検討。
・ 年の途中退職者・転籍・中途入社など、年末調整が行えない場合には従業員に確定申告の可能性がある旨を案内。
・ 給与計算システム・ソフト(御社が使っていらっしゃるもの)において、4月以降支払われる通勤手当の限度額を「改正後」数値で設定できるか、仕組みを確認しておく。
・ 就業規則・賃金規程等で「通勤手当の非課税限度額が変更された場合、会社が支給金額を見直すことがある」旨の条項がないか確認しておくと、将来改定時の運用に備えやすくなります。
5.結論
御社において「マイカー通勤者の通勤手当を非課税限度額の範囲内で支給している」のであれば、次の流れで対応を取ると良いでしょう。
2025年4月以降にその従業員に支給した通勤手当額と、改正後の限度額とを比較。
支給額が改正後限度額を下回っている場合:追加支給の必要なし。
支給額が改正前限度額を超えて課税扱いとなっていた場合:年末調整にて「新たに非課税となる部分」を計算し、源泉徴収簿・年調処理で精算。
支給額が少なめで、かつ会社として「この機会に通勤手当を改定して上げる」方針なら、就業規則・賃金規程の改定を検討。
年末調整できない人(退職者など)は、確定申告で対応を案内。
以上です。よろしくお願いいたします。
投稿日:2025/11/20 20:42 ID:QA-0160969
プロフェッショナルからの回答
お答えいたします
ご利用頂き有難うございます。
ご相談の件ですが、遡及改定である以上、御社でも非課税限度額支給とされていれば遡及し支給される必要性があるものといえます。
尚、税処理の件に関しましては、税務の専門家である税理士にご確認頂ければ幸いです。
投稿日:2025/11/20 22:02 ID:QA-0160981
プロフェッショナルからの回答
ご質問の件
・この改正は、令和7年 11 月 20 日に施行され、令和7年4月1日以後に支払われるべき通勤手当(同日前に支払われるべき通勤手当の差額として追加支給するものを除きます。)について適用されます。
・令和7年4月1日以後に支払われるべき通勤手当で、令和7年 11 月 19 日までに支払われたものについては、遡って税額の再計算を行う必要はなく、本年の年末調整の際に、改正後の非課税限度額を適用した場合に過納付となる税額を精算することになります。
・通勤手当で非課税限度額を超えて、課税金額がある従業員についてのみ、
調整が必要となります。
・詳細は、税理士に確認してください。
投稿日:2025/11/21 05:42 ID:QA-0160985
プロフェッショナルからの回答
回答いたします
ご質問について、回答いたします。
|このたび官報で2025年4月に遡って限度額が改定されました。
|通勤手当も遡って差額を支給する必要がありますか?
追加の通勤手当の支給が必要か否かにつきましては、貴社の通勤手当支給基準
によります。
仮に通勤手当の支給基準の規定にて、手当は非課税限度額を上限として支給する
と規定している場合、非課税限度額が変わりますので以前の上限適用者に対して、
差額の追加支給が必要です。
また通勤手当の金額自体は変わらなくとも、非課税限度額の変更により所得税の
再計算が必要となるケースも生じます。その場合は年末調整にて改正にともなう
所得税精算を行います。以下、ご参考までに国税庁のHP URLとなります。
https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025tsukin/index.htm
投稿日:2025/11/21 07:51 ID:QA-0160992
回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。
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