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健康保険被保険者の再確認と解除について

 平素はお世話になっております。

 このたび、協会けんぽから「被扶養者資格の再確認」の調査が届きました。
対象となった従業員に被扶養配偶者の収入について問い合わせをしたところ
「年金と給与を合算すると180万円を超えている」という話でした。

 当該配偶者は67歳ですが、収入が180万超えているため被扶養の範囲を
超えています。そのため調査については解除の回答をする予定です。
その際、被扶養者調書件異動届(解除用)を添付いたします。
このような場合の「被扶養者でなくなった日」は、何を基準とすべきでしょうか。
調査が行われたことで状況が判明した日 (今回で言えば11月1日)などでしょうか?
それとも配偶者の年金と給与を合算した金額が180万円に達した時点に遡るのでしょうか?

 じつは、時期的に年末調整の「所得税における被扶養」と混同していて
従業員本人と話していても平行線になったり内容が繰り返されてしまい
話が噛み合わず説明が進まずに困っています。
どうぞ、アドバイスを頂けますようお願いいたします。

投稿日:2025/11/15 09:46 ID:QA-0160725

にいじまさん
埼玉県/食品(企業規模 301~500人)

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プロフェッショナル・人事会員からの回答

全回答2

プロフェッショナルからの回答

井上 久
井上 久
井上久社会保険労務士・行政書士事務所 代表

ご回答申し上げます。

ご質問いただきまして、ありがとうございます。
次の通り、ご回答申し上げます。
1.結論
「被扶養者でなくなった日」は、180万円基準を超えた“事実が発生した日”に遡ります。
調査票が届いた日(今回で11月1日)ではありません。
協会けんぽでは、
・収入要件を満たさなくなった日=資格喪失日
と判断し、調査で判明した場合でも、基本的には 遡及して資格喪失 の扱いとなります。

2.資格喪失日(被扶養の解除日)の考え方
(1)年間収入見込みが180万円を超えると判断できた日
協会けんぽの基準では、以下のような場合に被扶養から外す必要があります。
年金 + 給与の合計が 年間180万円超(=月収15万円超)と見込まれる時点
すでに過去の実績から見ても確実に180万円を超えている状態
※特に高齢配偶者の場合、年金収入が安定しているため、
「給与が月○万円になった時点」で明確に180万円超が見込めます。
したがって、
180万円を超えると確定した月の末日 を資格喪失日とすることで実務上問題ありません。

3.なぜ調査票の到着日ではないのか
協会けんぽの「被扶養者の再確認」はあくまで
現状の確認作業(後追い)
であり、資格喪失(要件不該当)の日をそこで新たに設定する趣旨ではありません。
よって、
×「調査票が届いた11月1日を資格喪失日」
○「収入が要件を満たさなくなった日を遡って資格喪失日」
が正しい取扱いとなります。

4.では、どこまで遡ればよいのか
実務では次の流れで判断します。
(1)ステップ1:年金と給与の金額を確認
配偶者(67歳)の
年金収入 + 給与収入の年間見込み額
を確認します。
例:
年金:月7万円 → 年84万円
給与:月9万円 → 年108万円
→ 合計192万円
この時点で180万円を明確に超える。
(2)ステップ2:180万円を超えることが確実になった月
給与の見込みが毎月変動しない場合、
給与が確定した時点(給与改定など)で180万円超が見込める月
がおおむね資格喪失日。
実務では、
・該当月の末日(例:〇月31日)
を資格喪失日とすることが最も一般的で協会けんぽも認めています。

5.「所得税の扶養」との混同で話が噛み合わない理由
従業員側が混乱しやすい主な違いは以下です。
(1)所得税の扶養
基準は年間所得 103万円・150万円・170万円・201万円 など
判定は「1月1日~12月31日」の年単位
過去1年の実績で判断
年末調整で確定
(2)健康保険の被扶養
基準は 今後1年間の収入見込み
年間収入180万円(=月15万円)を超えるか
判定は 事実発生時(年途中でも発生した月から外れる)
過去の実績が確実なら遡りもあり
つまり、
税法→年単位の「過去の実績」
健康保険→「将来の見込み+事実発生日」
この違いが、話が噛み合わない最大の理由です。

6.実務上の整理:今回どうすればよいか
(1) 配偶者の給与・年金収入が180万円を超えることが「いつ確実になったのか」を確認
 ↓
(2) その月の末日を「被扶養者でなくなった日」として設定
 ↓
(3) 「被扶養者異動届(解除用)」に記載し、再確認調査票とともに提出
 ↓
(4) 従業員には
「税法の扶養と健康保険の扶養は考え方が違う」
と丁寧に説明する

■【例】実務でよくある設定例
収入状況被扶養喪失日7月の給与が増えて年収見込180万円超に達した7月31日1~9月の実績で既に180万円超と判明超えた月の末日年金額改定で年収が180万円超えと分かった改定月の末日

7.従業員への説明
「健康保険の扶養は“今年1年間の見込み収入が180万円を超えるかどうか”で判定します。
年末調整で判断する税法上の扶養とは別基準です。
今回は配偶者の年金と給与の合計が180万円を超えることが確実になった月に遡って扶養を外す手続きとなります。」
以上です。よろしくお願いします。

投稿日:2025/11/17 10:34 ID:QA-0160743

相談者より

 井上先生
 いつも例示を含めて分かりやすい説明をありがとうございます。

 会社でも年末調整のやり取りをしている時期なので「年金の控除枠は大きいはず」など、相手と話が平行線担っていたので、ご説明がとても有難いです。

 所得税と違うんだよ と丁寧に説明をして分かってもらう様にいたします。

投稿日:2025/11/17 12:06 ID:QA-0160753大変参考になった

回答が参考になった 0

プロフェッショナルからの回答

米倉 徹雄
米倉 徹雄
KIZASHIリスキリング社会保険労務士法人 代表社員

回答いたします

ご質問について、回答いたします。

|「被扶養者でなくなった日」は、何を基準とすべきでしょうか。
|調査が行われたことで状況が判明した日 (今回で言えば11月1日)などで
|しょうか?
|それとも配偶者の年金と給与を合算した金額が180万円に達した時点に遡る
|のでしょうか?

原則的な考え方としては、扶養の基準収入を超えた時点となりますので、
後者となります。

しかしながら、いつ基準を超えたかどうかの特定は難しい為、実務上では、
前者の基準額を超えたことを会社側が確認した日、つまり前者の考え方を
適用するケースが多いものです。

最終的に、被扶養者でなくなった日を判断するのは協会けんぽとなります。
よって、間違いのない正確な回答をお伝えするのも難しい問題ですので、
所轄の協会けんぽへ事前確認をいただくことが確実でしょう。

投稿日:2025/11/17 10:42 ID:QA-0160745

相談者より

 ご回答ありがとうございます。
 所得税と社会保険の扶養は意味合いが違うことを丁寧に説明しながら手続きをしていきます。
 
年齢的にも定期的な通院をしている可能性が高いので、遡った場合の医療費なども大きく関わってきます。何月まで遡及すべきかを協会けんぽにも確認をしたうえで資格喪失の手続きを進めていきます。

投稿日:2025/11/17 12:08 ID:QA-0160754大変参考になった

回答が参考になった 0

回答に記載されている情報は、念のため、各専門機関などでご確認の上、実践してください。
回答通りに実践して損害などを受けた場合も、『日本の人事部』事務局では一切の責任を負いません。
ご自身の責任により判断し、情報をご利用いただけますようお願いいたします。



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