企業の目標達成の動力となる従業員の「エンゲージメント」について、太田肇氏(同志社大学 政策学部・同大学院 総合政策科学研究科 教授)と上村千尋氏(ギャラップ・ジャパン株式会社 ラーニング&ディベロプメントコンサルタント)がセッションに登壇した。上村氏は、日本のエンゲージメント指数が非常に低い水準にあることを示し、太田氏は日本人のエンゲージメントが低い原因は仕事の自由度が低いことにあると述べた。二人は、エンゲージメントを高める鍵はマネジャーにあるとし、具体的な解決策を議論した。ディスカッションでは、参加者から自身のエピソードや、エンゲージメントを高めるために重要な要素について意見が出された。最後に上村氏は、エンゲージメントはあくまで目標達成の過程に過ぎないことを強調し、企業が達成したい目標を社内で共有して、マネジャーがそれを部下に伝えやすいようにサポートすることが人事リーダーの責任であると締めくくった。「働き方」をテーマとしたセッションでは、坂爪洋美氏(法政大学 キャリアデザイン学部 教授)と成瀬岳人氏(パーソルワークスイッチコンサルティング株式会社 コンサルティング事業部 ビジネスR&D部 部長)が登壇し、急速に進む働き方の多様化において、人事に求められる役割と必要な視点を議論した。坂爪氏は、急速に進む働き方の多様化に対応するために人事が果たすべき役割は大きいと述べ、ミドル層の活用、管理職への裁量権付与、評価制度や給与制度を通じた会社からのメッセージ発信の重要性を説いた。さらに働き方の多様化は可能性を広げる一方でリスクも伴うため、会社が社員に対してどのように働いて欲しいのか、明確なメッセージを伝え続けることが重要であると述べた。グループディスカッションでは、2030年の働き方、雇用・職場の多様性、個人と組織の関係性、経営・人事の役割などについて議論が行われた。2024年8月 開催経営の要となる、人と組織。日本企業のさらなる成長のため、人事担当者は人と組織をどのように強化すべきでしょうか。『日本の人事部』は企業や産学の枠を超えて、社会に提言を届ける「HRラウンドテーブル」を構想しました。各HRテーマにおける有識者やHRソリューションのプロフェッショナル、そして日本を代表する企業の人事リーダーが、知見を共有し、議論を重ね、日本企業全般に資する解を探ります。HRラウンドテーブルとはテーマ1.エンゲージメントテーマ2.働き方各テーマの第一人者・大学教授研究者・有識者各テーマのリーディングカンパニープロフェッショナル大手・優良企業の人事責任者人事リーダー127
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