日本の人事部 2019 Vol.7
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ーー「HRアワード2018」企業人事部門 個人の部 最優秀賞 受賞、おめでとうございます。あらためて、受賞されたご感想をお聞かせください。 これまでの受賞者の方々は、自社で大きな実績を上げられてきた方ばかりです。受賞と聞いたときは「カルビーに入社して半年ほどの私が受賞するなんて、ウソでしょ?」というのが正直な気持ちでした。少々驚きましたが、今では前職のクレディセゾンからカルビーに人事総務本部の責任者として転職したことに対して、多くの方から励ましのエールをいただいたのだと、解釈しています。この賞にふさわしい成果を出すためにも、これからがとても大事だと考えています。ーー初めての転職で新たなチャレンジに挑まれたことが、多くの方の共感を呼んだように思います。 私の周りを見ても、相応の役職にあった方が次のキャリアを目指して転職するケースが増えています。前職のクレディセゾンでは40代で取締役になりましたが、「上がり」のポジションとは思っていませんでした。もちろん、異業種への転職には勇気が必要でしたが、世の流れや自分の中の意識の変化があって、自然な形で新しい道へと進むことができたように思います。ーーあらためて、武田さんのこれまでのキャリアについてお聞かせいただけますか。 私の学生時代は1980年代後半で、バブル経済のころ。今思うとフリーターの走りのような存在で、いろいろなアルバイトをして、同世代と比べるとかなり稼いでいました。しかしそのうち、社会人として通常サイズのキャッシュフローで生活しなければならないと考えるようになり、当時の西武クレジット(現在のクレディセゾン)に入社しました。最初の配属は、吉祥寺パルコのセゾンカードのカウンター窓口。現場では「こんなことをやりたい」と、上司に注文ばかりしていました。上司からすると、元気はあるけれど手のかかる部下だったと思います。「それなら、自分でやってみたらどうだ」と言われ、2年目にショップマスター(店舗責任者)になりました。 パルコという商業施設の中に入って仕事をすると、仕入れや棚卸しなど、バックヤードの仕組みが見えてきました。店舗によって異なり、組織の仕組みも違います。最初はカウンター窓口として、表向きの仕事しか分かっていませんでしたが、経理など会社の裏側にある仕組みを理解し、店長さんたちの話を聞くに従って、モノが売れていくプロセスが非常に面白く感じるようになりました。そこで考えたのは、各店主の人たちの役に立ちたい、ということです。施設の中には、どんどん売れていく雑貨店もあれば、3時間接客してやっと買ってもらえるお店、何度も通って初めて買ってもらえるお店など、いろいろな店舗があります。それぞれのシーンの中で、どうやって役に立てるのかを考え、それをメンバーに伝えて効果的な対策を立てるという日々の仕事に、とても充実感があったことを今でもよく覚えています。 次に人事の仕事に就いたのですが、正直に言うと、最初は嫌でした。ただ、ショップマスターになったときもそうでしたが、「ベストではないかもしれないが、前任者よりは良い仕事をすることが私の務めだ」という意識は強く持っていました。まず担当したのは、採用と教育です。最初は採用の仕事にあまり気乗りがしなかったのですが、実際に担当してみると、非常に面白かった。採用には仕事の全てが入っているように感じたからです。 新入社員が10人入っても、それで会社が大きく変わることはありません。しかし、社員が採用活動に関わることによって、会社は変わっていきます。例えば10人の新入社員を採用するにあたり、社内の100人が関わったとして、それを何年も続けていけば、会社は大きく変わります。具体的に言うと、採用活動では社内のハイパフォーマーたちの協力が必要ですが、その人たちが採用活動を行う中で「共通言語」を持ち、会社のことをきちんと自分の言葉で話せるようになることで、社内の「景色」は大きく変わっていきます。これは、他の業務ではほとんど見られないことだと思います。ーー営業、人事と仕事を続けていく中で、武田さんの中に何か変化はありましたか。 営業の現場では月次で数字を追いかけていましたが、最終的には年間で全社の表彰式の壇上に上がれば良かった。毎月リカバリーが効くので、仕事のサイクルは営業の方が短いと言えます。一方、人事の仕事はどれも年に1回きり。リカバリーできるのは次年度以降になるので、基本的に失敗は許されません。そのため営業時代よりも、結果をきち店舗の現場で「人の役に立ちたい」という思いが生まれた「採用」を通じて人事の仕事の面白さを知る55

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