「日本の人事部 LEADERS」vol.5
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 最初に村井氏が、これまでにどのような手を打ち、どのような成果が得られたのか、プレゼンテーションを行った。 「チェアマンになる前、私は人事畑にいました。人材関連企業の社長を務めていたこともあります。私の唯一の趣味がサッカーで、スタジアムでもよく観戦していましたが、アスリートのセカンドキャリアのサポートをするうちに、Jリーグの社外役員として会議に月1回だけ参加するようになりました」 村井氏が2008年に社外理事に就任した時のJリーグへの国民の関心度は男女とも4割ほどあったが、リーマンショック、東日本大震災、ネットやスマホの普及によるコンテンツ多様化の中で関心は降下。入場者数が減り、収益が落ち、それを元手に投資する原資もなくなる、という負のスパイラルにあった。配分金にも窮するようになり、Jリーグは前任チェアマン時代に起爆剤として2ステージ制を導入したが、村井氏が就任したのはその直後である。 「どんどん海外に選手を抜かれてJリーグのブランド力が低下し、収益も悪化するという状況でした。この状態を放置しておけば、さらに選手が海外に流出し、代表チームのサイクルもマイナスに入ってしまいかねない。このミッシングリンクをどう取り戻すかが課題でした」 そこで村井氏は、次の世代を担う選手の輩出、魅力あるサッカーの国民への伝達がレバレッジポイントだと考え、打ち手を次の五つに絞った。「魅力的な選手育成」「デジタル技術の活用」「スタジアムを核とした地域創生」「インバウンドを増やすためのアジア戦略」「経営人材の育成」だ。さまざまな施策を行った結果、世間のJリーグへの関心は高まり、2015シーズンの入場数は年代表チームの「正循環」とJリーグの「負循環」むらい・みつるくすのき・けん公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)チェアマン一橋大学大学院国際企業戦略研究科 教授村井 満 氏楠木 建 氏Jリーグチェアマンが語る組織・人材マネジメント~Jリーグを経営する~[パネルセッション]28

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