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ピープル・アナリティクスの活用により「未来を予測し、先手を打つ人事」を実現 〜90%の精度を実現した、テンプホールディングスの挑戦~(前編)

山崎 涼子さん(テンプホールディングス株式会社 グループ人事本部 人事情報部 人事情報室 室長)
小川 翔平さん(テンプホールディングス株式会社 グループ人事本部 人事情報部 人事情報室)

2017/02/22実践活用事例ピープル・アナリティクステンプホールディングス異動・配置・昇進リテンション・退職

テンプホールディングス株式会社 ピープル・アナリティクスの活用

膨大な社員情報を分析して、人事施策や職場改革につなげるピープル・アナリティクス。グーグルやフェイスブック、アクサ生命保険など、ピープル・アナリティクス専門の部署を設立する企業が増えている中、日本でも専門組織を設立し、取り組みを進めている企業が増えてきています。今回は「退職」と「異動後の活躍」を精度高く予測するモデルを開発した、テンプホールディングス株式会社 人事情報室のお二人にお話を伺いました。

テンプホールディングス株式会社 グループ人事本部 人事情報部 人事情報室 室長 山崎 涼子さん
山崎 涼子さん(ヤマザキ リョウコ)
テンプホールディングス株式会社 グループ人事本部 人事情報部 人事情報室 室長

大学卒業後、2008年にインテリジェンス新卒入社。入社から現在まで、採用・教育・人事運用設計等、一貫して人事畑を歩く。2015年4月に、HR Techに取り組むべく「人事情報室」を立ち上げ、現在に至る。

テンプホールディングス株式会社 グループ人事本部 人事情報部 人事情報室 小川 翔平さん
小川 翔平さん(オガワ ショウヘイ)
テンプホールディングス株式会社 グループ人事本部 人事情報部 人事情報室

大学院では社会科学を専攻。修了後、FA設備設計会社に就職。制御系エンジニアとして自動車部品の生産設備を中心に設計業務に従事。その後インテリジェンスに転職し、人事部門にてデータ分析やタレントマネジメントシステムの運用業務を担当。2016年10月からグループ会社のテンプホールディングス株式会社に転籍し、現在に至る。

人事情報は、人事における「血液」。
タレントマネジメントに活用することで、会社は強くなる

テンプホールディングス株式会社 山崎涼子さん

まずは、ピープル・アナリティクスの技術を用いて、貴社が開発した予測モデルについて教えてください。

山崎さん:「退職予測モデル」と「異動後活躍予測モデル」の二つです。「退職予測モデル」は過去の人事データをもとに、現在の社員の状態から退職の確率を予測するもので、約90%の正解率にまで精度を向上させました。

また、「異動後活躍予測モデル」は、戦略的な人材配置を行うためのものです。その社員を「異動させた方が良いか否か」と、「異動先で活躍できる確率」を提示することができます。こちらも試行錯誤を繰り返すことで信頼性が得られる状態になってきており、現場でフィジビリティを行いながら本格的に活用できる状態を目指しています。

それらのモデル開発のきっかけは何だったのでしょうか。

山崎さん:私と小川が所属している「人事情報室」という組織が、2015年4月に立ち上がりました。「人事情報を活用し、未来を予測し先手を打つ人事を実現する」というミッションを掲げています。予測モデルのプロジェクト以外にも、人事システムの導入、各事業会社での運用設計、タレントマネジメントシステムの活用などを推進しています。現在、私が室長を務めており合計で10名強の組織で、HR Techのチームは私と小川の2名体制です。

組織が立ち上がる前から、HR Techの推進には挑戦したいと考えていました。未来を予測したタレントマネジメントを実現することができれば、会社としての強さに直結するので、この分野での取り組みは非常に重要になってくる。蓄積された人事情報は、「人事における血液」のようなもので、そこから人事制度や研修などにつなげていきたいと、考えていましたね。

テンプホールディングス株式会社:人事データ分析の取り組み背景

そのような中、ビッグデータやAIに関するニュースを目にする機会が増え、早めに着手したいと考え、新しい組織をつくろうと思い立ちました。組織化ではなくプロジェクトベースで進めるという選択肢もありましたが、ピープル・アナリティクスにきちんとコミットしたかったことと、他部署との連携も必要になると思っていたので、正式な組織にしました。当時、データサイエンティストは人事部内にはいなかったので、外部から採用しました。そして、2015年8月に入社してくれたのが小川だったのです。

小川さん:前職では、自動車部品の検査装置の制御システムを開発していました。大量のデータを取得して簡易な分析を行っていた経験があり、今後はデータサイエンス領域にメインで携わっていきたいと考えていました。HR関連の知識は無かったのですが、山崎に「この分野での第一人者になってください」と説得されて入社を決意したのです。HR領域のデータ分析は、数値だけの冷たい世界ではなく、アナログな人の評価や感情というものまで絡んでくるので、非常に奥深く、興味深いと感じています。この組織に入って良かったと思っています。

テンプホールディングス株式会社 小川翔平さん

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退職の正解率は90%

2017/02/22実践活用事例ピープル・アナリティクステンプホールディングス異動・配置・昇進リテンション・退職

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