有価証券報告書への情報掲載の義務化で終わらない！
先行事例から見る開示情報の準備と活用方法
- 深瀬 勝範氏（Ｆフロンティア株式会社 代表取締役/人事コンサルタント/社会保険労務士）
- 村井 美咲氏（スーパーストリーム株式会社 マーケティング部 営業支援課）
この春から人的資本の情報開示が義務化された。人材を企業が持つ資本と位置づけ、企業価値に直結するものであるという考えのもと、有価証券報告書に人的資本の内容を記載し、ステークホルダーに公開することになる。人的資本の情報開示項目をどう選べばよいのか、初めての開示に戸惑う企業は少なくない。Ｆフロンティア株式会社の代表取締役・深瀬勝範氏が、人的資本の情報開示のポイントや先行事例について解説し、スーパーストリーム株式会社のマーケティング部・村井美咲氏が情報開示に役立つ支援ツールについて紹介した。
（ふかせ かつのり）大手電機メーカーの人事部門を経験後、金融機関系シンクタンク、上場企業人事部長等を経て独立。現在、経営コンサルタントとして人事制度設計、事業計画の策定などのコンサルティングを行うとともに執筆・講演活動などで幅広く活躍中。主な著書に『Excelでできる 戦略人事のデータ分析入門』（労務行政）ほか多数。
（むらい みさき）スーパーストリーム入社後セールスエンジニアとして人事給与の商談に携わる。顧客ニーズに寄り添った提案を心掛けており、幅広い業種業態のお客様へ提案活動を行っている。
人的資本の情報開示が求められる理由
スーパーストリーム株式会社は、ソフトウェア・パッケージの企画・開発・販売、販売製品のトレーニングおよびサポート、システム導入のコンサルティングを行っている。中でも、会計と人事給与に特化した国産パッケージ製品の開発に長く携わっており、会計システム、固定資産管理システム、人事給与システム、グループ経営管理システムを通じた企業のバックオフィスの最適化を実現してきた。
SuperStream-NXは、数多くの導入実績に裏打ちされたノウハウと最新のテクノロジーを結集させた、バックオフィスの中核業務を最適化する経営基盤ソリューション。25年以上にわたってクライアントの声に耳を傾けながら機能を磨き続けてきたという。財務会計や人事給与などの負担を軽減するべく“ 経理部・人事部ファースト”の思想を掲げながら、高度なテクノロジーを実装することで圧倒的な使いやすさを追求。グループ導入にも対応しており、瞬時に経営情報を可視化できる機能も装備させている。
本講演はまず、経営コンサルティングを軸に、各種リサーチ、顧問業務、セミナー、研修の企画・運営、講演活動、書籍・出版物の企画・制作などに取り組むＦフロンティアの深瀬氏が登壇。これまでの人的資本の情報開示に関する動きを説明した。
「2010年ぐらいからESG（環境・社会・ガバナンス）への関心が高まり始め、投資家から非財務情報の開示が強く求められるようになりました。この流れを受けて、国際的な開示基準が策定され、国内ではコーポレートガバナンス・コードが整備されました。
労働者にとっては、2000年ぐらいからブラック企業が問題となり、労働条件に関する情報の開示が要求されるようになりました。行政としても、若年雇用促進法、女性活躍推進法、育児介護休業法などの整備を進め、2022年に情報開示の動きが起こったのです」
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