個人と組織のエンゲージメントを高める「人事のためのジョブ・クラフティング」講座
- 井上 章氏(株式会社ジャパネットホールディングス エグゼクティブエキスパート 人事・コンプライアンス担当)
- 川上 真史氏(株式会社ヒューマネージ 顧問/ビジネス・ブレークスルー大学 経営学部 専任教授)
- 種市 康太郎氏(株式会社ヒューマネージ 顧問/桜美林大学 リベラルアーツ学群領域長(人文) 、教授(臨床心理学))
社員のエンゲージメントが高い状態は、企業の業績や生産性の向上につながると考えられている。個人のエンゲージメントを開発する新たなカギとなる「ジョブ・クラフティング」について、ヒューマネージ顧問の川上真史氏、ヒューマネージ顧問の種市康太郎氏の両氏が解説。ジャパネットホールディングスの井上章氏が自社の取り組みを紹介した。
(いのうえ あきら)長崎市出身。慶應義塾大学工学部卒。大手電機メーカーにて半導体生産技術に従事した後、人事部にて人材開発等を担当。2013年よりエスプリングHDを経て2015年ジャパネットHDの人事・コンプライアンス担当執行役員就任。2017年JリーグサッカーチームV・ファーレン長崎の監査役兼任。2019年より現職。
(かわかみ しんじ)産業能率大学総合研究所研究員、ヘイ・コンサルティンググループ コンサルタント、 タワーズワトソン ディレクターを経て、現職。数多くの大手企業の人材マネジメント戦略、人事制度改革のコンサルティングに従事。専門は、産業心理学、社会科学。
(たねいち こうたろう)企業従業員のメンタルヘルス対策が専門であり、ストレス調査については 20 年以上前から各企業での調査・個人面接・集団分析結果の報告・結果に基づく研修を実施。第27回日本産業ストレス学会において「奨励賞」を受賞。ジョブ・ クラフティング及び働く人のレジリエンス研究の第一人者。
なぜ今、エンゲージメントが注目されているのか
ヒューマネージは1988年に総合商社の社内ベンチャーとして創業。採用ソリューション、適性アセスメント、タレントマネジメントソリューションの3事業を通じ、人材の“採用”から“定着”、そしてその先の“活躍”までを支援する人材サービスを展開している。
中でも、個人のエンゲージメントを高める新しいカギ=ジョブ・クラフティングを測定するエンゲージメントサーベイ「Qraft」は業界で初めてリリースされたサービスだ。組織改善のみならず、人材開発にも活用でき、持続的にエンゲージメントレベルの高い組織作りに活用できる。フィードバックレポートも目的に合わせたアウトプットを充実させるべく、個人向け、管理職向け、人事・経営者向けに視点を変えて提供。本セッションに登壇する川上氏、種市氏が監修しており、また、両氏との共著でジョブ・クラフティングに関する書籍も出版している。
はじめに、同社顧問/ビジネス・ブレークスルー大学専任教授の川上氏が、今、エンゲージメントが注目されている背景について語った。
「人材開発には二つの方向性があります。コンピュータに例えると、一つはアプリケーションをインストールする形です。知識やスキルを本人にインストール、つまり習得することで個人の能力を開発するという方向性です。もう一つはOSをバージョンアップする形。能力開発にあたってベースとなる意識のバージョンアップ、つまり社会や組織の変化に応じて仕事そのものに対する意識を改革することで、個人の能力を開発するという方向性です。
パソコンのOSを古いまま放っておくと、アプリがうまく動かなかったり、セキュリティ上のリスクがあったりします。人材開発でも同じ話で、例えば、ひと昔前のハラスメントに対する意識は、「怒られてつぶれるほうが弱い」というバージョンでした。しかし、今ではこの意識でマネジメントをされると、確実に問題が起こります。そのような変化に対応するためには、人材のOSのバージョンアップが必要であり、今、まさにそれが求められているタイミングといえます」
ではどんなバージョンアップが必要なのか。川上氏は五つの意識改革を挙げた。
- 「気合・根性」から、自発的に行動できるような「エンゲージメント」へ
- 「優秀さ」から、知識やスキルを最適な行動に活かせるような「コンピテンシー」へ
- 「論理」から、新たな価値を生み出すような「創造的思考」へ
- 「協調性」から、異質性からシナジーを引き出すような「ダイバーシティにおけるチームワーク」へ
- 「ビジネスマナー」から、その背後にある「信頼感ある魅力的なパーソナリティ」へ
これらの中で、今最もバージョンアップが求められているのが「エンゲージメント」だ。
「世の中がどんどん変化して先が読めず、不明瞭で不確定な環境下では、『気合・根性』のエネルギーレベルで成果を出していくことが不可能だからです。気合や根性よりも、もっと高いレベルのエネルギーが必要になっている。それがエンゲージメントです。簡単に言うと、『この仕事をしていると面白い』と感じるような、のめり込み状態のエネルギーを指します」
1988年創業、大手企業を中心に4,300社以上の人材戦略を支援。シェア第1位*の採用管理システム『i-web』、シェア第3位の適性検査『TG-WEB』、年間70万人が受検するストレスチェック『Co-Labo』を中心に、人材の“採用”から“定着”、その先の“活躍”まで実践的なソリューションを提供。*「就職希望企業ランキング」上位130社における採用管理システム(有償ツール)のシェア(ヒューマネージ調査)
1988年創業、大手企業を中心に4,300社以上の人材戦略を支援。シェア第1位*の採用管理システム『i-web』、シェア第3位の適性検査『TG-WEB』、年間70万人が受検するストレスチェック『Co-Labo』を中心に、人材の“採用”から“定着”、その先の“活躍”まで実践的なソリューションを提供。*「就職希望企業ランキング」上位130社における採用管理システム(有償ツール)のシェア(ヒューマネージ調査)
[A-3]若手・中堅層の自律的キャリア開発 〜360度FBを活用した気づきと行動化、習慣化
[A-5]自律的組織をつくるための人材育成 ~自ら考え行動する人材になるための「探究力」~
[A]「当たり前の採用」から「新しい採用」へ 対話とテクノロジーで変わる新時代の採用活動
[B-4]徹底予防!パワハラ行為者の適性検査傾向と社内の全管理職を対象とする予防施策の実例
[B]DX時代の新・人材育成戦略「リスキリング」とは
[C-1]今求められる、組織活性化のために人事部門に必要な「マーケティング視点」とは
[C-2]企業価値を高めるウェルビーイング施策~最新研究と丸井グループの戦略から考える~
[C]個人と組織のエンゲージメントを高める「人事のためのジョブ・クラフティング」講座
[D-2]EVP発想による活き活きとした組織の作り方 ~従業員サーベイの効果的な活用法~
[D]「HRアワード」第10回開催 特別企画 これまで10年の人事を振り返り、これからの人事について考える
[E-3]ジョブ型新時代における報酬/給与戦略とは - 成長に必要な人材の確保に向けて
[F]一人ひとりが主体的に動くことで組織は成長する いま必要な“メンバー全員が発揮する”リーダーシップとは
[G]イノベーションを起こすための組織をどうつくるか~組織文化、評価、人材育成の観点から~
[H]SUBARUの人財育成改革に学ぶ 自律型人財・自律型組織のつくり方
[I]「独学」のススメ~組織人にとっての主体的学びの意味と組織による支援のあり方~
[J-5]アフターコロナを生き抜く「しなやかな心」をつくる~レジリエンスの高め方~
[K]停滞する組織から能動的に変化する組織へ。企業を成長させる「組織文化改革」とは
[L]「人的資本経営」とは何か~理論と事例から考える、これからの人材マネジメント~
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[M]「ウェルビーイング」は企業に何をもたらすのか 積水ハウスと楽天グループに学ぶ幸せ起点の組織づくり
[O]「働き方改革」を振り返り、これからの「働き方」を考える
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[Q]新しい時代の「職場のコミュニケーション」のあり方とは~デジタルネイティブ世代の増加、リモートワークの浸透による変化をふまえて~
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[R]人事はどのようにデータを活用すればいいのか~採用、配置、アセスメントの観点から~
[S-3]実施率97%の1on1が、いかに1万人超のリモートコミュニケーションを繋いだか
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[T-7]「働きやすさ」から「働きがい」へ ~当社が進めるEX向上の取り組み~
[T-8]自律的キャリア形成と企業変革の推進
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