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HRカンファレンストップ > イベントレポート一覧 > 2015年-春-  > 特別講演[D-7] 管理職の意識と言動を変える! 組織力強化に向けた360度サーベイの更なる活用

管理職の意識と言動を変える!
組織力強化に向けた360度サーベイの更なる活用

2015.6.23 掲載
横山和美氏 Photo

マネジメントの状況を上司や部下など、周囲がフィードバックすることで、管理職層に自分のマネジメントの課題を明確に認識させ行動変革を促す「360度サーベイ」(360度評価、多面評価)。このツールの概要は、人事関係者の多くが知っている。しかし、どのように活用すれば良いのかについては、未だに模索中というのが実情だろう。さまざまなコンサルティングを通じて経営に直結する戦略的な人事施策をトータルにサポートしている「21世紀経営企画」の代表取締役社長、横山和美氏が、その一つとして有効な「360度サーベイ」の幅広い活用法を紹介した。

プロフィール
横山和美氏(株式会社21世紀経営企画 代表取締役社長)
横山和美氏 プロフィール写真

(よこやま かずみ)1986年NECに入社。2000年に同社退職後、株式会社21世紀経営企画を設立し同代表取締役社長に就任。マネジメント力の向上を中心テーマに幅広く活動。「管理職アセスメント」「360度サーベイ」等のツールを活用して管理職一人ひとりのマネジメン上の課題を明確にしてその改善を支援する数多くの実績を持つ。


管理職層のプレイヤー化という問題

21世紀経営企画では、人事のコンサルティング、アセスメント、サーベイなど戦略的な人事施策やツールを開発、サポートしている。横山氏は「360度サーベイ」というツールを語る前に、まず、このツールによって強化したい管理職層の課題について取り上げた。

『人事白書2014』の調査データによると、「ミドルマネージャーにどんなことを期待しますか」という質問に対して1番多い回答は「部下の育成・マネジメント」、2番目は「組織の活性化・モチベーションの維持・向上」、3番目は「多様な人材のマネジメント」である。これら上位回答に着目すると「部下の育成、組織の成長へのリーダーシップ発揮」に関する期待が約6割にのぼっていることが分かると指摘した。

一方、「ミドルマネージャーの問題点としてどんなことがありますか」という質問に対して、複数回答の7割が『業務が過多である』を最初に挙げ、6割が『部下の育成能力が不足している』、5割近くが『多様な人材をマネジメントする能力が不足している』と答えている。先に紹介したミドルマネージャーへの〈期待〉と並べてみると、管理職層には部下の育成、多様な人材のマネジメントを期待されているにもかかわらず、実際には業務が忙しくて期待に応えられていないし、育成スキルも不足している。こんな現状が鮮明に浮かび上がってくる。

こういった傾向は、横山氏自身も企業の研修現場などで管理職層と直接話す中から実感していると言う。このような状況下では管理職層の視点を短期化させてしまうと警鐘を鳴らす。目の前の業務に翻弄されてしまい、中長期な視点が必要とされる「組織の育成や事業を将来に向けてどう育てていくのか」「新しいものにどう取り組んでいくのか」について考える時間が持てなくなってしまうからだ。

横山和美氏 Photo

客観視がもたらす〈気づき〉と〈きっかけ〉

では、そういった現状に対して「360度サーベイ」というツールが、なぜ有効か。横山氏はその理由を語った。「『360度サーベイ』は一つのツールに過ぎず、管理職層が抱えている問題を根本的に解決できるものではない。ただし、非常に特徴的なツールなので、使い方次第ではマネジメントの実態を変革する上で非常にうまく機能する。管理職層自身が自分をどう捉えているかについて見てみると、実際には自身を客観視できているとは言い切れないから」という。

そこで、横山氏は「360度サーベイ」の「客観視」という特徴に触れた。上司や部下たちの視点によるフィードバックは、自己認知とのギャップに気づくことができるうえに、「自分はどういう役割を期待されているのか」「どんな仕事や業務を任されているのか」「自分の活躍領域の主眼はどこに置くべきか」ということに、周囲の複数の声によって改めて認識することができる。従って、自分自身の問題点やテーマに気づく絶好の機会になると言う。

「実は、マネジメントを改善する上での難しさは〈習慣化する傾向〉がある点。過去の経験の中で良かれと思ったことを習慣的にどのような状況下でも実行しようとしてしまう。これを変えるのは非常に大変。例えるなら、人間ドッグや健康診断の血圧、体重やコレステロールの数値を指摘された原因は、偏食や暴飲や運動不足だと自分なりに分かっていても、なかなかその生活習慣は変えられない。マネジメントも同じ。上司や部下から問題指摘されても習慣から抜け出すのは容易ではない。従って本人が本気で状況を変えたいと自覚が持てるような、さまざまな題材を揃えて見せるという方法で『360度サーベイ』を活かす事を推奨する」という。

上司や部下などからの期待、思い、考え方を直接受けられる点も、「360度サーベイ」の活用性の高さにつながる特徴だ。たとえば、管理職層の成長や変革に結びつくようなメッセージを伝えるツールとしても使える。

「『管理職層の皆さんが、現場から経営を動かしていくんだよ』という期待や、『中長期の目標を達成するための短期目標なんだ』という意識の徹底や、『この組織は会社にとってこんな重要な意義を持っているんだよ』という位置づけなど、さまざまなメッセージを込めたツールに仕立てることができる。管理職層に考えて欲しいことを事前に設計内容に組み込んでおくことで、管理職層に思考を促すきっかけにもなる。」と言う。

マネジメントの多様性や仮説・検証に活用

さまざまな力量・個性や価値観を持ったメンバーをどう活かしていくかというマネジメントの多様性は、昨今の管理職層の重要課題となっている。この課題に対しても、「360度サーベイ」が活用できると横山氏は語る。

「管理職層が陥りがちなポイントは主に三点ほどある。“自我流”“自身の成功体験の繰り返し”“一般論やツールの表層的な展開”。さまざまな個性を持ったメンバーがいる組織においては、一人ひとりどんな考え方でどんなモチベーションを持っているのか、どんなところで動機付けされるのかをしっかり見極めてアプローチしていくことが必要。そういう意味で『360度サーベイ』に見られる部下からの評価やコメントは役に立つ。また、新たな取り組みや高い目標へのチャレンジには部下からの共感がなければ、組織力は発揮されない。共感してもらうためには、まずは、その組織のトップにいる管理職層自身が、どういうことを実現したいと思っているか、志や意思をきちんと自分の言葉で伝え、部下の心に響かせていかなければならない。そのためには、日頃から経営理念を、自分の中でどのように捉えているのかを明確にしておくことが重要になる。考えるヒントは「360度サーベイ」の項目や上司からのコメントの中にちりばめられている」という。

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さらに、マネジメントの仮説、検証にも役立てることができると、横山氏は続ける。「実際に一緒に仕事をしている周囲からのフィードバックなので、メンバーが感じていることや管理職層が与えている影響等が非常によく現れているツール。そういう意味では、現状分析には非常に有効。このツールを使いながら、自身のネジメント上の課題について仮説を立て、その検証ができるという。“なぜそのような状況になっているのか?”という要因を分析し、自分なりにプライオリティーをつけて考えた対応策が打てる。これも活用し甲斐のあるところではないか」という。

人事面での活用に関して、人事考課や業績評価に直接使うことについては、評価者側の主観が大きく反映しているツールであるため、横山氏は否定する。ただし、通常の人事的な目線とは異なる情報が見えてくる点は、非常にユニークで参考になると言う。どうしても上司や人事部門には伝わりにくい、現場での影響力や部下の声が得られるため、異動や昇格の際に適した組織を考える際に役立てられると示唆する。

「人事だけではなく、異動や昇進後の上司と共有すれば、新しいポジションについた際に、ご本人のさらなる成長のためにも意味ある情報になる。たとえば『この人はこういうマネジメントをするタイプです』『部下とこんなコミュニケーションをとる人物です』という特徴は、異動先の組織力や本人のマネジメント力の向上につなげていくことがでる。複数年の経過を蓄積していけば、さらに確かな手応えを得られるのではないか」という。

カゴメ株式会社に見る活用方法

最後に、2007年から毎年執行役員以下全管理職を対象に「360度サーベイ」を行っているカゴメ株式会社の事例が紹介された。海外出向者に対しても実施しており、毎年見直しと改善に取り組みながら、進化を続けているという。

「個人向きのツールとは限定しないで、組織そのものの変化の分析にも活用しようと、職場単位での情報交換の場を毎年設けて実施されているところは、特に参考になるのではないか」という。管理職に昇格する前のタイミングでも実施されているが、本人に対する強いメッセージにもなるので効果的な方法だと思われる。また、目標管理項目の中に『360度サーベイ』内のマネジメント改善テーマを設定するようにして、部下育成強化の意識付けに活用している工夫も注目したい点。他にも各管理職の結果内容に即したマネジメント研修の受講案内や自己啓発学習の中にマネジメント向上コースを導入するなど、自発的な学びのバックアップにも積極的に取り組まれている。

カゴメ株式会社における事例にも見られるように、「360度サーベイ」は他の人事施策と連携させながら幅広く活用できるツールだと言える。会社のビジョンや理念をベースにしたさまざまな人事施策とリンクさせることで多くのシナジーを生み出すことができる、と横山氏はこの360度サーベイの可能性をあらためて強調していた。

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