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『日本の人事部』HRクラブ 開催レポート

【第17回テーマ】

大震災によって私たちは何を学んだのか。
そして、人事としてこれから何をすべきか。

2012年3月22日(木)に、第17回『日本の人事部』HRクラブを開催いたしました。

今回のゲストは、富士ゼロックス株式会社 CSR部 企画グループ グループ長の野村浩一氏。また、同社の人事本部の人事部労政グループ 労務管理チーム長の大石英寿氏、人事部労政グループ 労務政策チーム長の小林祐司氏、組織強化センター 組織強化担当プロフェッショナルの河野朝子氏にもご参加いただきました。前半は、同社が東日本大震災にどう対応し、社員のボランティア派遣や物資提供などの復興支援活動をどのように行ってきたのかについて、野村氏が説明。後半はゲストの4人と参加者全員で、ディスカッションを行いました。本レポートでは、当日の模様をダイジェスト形式でご紹介いたします。

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【第17回 開催概要】

■ テーマ
大震災によって私たちは何を学んだのか。そして、人事としてこれから何をすべきか。
■ 開催日時
2012年3月22日(木) 18:30~20:30
■ ゲストスピーカー
富士ゼロックス株式会社 CSR部 企画グループ グループ長 野村浩一氏 ほか

<野村 浩一氏 プロフィール>(のむら こういち)立命館大学文学部史学科東洋史学専攻卒業。富士ゼロックス株式会社入社後、営業を経て、広報宣伝部でTVCMや新聞広告の企画、制作などの宣伝業務を担当。2003年4月より現職。CSR戦略や中期計画やその実行計画の立案、社内外に浸透させるためのコミュニケーション計画などの立案・展開を通じて、富士ゼロックスならびに関連会社のCSRの強化を推進している。サステナビリティ日本フォーラム運営委員。日本自然保護協会評議員。

東日本大震災後、富士ゼロックスは復興支援にどう関わってきたのか

事業のグローバル化が進む、富士ゼロックス。現在、同社が求めている人材像とは、「自ら考え、行動できる」人材だそうです。設立から今年で50周年を迎えた同社。イノベーションを牽引する次のビジネスモデルを創出できる人材の育成を目指しているといいます。

また、社員と社会の接点の強化も重視しているとのこと。ボランティア活動などを通じて社会の役に立つことは、社員個人はもちろん、企業・組織にも好影響をもたらすという考えによるものです。東日本大震災以降、企業として被災地の復興支援活動を積極的に行っているそうです。

昨年3月の東日本大震災の際には、震災後すぐ対策本部を設置し、社員の安否確認や拠点の被害状況の把握を行い、震災から1週間後には、被災地に社員を派遣し、支援物資を送ったといいます。その後も、ボランティア活動を継続して実施。震災復興への活動を経営基盤の視点(従業員・拠点の安全確保、働き方の変革)、事業機能の視点(お客様対応、事業継続)、社会貢献の視点(自治体・被災地域の支援)から整理した上で、対策を立案・実施しているそうです。

同社が行っている復興支援活動は、大きく二つ。一つは「本業を活かした復旧・復興支援活動」で、復興支援NGOに同社の複合機を無償で貸与したり、避難所のマニュアルや炊き出しの案内に関するチラシを大量に出力するサービスを実施したりしています。

もう一つは「本業以外の復旧・復興支援活動」で、「義捐金の送付」「支援物資の配送」「新入社員をボランティアとして派遣」「社員ボランティアの支援」などを実施。このうち後者の二つは、CSR部と人事部が共同で行っているそうです。

社員は復興支援という研修を通じて何を学んだのか

新入社員の派遣は、2011年7月に実施。宮城県気仙沼市大島に、221名の新入社員とトレーナーや事務局のメンバー、合計約270人を派遣。浜辺の津波被害の後片付けなどを行いました。被災地の復興に貢献することはもちろん、活動を経験した新入社員たちが社会への感度を高め、社内を活性化させ、イノベーションを起こすことへの期待もあるとのこと。派遣にあたっては、いろいろと困難もありましたが、新入社員にとっては大変貴重な経験となり、同期同士の一体感の醸成にも繋がったそうです。新入社員に後日実施したアンケートでも、「2012年以降も同様の研修を実施したほうが良い」「ボランティア活動を継続するなら、また参加したい」という声は大変多かったといいます。

Photo社員のボランティア派遣は、2011年9月から11月に実施。ボランティア休暇を取得した社員が、観光産業の復興支援(瓦礫の撤去など)を中心に、後半は漁業の復興支援(養殖いかだの修理など)も行いました。同社は、ここでも新入社員の研修と同様、復興に貢献することはもちろん、参加する社員の社会感度を高めることを期待。後日実施したアンケートでは、多くの社員が復興支援活動を経験したことで「生活や仕事に影響・変化を感じることができた」と回答するなど、参加者の評価は高かったようです。


同社が行ってきた活動は社内で共有され、さまざまな波及効果を生み出しているとのこと。2011年11月には、海外の販売会社の社長や幹部が宮城県を訪問し、復興支援活動を行いました。また、若手リーダー研修の一環としても、復興支援活動を実施。参加者が復興プランを作成した上で、実際に現地に行き、その内容を検証するといった活動も行ったそうです。

同社では今後も、被災地の要望の変化に対応しながら、復興支援活動を継続していくそうです。短期的・一時的ではなく、持続することで本質的な課題を解決していくことが重要とのこと。また、純粋な地域貢献だけではなく、将来的にはビジネスの可能性も目指していくといいます。「本業」を活かした社会貢献活動にシフトし、観光の復興や医療に関する支援サービスなどを視野に入れているそうです。

講演の最後は、同社の考える「人事部は何をすべきか」について。今回のような取り組みを一過性に終わらせず、自ら考えて行動できる社員を育成し、新たな事業を創っていく――。「従業員の意識改革」「事業の変革」に繋げていく必要があるとのことでした。

以上で、第一部の講演は終了。誰もが共通して経験し、まだ記憶に新しい東日本大震災に関する取り組みということもあり、参加された方々は、非常に現実的な課題として受け止めていたようです。野村氏のお話に、皆さんが熱心に耳を傾けている様子が大変印象的でした。

改めて考えたい「人事担当者として何をするべきなのか」

この後は、野村氏への質問タイムを経て、全体でのグループディスカッション。少人数ならではのアットホームな雰囲気の中、ざっくばらんに会話が交わされました。

Photo 議論されたテーマは、「もし震災が起こったら、企業としてまず何をすればいいのか」「社員は、実際の業務と震災の復興支援をどのように両立しているのか」「首都圏に直下型の地震が発生した場合に備えて、企業は何をすればいいのか」など。本レポートでは、議論の詳細までは記載しませんが、これらは全ての企業がきちんと考え、対策を講じておかなければならない重要なテーマ。震災から1年が過ぎた今だからこそ、改めて人事担当者として何をするべきなのか、考えておく必要があるでしょう。

以上で、今回の「HRクラブ」は終了。いつも以上に濃密で、深い話ができた感のある2時間半でした。参加された皆さまも、多くの発見や学びを得ることができたようです。

次回は少し間があいて、6月に開催予定。運営のスタイルなどを見直して、新たな学びの「場」をご提供したいと考えています。次回の「HRクラブ」にもどうぞご期待ください!

【参加者の声】

≪講演の感想≫

  • 具体的なテーマ、大きなテーマ、その両方が聴けてとても有意義でした。(富国生命/恒吉 剛様)
  • 震災を「他人事」と捉えていては駄目で、「自分事」にするためには何ができるのかを考えたいと思いました。(富国生命/上原直樹様)
  • 講師の野村氏が人事畑の方ではなかったので、逆に新鮮な目線を感じることができました。(リマテック/深田浩嗣様)
  • 様々なデータを開示していただき、リアリティーを持って講演を聴くことができました。取り組みスピードの速さには、脱帽しました。(その他業種/広報・法務・事務担当)

≪ディスカッションの感想≫

  • 人材育成を考える上で、大変ためになりました。アットホームな雰囲気もとても良かったと思います。(富国生命/恒吉 剛様)
  • 最初はあまり自分の立場と関係がない話だと思いましたが、実際には、どんな会社にも当てはまるということがよくわかりました。(銀行/人事担当)
  • 少人数でざっくばらんに対話ができたので、とても良かった。CSR、人材開発、BCP、リスクといった、いろいろな観点から復興支援を考えることができました。(その他業種/広報・法務・事務担当)