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6. ワーク・ライフ・バランスと管理職の役割

なぜ管理職の役割が重要なのか

イメージワーク・ライフ・バランス支援というと、制度を立案・運用するのが人事部門であることが多いため、人事がその担い手であると思われることが多い。しかし、前章でも述べたように、実際に制度を利用できるように仕事を管理したり人材マネジメントを行ったりするのは、それぞれの「職場」である。全社的な働き方改革の取り組みや、多様な価値観を受容できる企業風土づくりで、最も重要な役割を果たすのも、やはりそれぞれの職場と言えるだろう。

職場で仕事管理や人材マネジメントを直接行うのは「管理職」である。ワーク・ライフ・バランスの実現において、その役割は非常に大きい。管理職がその考え方を理解し、正しい取り組みに協力しなければ、企業におけるワーク・ライフ・バランスは、実現していくことが難しいだろう。そこで本章では、管理職の役割の重要性とその課題について、改めて考えてみたい。

管理職のワーク・ライフ・バランス意識

イメージ現代の管理職は、ワーク・ライフ・バランスという考え方が浸透する以前に社会人生活をスタートし、時間制約をあまり意識しないワークスタイルで実績をあげてきた世代が中心である。自身の体験だけを踏まえて仕事管理や人材マネジメントを行っているようでは、部下がワーク・ライフ・コンフリクトに陥り、職場全体のモチベーションや生産性が低下していく可能性もある。ワーク・ライフ・バランス導入を進めていく上で、まず取り組まなければならないのは、こうした管理職の意識変革であろう。

そのためには、経営トップからの強力なメッセージの発信、およびワーク・ライフ・バランス理解のためのセミナーといった、教育・研修が欠かせない。

管理職のマネジメント能力

休業や短時間勤務を取り入れながら、なおかつ職場として成果をあげていくには、管理職の的確なマネジメントが必須だ。しかし、多くの企業では、管理職のマネジメント能力が十分とはいえないのが現状ではないだろうか。

1)プレイングマネジャー化して多忙に

欧米ではマネジャー(管理職)の役割は第一に部下のマネジメントとされている。しかし、現在の日本企業では多くの管理職がプレイングマネジャーであり、自分の目標に追われて部下のマネジメントが置き去りにされている状況が見受けられる。企業・人事部門としては、管理職の職務内容を整理し、部下のワーク・ライフ・バランスに関する満足度や、時間生産性が高い職場づくりができているかどうかといった観点から管理職を評価することも考えていく必要がある。

2)管理職登用時の適性判断

管理職の部下マネジメントが不十分な一因として、日本では管理職の登用要件が業務遂行能力の高さに重点を置いたものであることが指摘されている。これは、仕事をしている姿を見せることによって、「背中で部下を導く」という日本的なマネジャー像に由来しているとも言えるが、今後は部下ときめ細かくコミュニケーションを取りながら、その意欲や能力を高め、適切な目標を設定していく組織マネジメント力が求められるのは間違いない。特に、ワーク・ライフ・バランス支援の観点からは、部下との密接なコミュニケーションは欠かせない要件となってくる。

3)部下の評価基準を更新する

部下の仕事や能力に関する評価基準が、未だに「長時間働いている=頑張っている」ということになっているケースは多い。しかし、ワーク・ライフ・バランスの考え方を取り入れた評価基準にしていくなら、「時間当たりにどれだけの成果をあげたか」ということこそ、評価すべきだろう。企業としては、研修やセミナーで管理職の部下評価基準を更新してことが求められる。

管理職自身のワーク・ライフ・バランス実現

イメージ管理職自身は、労働時間・休憩・休日に関する労働基準法の規程の適用から除外されているため、ともすれば過重な労働環境に置かれていることが多い。これもいくつかの問題を生んでおり、今後は管理職のワーク・ライフ・バランスにも一定の配慮を行っていくことが重要になるだろう。

1)消耗による業務遂行能力の低下

部下との密接なコミュニケーションにもとづいた仕事管理・人材マネジメントは、多忙で消耗した状態では的確に行うことが難しい。実際に、管理職自身がワーク・ライフ・バランスを実践している職場の方が、部下のワーク・ライフ・バランス満足度、職場の生産性のいずれも高い傾向がある。

2)部下のワーク・ライフ・バランス観への影響

管理職がワーク・ライフ・バランスを無視した働き方をしている職場では、早く帰りづらい雰囲気が生まれ、部下のワーク・ライフ・バランスに関する満足度は低下する。場合によっては、部下自身も「ワーク・ライフ・バランスは不必要だ」といった意見を持つようになることもあるだろう。管理職の仕事に対する姿勢は、職場全体に大きな影響を及ぼすため、管理職の意識改革は重要と言える。


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