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「働き方改革」推進に向けての実務(5)副業

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(1)目的と課題

●「副業」解禁は時代の流れ。副業経験が、人材の成長につながる

ワーク・ライフ・バランスとは何か?

近年、副業を許可することによる「会社以外での活動」での自己成長、人材交流、リフレッシュ効果などのメリットが注目されている。日本では、まだ多くの企業で就業規則によって「副業禁止」が定められているが、ビジネスパーソン側はその「枠」を乗り越えようとしている。事実、ある調査では、本業と同時進行で副業をする割合が五人に一人に達するといわれ、特に20代の副業率が高いとされている。ビジネスパーソンの副業というと、かつては“労働時間”に応じて副収入を得るアルバイトというイメージだった。ところが最近は、そうしたケースは減少し、アフィリエイトやネットショップ、ネットオークション、FX(外国為替証拠金取引)など、“成果報酬型”による副業の割合が高くなっている。加えて、「オープンイノベーション」や本業以外にNPOや地域活動などを行う「パラレルキャリア」の推進により、先進的な企業では副業に対する認識が大きく変化している。

最近の副業をあえて認める動きには、「他社で得るスキルを自社でも役立てる」「多様な人々との交流や異業種による交流が本人を成長させ、自社の生産性向上に寄与する」など、さまざまな思惑がある。目的は異なるが、一定の要件の下で副業を認める動きになっているのは間違いない。その結果、本業以外の社外活動に取り組み、「2枚目の名刺」を持って複数のキャリアを実践する「パラレルキャリア」というワークスタイルが、ビジネスパーソンの中に浸透した。業種や経営者の考え方などによってその扱いは異なるが、いま、時流は確実に従来型の「シングルキャリア」から副業容認の「パラレルキャリア」へと変化している。

(2)具体的な実務の考え方

●「許可制」を採り、基準を設定するケースが多い

しかし、実際に副業を解禁する場合、企業側には人事・労務管理の面から一定の責任が生じる。まず、副業の扱いに関しては、以下の四つのパターンが想定される。

【副業の扱いに対する四つのパターン】

完全解禁 基準を設けず、社員の自由に任せる。
届出制 社内で一定のルールを設け、届出をしてもらう。内容によっては、ルールに沿った形で副業に変更を求めることがある。
許可制 一定の基準を設けて申請させる。基準を満たさない場合は、許可しない。
禁止 すべての副業を禁止する。

現実的には、副業によるリスクを回避するために、一定の“歯止め”をかけるのが合理的だ。ただ、近年の副業解禁の流れの中にあって、一定の基準内での副業にとどめたいとする企業では「許可制」を採り、基準を設定するケースが多く見られる。基準としては、以下のような事項が考えられる。

副業を許可する基準(例)

  • 企業のイメージダウンにならない仕事、対外的信用・体面の傷つかない仕事
  • 業務の秘密漏えいにつながらない仕事
  • 本業の営業妨害とならない仕事
  • 労働時間、労働時間帯などで、本業に支障を与えない働き方

また副業を許可する場合も、書面による内容の確認をはじめ、副業先の業種の限定、誓約書の取り付け、同業や競合他社への副業を禁止するなどの対策を講じる必要がある。重要なのは、副業を行うにあたって遵守すべき事項を書面で明示し、許可制の場合はこれらを遵守することを条件に、会社として許可すること。また、営業秘密を漏えいしない旨の誓約書を取り付けると同時に、漏えいした場合には、刑事罰の対象となり得ることや、競合避止義務があることを正しく理解してもらうことも大切だ。

留意したいのは、使用者責任として、副業を持つ社員に対する「安全配慮義務」の範囲が、副業を持たない社員よりも大きくなりかねないこと。そのため、許可基準を設定するときは、副業を認めた場合の企業リスクを洗い出し、業種や該当者の職務、人事・労務管理の徹底の可否などを考慮しつつ、総合的な経営判断の下、自社なりの基準を構築していくことが重要だ。いずれにしても副業に際して、守るべきルールを周知徹底しておかないと、社員全体のモチベーションが下がり、モラルや生産性の低下を引き起こしかねない。一定の基準を設けて「許可制」にして対応することが、企業におけるリスク管理として有効だろう。


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