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「働き方改革」推進に向けての実務(2)長時間労働の是正

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(1)目的と課題

●働き方改革における「長時間労働是正」の位置づけ

2016年6月、「ニッポン一億総活躍プラン」が閣議決定された。その中で、働き方改革における「長時間労働是正」について、以下のような記載がある。

【働き方改革における長時間労働是正の位置づけ】

長時間労働は、仕事と子育てなど家庭生活の両立を困難にし、少子化の原因や、女性のキャリア形成を阻む原因、男性の家庭参画を阻む原因となっている。戦後の高度経済成長期以来浸透してきた「睡眠時間が少ないことを自慢し、超多忙なことが生産的だ」といった価値観が、この3年間で変わり始めている。長時間労働の是正は、労働の質を高めることにより、多様なライフスタイルを可能にし、ひいては生産性の向上につながる。今こそ、長時間労働の是正に向けて背中を押していくことが重要である。

さらに「ニッポン一億総活躍プラン」では、「36協定の見直し」「勤務間インターバル制度の導入」など、今後、関係法令の改正や監督強化によって、長時間労働是正を推進していくことが明確に示されている。

事実、海外と比較しても日本の長時間労働者が依然として多く、週49時間以上働いている労働者の割合は、欧米諸国が軒並み10%台、あるいは一桁であるのに対し、日本は21.3%と突出している(労働政策研究・研修機構「データブック国際労働比較2016」)。長時間労働是正は、「働き方改革」の中でも、最重要テーマの一つなのだ。

(2)具体的な実務の考え方

●「長時間労働是正」のための「取り組み例」

「働き方改革」推進に向けての実務(2)長時間労働の是正

長時間労働是正のためには、どのような取り組みを行えばいいのか。まず必要なのは、「労働時間制度の見直し」だ。各社員の勤務の実態に合わせた労働時間制度を適用することによって、生産性の低い働き方を排除し、長時間労働を是正していくのである。例えば、1ヵ月を通じて仕事に「繁閑の波」がある場合は「1ヵ月単位の変形労働時間制」を取り入れ、1年を通じて「繁閑の波」がある場合には「1年単位の変形労働時間制」を導入することだ。また、1日の営業時間を超えるような場合には、「シフト勤務」の導入を講じることである。

労働時間制度の見直しのほかにも、長時間労働是正には以下のような取り組み方がある。各企業の実態に合わせて、効果の期待できるものを検討し、導入することが望まれる。

【長時間労働是正のしくみ(例)】

ノー残業デーの実施 1週間(1ヵ月)の中で、残業をしない日を設ける方法。しかし、業務量が減らないまま導入すると、「サービス残業」の温床となるリスクがある。ノー残業デーを実現するためには、残業をしなくても業務に支障が出ないよう、生産性を上げる工夫をしたり、各社員の業務量や役割分担を見直したりするなど、「業務の棚卸し」とセットで行うことが肝心である。
勤務間インターバル制度の導入 勤務間インターバル制度とは、終業から次の始業まで一定の休息時間を設けるもので、労働者の健康安全を確保することを目的としている。EUの加盟国が遵守すべきEU労働時間指令では、24時間につき最低連続11時間の休憩時間を義務づけている。
多能工化の推進 社内業務における多能工化を進める。仕事が特定の社員に張り付いている状態では、ほかの社員の代替ができないため、休暇が取りづらく、結果として長時間労働を招くことになる。そこで、一つの業務について、複数の社員が担当できるようにし、不在時でもカバーできる体制を整えておく。その結果、担当者不在による業務の停滞が解消され、休暇も取りやすくなり、長時間労働の是正につながる。
評価指標に、残業が少ない人に賞与が多く支払われるしくみを設ける 「労働基準法」では、会社は残業が発生すれば割増賃金の支払いを免れることはできない。そこで、評価の指標残業時間を組み入れ、残業が多い社員には賞与を少なく、残業が少ない社員には賞与を多くする制度を導入する。その結果、残業時間が短い生産性の高い社員は残業代が少なくても、賞与査定では高い評価が得られる。トータルで見れば、無駄な残業をしない方が所得も増え、長時間労働を是正する行動につながる。
管理職の部下育成に対する意識改革(部下の裁量増加) 管理職が長時間労働に陥りやすい原因の一つに、プレイングマネジャーとなって現場の仕事を抱えることで、本来の業務である部下育成、マネジメントに手が回らないことがある。部下の育成が進まないため、ますます自分で抱える業務が多くなるという“悪循環”にはまっているのだ。これを正すためには、「忙しいからこそ、部下を育成しなければならない。部下の裁量を増やすことが重要」と管理職側の意識を変える必要がある。部下育成を管理職の評価項目に取り入れる、などといった対応が考えられる。

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