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研修計画の作り方

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人材育成戦略は、経営戦略の一翼を担うものである。研修計画を作成するに当たっては、長期的な視点に立って、計画的に実行していくことが求められる。その際に重要なのは、人材育成戦略全体を有機的に関連づけ、人材育成ニーズに合った研修を立案、実施していくことである。さらには、研修でどのような効果が得られたのか、効果測定を実施していくことが大切である。

研修計画作成に関する考え方

研修計画を立案する際は、経営戦略に対応した人材育成戦略とすることを第一に考え、経営理念やトップの示す人材育成方針を具体化していく内容にすることが求められる。なぜなら、企業における人材育成の狙いは、経営戦略を担うことのできる能力を開発することだからだ。それも、当面の課題への対応だけではなく、将来必要とされる能力の開発を含んだものでなくてはならない。そのため、「短期(1~2年)」と「中期(3~5年)」の人材育成戦略を考える必要がある。以上の点を踏まえ、経営課題(中期経営計画)から人材育成の課題(人材ニーズ)、能力開発の方法(研修計画)を検討していく必要がある。

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具体的なプログラムを選定するためには、まずは求める姿(人材要件)に対して、現状はどうなのかを調査・ヒアリングし、分析を行う。そこで導き出された結果からギャップが起きている要因を明確にし、求める姿とギャップを埋めるために何が必要なのかという観点から、研修ニーズ(研修目的)を導き出していく。

その際、いくつかのプログラムを進めていくにあたっては、それぞれのプログラムの目的と特徴を明確にする一方で、他のプログラムとの関連づけをはっきりとさせていくようにする。このようなステップを踏み、自社なりのオリジナルな研修体系を作っていくことで、研修効果をより高めていくことにつながっていく。

研修計画作成の流れ

具体的には、以下のような流れで年間の研修計画を作成していく。

1)研修予算の確保

会社の事業計画、昨年度の研修費用などを参考にし、今年度の研修予算を確保(決定)する。

2)研修計画の立案

■研修計画の立案の流れ
研修計画の立案の流れ

会社が期待する人材像(人材要件)と現状の従業員のレベルを確認し、理想と現実のギャップを確認した上で、ギャップを埋めるための教育体系を考える。そして、経営者や各事業部門の責任者からヒアリングした人材育成ニーズ、または他社事例などを参考にしながら、今年度実施すべき研修メニューを洗い出していく。その中から、研修予算の範囲内で実施可能なものをピックアップし、研修計画を完成していく。

3)研修内容の決定

実施する研修が決まったら、次の事項について詳細を決めていく。

  • 研修の狙いと目的
  • 対象者、参加予定人数
  • 方法(OJT、集合研修、eラーニング、社外の研修への参加 など)
  • カリキュラム/プログラム

4)年間スケジュールの決定

カリキュラム・プログラムの詳細が決まったら、年間スケジュールを作成する。その際、「新入従業員研修」「新任管理職研修」など、実施時期が決まっている研修を優先した上で、多くの従業員が参加できるよう、業務の繁忙期を避けてスケジュールを決定していくことが望ましい。

5)告知

年間の研修計画が決まり次第、速やかに社内に告知する。

効果測定の実施

研修を行った後は、効果測定を行う。効果を測定する指標としては、カーク・パトリックの「レベル4フレームワーク」が有名だが、これは研修効果を大きく四つのレベルに分けて達成度合いを見るもので、教育効果測定の現場では広く活用されている。レベル1ではアンケート、レベル2では筆記・実技テスト、レベル3では本人・上司に対する追跡調査と周囲へのヒアリングが行われる。そして、レベル4では売上や離職率など、教育実施のきっかけとなった数値の変化を見るが、どこまでが教育の影響かは判断し難いため、現場の上長へのヒアリングなども合わせて行われる。

また、ジャック・フィリップスはこの4段階評価に、レベル5として「ROI:Return On Investment」(費用対効果)を加えている。研修に投じた費用とそこから得られた利益(効果)を、数値として把握しようというものである。費用対効果を重要視するアメリカでは、この5段階評価を研修などの効果測定に利用するケースが多いようだ。

■教育効果測定の段階評価(カーク・パトリックのレベル4フレームワーク+ROI)
レベル1 Reaction(反応) 参加者の満足度の評価
レベル2 Learning(学習達成度) 学習目的のスキル・知識の理解度、学習到達度の評価
レベル3 Behavior(行動変容) 実際の職場における学習内容の実践度の評価
レベル4 Results(組織貢献度) 個々の行動変容がもたらした組織への影響を評価
レベル5 ROI(費用対効果) 教育投資に対して得られた利益を、具体的に数値で算出

*ジャック・フィリップスの5段階評価における表記は、レベル3は「Application」、レベル4は「Business Impact」である

日本企業では、効果測定の際に、レベル1のアンケートを多く用いている。ただし、最近の傾向として、一つの効果測定方法に頼るのではなく、複数の測定方法を組み合わせるようにもなってきた。教育研修の効果測定の対象として、「企業の業績(業績の変化、ビジョン達成度)」「組織・部門・集団(組織的な能力、組織的な行動の変化)」「受講者(個人能力の変化、行動の変化、意識満足度)」の三つがあるからで、それぞれにふさわしい方法を用いた効果測定を行うケースが増えてきている。

また、教育研修の効果測定の時期をいつにするのか、という問題がある。これについては教育研修を「実施する前」「研修中」「終了直後」「一定期間後」「定期的」という設定が考えられる。このようにさまざまなタイミングで実施することが、教育研修効果の測定には求められる。

いずれにしても、研修効果の何を、いつ、どのようにして測るのかを明確にしておく必要がある。このように研修の効果測定には多様な観点があるが、研修の目的に応じた柔軟、かつ具体的な指標を設けることが大切である。


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