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研修・人材育成とは

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変化の激しい現在、企業は人材育成において、他社よりも早く適切な対策を講じ、人材の底上げを実現していかなければならない。それが、経営の大きなアドバンテージとなるからだ。人材育成のために、今、企業に求められていることは何なのだろうか。

最初に、人材育成の現状について確認し、今後、どのような対策を行っていけばいいのか、進むべき方向性を整理していきたい。

人材育成の方針と現状

言うまでもなく、人材育成は企業の戦略に則った形で進めなくてはならない。今、経営が求めているのは、戦略の実現に向けて活動している現場の変化に対応し、効果的・効率的に推進していくことができる実践的な人材の育成である。

産業能率大学総合研究所が実施した「経済危機下の人材開発に関する実態調査(2010年)」では、「人材開発ポリシー」「教育体系」などをはじめとした人材開発の方針と現状を詳しく聞いている。

「人材開発ポリシー」については、以下のような傾向を見て取ることができる。

【人材開発の主体に対する考え方・キャリア形成】

従業員の能力開発は本人の責任と捉える半面、従業員のキャリア形成は組織が支援するものと考える企業が相対的に多くなっている。前回調査(2008年)では従業員の能力開発は組織の責任であるとの見方が5割を超えたが、今回は本人責任との見方が5割を超えた。

【人材開発の進め方・教育効果に対する考え方】

人材開発施策は本社スタッフ部門によって主導されることが多く、人材開発施策の効果は中長期的な観点で捉える傾向が強くなっている。

【人材開発の方法・教育投資のスタンス・形態】

人材開発は依然としてOJTが中心であり、off-JTについては「底上げ型」「一律型」を重視する企業が相対的に多い。

【教育の内容】

教育内容は、職種にかかわらない汎用的な能力を高めるものが相対的に多い。

■図表1:人材開発ポリシー
図表1:人材開発ポリシー

出所:「経済危機下の人材開発に関する実態調査(産業能率大学総合研究所・2010年)」

「教育体系」ついては、以下のような傾向が明らかとなった。

【組織の要請への対応】

「経営戦略との連動性の確保」「開発能力と実施研修との関係の明示」「定期的な妥当性の検証」といった要件を満たし、組織の要請に沿った体系の構築ができていると認識している企業が多くなっている。

【個人を活かす施策】

個人の多様なキャリア志向に対しては、十分に応え切れていないと認識している企業が多い。また、OJTとoff-JTとの連動や、個人の能力開発履歴の活用についても、できている企業は半数以下に止まっている。

■図表2:教育体系
図表2:教育体系

出所:「経済危機下の人材開発に関する実態調査(産業能率大学総合研究所・2010年)」

人材育成に対する問題意識が強くなっている中で、育成機会において「OJT中心」と回答している点が注目される。いろいろな形で研修の機会は増えてきているが、現場で人を育てていくことを志向する企業は依然として多い。その意味からも、人材育成の場において、改めて現場の管理職の持つ意味合いが大きくなっていることがよく分かる。

不況期になると人材育成が見直されると言うが、事実、リーマンショック後には、教育研修施策の見直しがかなり進んだ。「研修の回数・内容を見直した」「研修の内製化を進めた」など、コストダウンを図るとともに、各企業ではさまざまな工夫・改善が行われた。ただし、人を育てることにブレーキをかけたわけではない。教育・研修を継続することを前提に、各種施策の見直しが図られたことは、企業の教育・研修企画機能が十分に働いた証しと見ることができる。人事制度改革からタイムラグはあるものの、ここに来て人材開発に対する改革の動きにアクセルが踏まれてきたのである。

人材育成の目的

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人材育成は、企業経営の根幹にかかわるテーマである。能力の開発を行い、人材の成長によって経営理念の実現、企業業績の向上を目指していくことが、企業の大きな目的があることは今も昔も変わりない。一方、従業員は自分の能力が高まることによって成長を実感し、昇格・昇進や報酬の上昇に結び付くものと期待する。このように人材育成は、企業と従業員の双方が将来的にメリットを受けることを期待して行われる。

問題は、今行われている研修や施策が従業員の能力開発や、経営理念の実現、企業業績の向上に本当につながっているのか、ということである。その点についての「検証」が十分にできていない企業は多いのではないか。企業が成長している時に問われることは少ないが、経営を取り巻く環境が一段と厳しくなった現在、改めてその点が注目されている。

目指す方向性と人材育成体系の構築

日本企業の強みは「個の力」を集めた「組織力」にある。厳しい経営環境の中にあって、いかに効率よく人材に投資し、経営に貢献する人材を育てていくか。このことが、これからの日本企業の生き残りに関わってくる。

そのためには、自社の人材育成の目指す方向性(求める人材像)を示し、それを実現するプランを立てなければならない。大切なのは、経営計画と連動した人材育成体系を構築し、その中での重要度、緊急度を考えながら、事業ニーズに応えていくための施策・研修メニューへと落とし込んでいくことである。同時に、受講する従業員にとっても動機づけとなり、魅力あるものにしていくことが求められる。


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