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研修の種類と形式

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企業は従業員の仕事の質を高めていくために、さまざまな研修を実施し、能力開発、知識・スキルアップを図っていかなくてはならない。ここでは、研修の種類と形式、内容区分などについて紹介していく。

種類:OJTとoff-JT

人材育成には、大きく「OJT:On the job Training」(職場内研修)と「off-JT」(職場外研修)の2種類がある。日常業務の中で、従業員は職場の上司や先輩従業員などからさまざまな指示や指導を受ける。このような日々の仕事を通じて職場で行われる能力開発のことをOJTという。OJTには、次のような特徴がある。

OJTの特徴

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1)仕事に直接必要な教育を効率よく実施できる

OJTは、仕事に必要な実践的な知識やスキル・技能の習得に適している。職場での仕事を通じて教育ができ、教育する機会も多く、時間的に無理なく実行できる。また、教育にかかるコストも安くすむ。

2)個別教育なので、効果を上げやすい

職場における教育は、教えられる側の能力や個性に応じて行われる。個別教育なので、効果も上げやすい。

3)日常の仕事を通じて、継続的に実施される

日々の業務指導を通じて、絶えず教育が行われることになる。否応なく、上司の仕事の進め方は部下に伝わり、影響を与えることになる。このように、OJTは日常の仕事を通して人材を育成していくので、部下の育成には最適な教育方法であると言える。

4)教える側の成長につながる

部下の指導・育成を通じて、教える側の先輩社員、上司自らも成長できる。

off-JTの特徴

一方、仕事を進めていく上で必要な知識やスキル、技能などを修得するために職場を離れて研修を行うのが、off-JTである。off-JTには、次のような特徴がある。

1)階層・部門に共通に必要な事項を学ぶことができる

Off-JTでは、日常業務に忙しい上司に代わって、専門の講師が担当することが多い。ここでは、各階層や部門に共通して必要となる知識やスキルなどを、効率よく学ぶことができる。

2)日常の仕事を通じて習得することが難しい知識・技術を学ぶことができる

日常業務の中ではなかなか得ることのできない新たな経営動向や技術動向など、最新の知識・技術をまとまって学ぶことができる。

3)経営マネジメントに関する体系的な知識を学ことができる

職場では、日常的に直面する仕事や課題に対応することに追われてしまいがちである。そこで、日常業務から離れた場で、マネジメントの理論などを体系的に学習することにより、仕事を全社的な観点から見直すことができる。また、自分の職務の位置づけを明確に理解することができる。

OJT、off-JTのメリット・デメリットは、以下のように整理することができる。

■OJT、off-JTのメリット・デメリット
 メリットデメリット
OJT
(職場内研修)
  • 職場で手軽に実施できる
  • 実施費用が特にかからない
  • 仕事に必要な、実践的な内容を教えることができる
  • 上司や先輩にとっても成長、自己啓発の機会となる
  • 体系的、理論的な内容を教えるには不向きである
  • 職場や教える人によって、内容や頻度にバラツキが出る
  • 相互学習の刺激が得にくい
off-JT
(職場外研修)
  • 体系的、理論的な内容を教えることに向いている
  • 職場を離れることで、新たな気づき得ることができる
  • 受講者とのコミュニケーションが図れ、社内の人脈・ネットワーク拡大につながる
  • すぐに仕事に役立つ内容ではないものもある
  • 時間や費用がかかる

OJTが中心である一方で、off-JTが多様化

これまで、日本企業における人材育成はOJTを主体に行われてきた。各種調査結果などを見ても、その方向性は変わらないと思われる。しかし、近年は仕事の専門性が高まり、求められる知識やスキルの変化が早くなっていることなどを理由に、off-JTの重要性が高まってきている。

かつて、off-JTは新入社員研修に始まって管理職研修までを階層別に捉え、研修体系を構築していた。しかし、経営環境が大きく、かつスピード感をもって変化している現在にあって、階層別で一律に実施するというやり方では、多様な人材の開発や専門能力・スキルの向上に対応していくことは難しくなっている。そのようなことから、最近では多くの企業で階層別研修が見直され、同時に各自のキャリアプランに沿った研修をはじめとして、テーマ・課題別の研修、職種別の研修、ビジネススキル・ナレッジ研修、自己選択型の研修、選抜型の研修、さらには組織活性化研修、360度サーベイフィードバック研修など、off-JTの内容が非常に多様化してきている。

形式:対面型(座学・講義型、対話・体験型)と非対面型(eラーニング)

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研修の形式としては、「対話型(座学・講義型、対話・体験型)」と「非対話型(eラーニング)」の二つがある。また、対話型には、講師と受講者が対面して行う「座学・講義型研修」、講師がファシリテーター(促進役)となって、受講者同士が対話や体験をしながら行う「対話・体験型研修」がある。

「座学・講義型研修」は、基本的に講師が回答を持っていて、それを参加者に提供していくという前提がある。講師が持つ知識や情報を参加者が獲得するわけだが、この場合、知識や情報のやり取りは、基本的に講師と参加者各人との間で行われる。そのため、大勢が参加する研修でも、そこで起こっているのは参加者各人の「個人学習」である。

それに対して「対話・体験型研修」は、ワークショップ(協同作業)形式の研修である。講師はファシリテーター(促進役)という位置づけで、対話を重視した双方向のやりとりを通じて、参加者の学習を支援していく。また、講師だけでなく参加者も自らの意見を言い、さまざまな考え方を共有することになる。まさに、参加者同士が主体的に学び合う「集団学習」と言うことができる。

近年、「対話・体験型研修」を導入する企業が増えてきているが、その背景には、「対話・体験型研修」を通して従業員同士のコミュニケーションを密にしていきたいと考える企業が増えてきたこと、「対話」や「体験」を通して、自ら課題を見つけることのできる自立型人材の育成を目指す企業が増えてきたこと、などの理由が挙げられる。

一方、非対話型には、社内の情報ネットワークを通じてテキストを提供し、従業員が自席のパソコンやスマートフォンなどの端末で受講する「eラーニング:Web Based Training」がある。「eラーニング」は受講者を集合させる時間と費用の負担を軽減し、また、自分の都合のよい時間に学ぶことができるなどの理由から、導入する企業がここへきて増えている。

対面型の「座学・講義型研修」「対話・体験型研修」と非対面型「eラーニング」のメリット・デメリットは、以下のように整理することができる。

■「座学・講義型研修」「対話・体験型研修」「eラーニング」のメリット・デメリット
 メリットデメリット
座学・講義型研修
  • 伝えられる情報量が多い
  • 運営や進行がコントロールしやすい
  • 参加者が受動的になりがちである
  • 理解度にバラツキが出る
対話・体験型研修
  • 参加者が能動的になる
  • 参加者同士が親密になる
  • 伝えられる情報が限定的になる
  • 運営や進行をコントロールしづらい
eラーニング
  • 端末があれば、いつでもどこでも受講が可能である
  • 会議室の手配、移動の手間が省ける
  • 繰り返し受講が可能である
  • 自分のペースで学習できる
  • コストが安い
  • 受講することへの強制力が弱い
  • 通信環境が整備できているかどうかに、左右される
  • 臨場感がない

内容区分:「階層別研修」「職種別研修」「テーマ別研修」などに分類

また、off-JTで行う研修については、研修内容の区分として「階層別研修」「職種別研修」「テーマ別研修」に分かれる。
「階層別研修」は、新入従業員、中堅従業員、管理職など、特定の階層(年齢層・役職等)に必要とされる能力・知識、態度などを習得させるための研修である。組織を縦割りにした教育で、会社生活の節目にタイミングよく実施することが重要である。また、 「職種別研修」は営業・販売や人事・労務、経理・財務、技術・開発、生産など、職種ごとに必要とされる能力・知識などを習得させるための研修である。両研修とも多くの場合、従業員には受講が義務付けられており、受講者は職制を通じて召集される。

その他、階層、職種などにかかわらず、主に全従業員を対象とした「ビジネススキル研修(語学、ロジカルシンキング、プレゼンテーション、IT関連など)」、あるいは「テーマ別研修(リーダーシップ、コーチング・ファシリテーション、モチベーション・組織活性化、チームビルディング、グローバル人材育成など)」や自分自身が必要に応じて選択する「選択型研修」、次世代リーダーを育成する際などに実施される「選抜型研修」など、多種多様な研修がある。これらさまざまな研修を、その特徴と受講者のニーズに合致させ、全社的な人材育成体系の中にうまくビルトインしていくことが重要である。

「自己啓発」への支援

また、従業員が「通信教育」などを通して自発的に行う能力開発を「自己啓発(SD:Self Development)」という。本来、自己啓発は従業員の個人的な行動であるが、それを通して実現される資格取得、能力や知識・スキルの向上、さらにモチベーションの向上などは、会社にとってもメリットが大きい。そのため、通信教育の受講料の一部を負担する、あるいは、資格取得に対して報奨金を支給するなど、従業員の自己啓発を支援する企業も多い。

さらには、「自己申告制度」「社内公募制度」「キャリアプランの作成」など、従業員のキャリア形成を支援していく施策、あるいは「人事部門による面談・相談制度」「ジョブローテーション」など人事制度との連携で人材育成を図っていく施策もある。


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