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中途採用の「実務」【2】採用目標の設定

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(1)募集の背景と目的の整理

● 事業の現状と方向性の整理

中途採用を実施するには、まず「採用目標」を決める必要がある。採用目標は自社事業の現状(中長期計画)の下、経営戦略、組織・人事戦略から導き出された「要員計画」から決定される。また採用目標は「質」と「量(人数)」から成り、特に質については、「求める人材像」を明確にしておく必要がある。なぜなら、求める人材像から最も効果的な募集手段が導かれ、広告手法や選考方法が決定されていくからだ。

また、採用目標を明確化するとともに、「採用環境(他社の採用動向、採用ターゲット数など)」や自社の「採用力(企業力、労働条件・処遇、採用戦術など)」を適切に分析する必要がある。採用目標と現状の採用力にギャップがある場合は、採用活動や労働条件・処遇などを改善する。このように採用目標を決めるためには、事前にいくつか整理しておくポイントがある。

【採用目標を決めるために整理するポイント】
要員計画 経営戦略や経営計画に基づいて、要員計画を策定する。
組織風土 経営理念・ビジョン、人材観や大切にしたい企業文化など、望ましい組織風土を具体的な言葉にする。
人材像 全社組織図と業務フローを明確にし、どの部分を担う人材が必要かを明らかにする。同じような部門や職種名でも、業界や会社によってかなり違うことが少なくない。自社の仕事のどこを担う人材なのか、職務や責任を明確にする。
企業情報 想定される現在の勤務企業や採用競合企業との比較を行う。具体的には、業績、規模、社員数、資産、知名度などの企業力や、勤務地、福利厚生などの労働条件、採用者個人の給与、待遇などを比較する。

(2)求める人材像の明確化

● 「スペック」と「タイプ」から構成される求める人材像

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具体的な採用目標を決める際には、「いつまでに」という時期や人数のほか、「どのような人材を」という「求める人材像(採用基準・採用ターゲット)」が重要になる。求める人材像は、「スペック(学歴・経験・能力など)」と「タイプ(志向、性質、行動特性など)」の二つの要素から構成される。

スペックは比較的言語化しやすく、その有無や程度について、採用する側、求職する側の双方で、客観的に判断することが可能である。それに対して、タイプは抽象的、主観的な部分があり、的確に言語化することが難しい。しかし、未経験者のポテンシャル採用ではもちろん、経験者のスキル採用の場合でも、組織風土に合致した人材の採用・活用を行うために重要な要素である。以下に、スペック・スキルの観点から求める人材像に関するキーワード(参考例)を記す。これらキーワードをより具体的にして、自社オリジナルの人材像を表現することが大切である。

【求める人材像に関するキーワード(例)】
スペック1:
知識、スキル、経験に関するキーワード
専門分野に関する知識、基礎学力、地頭の良さ、体力、一芸に秀でている、一般常識・マナー、職務経験、資格所有、社外に出ても通用する高い専門性、語学力、マネジメント経験 など
スペック2:
能力に関するキーワード
情報収集力、情報分析力、計数分析力、行動力、コミュニケーション力、統合力、理解力、洞察力、思考力、仮説立案力、問題分析力、問題形成力、対処力、論理的思考力、判断力、決断力、創造力、表現力、説明力、文章表現力、説得力、プレゼンテーション力、実行力、課題遂行力、統率力、調整力、チームワーク、対人折衝力 など
タイプ:
志向、性質、行動特性に関するキーワード
積極性、柔軟性、順応性、リスクテイク、独自性、主体性、誠実性、感受性、集団生活ができる、他人を思いやる、人間関係を大事にする、身体を動かすことが好き、人と会うことが好き、興味・関心の多様性、向上心、責任感、目標達成意欲、自主独立性、持続性、貢献意欲、率直さ、チャレンジ精神、達成意欲、昇進意欲 など

(3)選考基準の策定

● 求める人材像から、選考基準を明確化する

採用における選考の実務は、「選考基準の策定」から始まる。例えば、中途採用者の選考基準では、以下に示したような要素に大きく分けられることが多い。ただし、これらには「データ・事実によって客観的に判断可能なもの」と「抽象的、主観的であり、コミュニケーションする中から判断するもの」とがある。そのため、それぞれにおいて各社が求める人材像に合わせた基準と照らし合わせた上で、判断する必要がある。

【選考基準と判断の方法(例)】
選考基準客観的に判断できるもの抽象的・主観的であるもの
職務遂行能力 ●応募者の職務経歴を事実・実績ベースで詳細に分析する
  ↓
●現場責任者または経営者が担ってほしいと考える仕事・事業に必要な知識・技術・経験を洗い出す
●仕事を遂行する際における人物・人柄、志向、行動特性など
  ↓
●「人材鑑識眼」を持つ人物が十分に懇談して、判断する
勤務条件・待遇への適合性 ●給与・休日休暇・勤務時間・転勤や海外勤務への対応力など ●採用担当者が十分に懇談して、判断する
組織・風土適応力 - ●規律性、忍耐性、責任感、指導力、協調性、共感性など
  ↓
●採用担当者や事業責任者、所属する予定の現場責任者が十分に懇談して、判断する
人物・人柄 - ●誠実性、感受性、責任感、情緒安定性など
  ↓
●経営トップや人事担当者以外に、同年代の信頼できる社員と懇談させる方法もある

(4)募集人員・期間の決定

● 会社・職場の人材ニーズから要員調査を行い、決定する

全体の要員計画の下、会社および職場の人材ニーズを勘案し、要員調査を行い、どのような分野にどのレベルの能力・知識を持った人材が、どの程度必要なのかを導き出す。その上で、中途採用としての募集人員、および募集から採用するまでの期間を決定する。


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