1. アルバイト・パートとは

現代のビジネスシーンに欠かせない雇用形態

正社員や人材派遣などとともに、ビジネス、サービスを支える重要な労働力である「アルバイト・パート」。その数は全国で1153万人とされる(総務省「労働力調査」平成21年平均)。アルバイト・パートの存在なくしては、成り立たない業種も少なくない。
本稿では、アルバイト・パート採用のポイントや注意点をまとめるとともに、効率的な採用方法や、企業によるアルバイト・パートの採用から活用までを支援する各種サービスも紹介する。
アルバイト・パート・フリーター用語の使い分け
まずは、アルバイト、パート、フリーター、それぞれの用語の使い分けを整理してみよう。そもそも、アルバイトやパート、フリーターは法律的に規定された用語ではなく、慣習的に用いられている呼び方である。法律上は、正社員と同様に「従業員」であり、「パートタイム労働者」という区分になる。しかし、職場での働き方や採用対象とする層の違いによって、「アルバイト」「パート」「フリーター」と使い分けた方が、募集時に分かりやすい。また、採用後の管理にもこの区分けを使った方が便利なため、広く浸透している。
1)アルバイト
明治時代に学生が、学費のために働く際、ドイツ語で労働を意味する「Arbeit」を隠語として使ったことがはじまりで、「アルバイト」という呼び方が一般化したのは戦後である。そのため今もアルバイトといえば、学生の仕事というイメージが定着している。ただし、フリーターの仕事もアルバイトと呼ばれるなど、必ずしも学生に限定するものではない。
【特徴】
- 主力は学生(大学・大学院・短大・専門学校・高校)
- 夕方や週末など授業のない時間帯や曜日の勤務希望者が多い
- 多くの場合、学校卒業と同時に辞める
- パートに比べて勤続期間は短い
- テストや帰省、旅行、イベント、就職活動などで休む傾向がある
- 社会人経験がない、もしくは少ない
2)パート
「パートタイム」が省略されたもので、昭和30年代に百貨店が主婦を「短時間勤務」の販売員として採用したのが始まりといわれている。パートといえばフルタイムよりも短い時間の勤務で、募集対象も既婚女性というイメージが定着している。ただし、募集時に「既婚」「女性」といった制限を設けることはできないので注意したい。
【特徴】
- 主婦層が中心
- 平日の昼間の短時間勤務希望者が多い
- アルバイトに比べて長期勤務の場合が多い
- 子供の病気などで急に休むことがある
- ほとんどが社会人経験者
- 扶養・控除の範囲内で働くケースが多い(※詳細は2章にて)
3)フリーター
1980年代後半にアルバイト情報誌「フロムエー」によって広まった言葉で、「フリーアルバイター」を略したもの。学生と主婦を除き、アルバイトで生計を立てている人を指す。音楽や演劇といった夢の実現や、自由を求めてフリーターを選択した人と、就職氷河期や失業などでやむを得ずフリーターになった人に分かれる。
【特徴】
- 学生に比べて長期勤務が可能
- フルタイム勤務が可能
- シフトの融通がきく
- 企業側からのニーズが高い(採用競合が激しい)
- 音楽・演劇などと併行しているフリーターは、その都合で休む