アルバイト・パートの中には、正社員として働くことを望みながら、やむを得ずアルバイト・パートとして働いている人も少なくない。このため、「パートタイム労働法」第13条では、パートタイム労働者から、通常の労働者(正社員)へと転換するチャンスを整えることを、事業主に義務付けている。
事業主は通常の労働者への転換を推進するため、その雇用するパートタイム労働者について、次のいずれかの措置を講じなければならない。
通常の労働者について、新規学卒者の採用しか行わない事業所では、「1」の措置を講じたとしても、応募できる対象者が限定されているため、全てのパートタイム労働者について措置を講じているとは言えない。このため、別途「1」以外の措置を講ずる必要がある。
「3」の措置を講ずる場合、パートタイム労働者から通常の労働者への転換の要件として、勤続期間や資格などを課すことは、事業所の実態に応じたものであれば問題ない。しかし、必要以上に厳しい要件を課した転換の仕組みを設けている場合は、法律上の義務を履行していると認められないこともある。
パートタイム労働者から契約社員へ転換する制度を設け、さらに契約社員から正規型の労働者へ転換する制度を設ける、といった複数の措置を講じ、正規型の労働者へ転換する道が確保されている場合も、13条を履行したことになる。
「短時間正社員」への転換推進措置を講ずることでも、13条を履行したことになる。「正規型のフルタイム労働者」への転換を希望する短時間労働者の希望に応じて、「短時間正社員」への転換後に、「正規型のフルタイム労働者」に転換できる制度を設けることが望ましい。
正社員への転換を推進するためにも、どのような措置を講じているか、事業所内のパートタイム労働者に予め広く周知することが大切である。
近年の厳しい採用事情に加え、仕事に習熟したアルバイト・パートをいかに長く定着させるかが、大きな課題となっている。勤続の長短を左右する要因は学業や家庭の事情もあるが、仕事や職場への印象や働きやすさが影響していると考えられる。では、企業がアルバイト・パートの定着に向けて工夫すべきポイントはどこにあるのか。アイデム・人と仕事研究所の「パートタイマー白書(2008年)」では、アルバイト・パートに働きにくいと感じる職場環境を聞いているが、その結果を見ると、職場の人間関係や勤務シフトの問題よりも、上位に挙げられているのは評価と賃金反映への不満である。その意味からも、納得できる評価と昇給に対する仕組み作りが求められている。
評価が賃金に反映されない | 26.2 |
---|---|
仕事ぶりに応じた評価がなされていない | 17.5 |
仕事の繁閑によって急な残業や就労時間に短縮が発生する | 15.9 |
上司の指示が明確でない | 14.7 |
年次有給休暇が取りにくい | 12.3 |
また、アルバイト・パートが職場に定着するために企業が行っている施策を見ると、6割近くが働く時間や休みの柔軟性を挙げている。そして、「適性や能力に応じた仕事の付与」「評価の賃金反映」がいずれも5割弱で続いている。アルバイト・パートが担当する仕事の内容や幅の広さは、業種や業態によって大きく異なる。また、長く勤務しても補助的業務の範囲にとどまる場合は、評価や賃金面で働く本人が実感できるような違いを示すことは容易ではないだろう。しかし、そうしたケースも含めて、自分の仕事が会社と自分自身に価値を生み出していることが実感できる何かしらの仕組みを整えること。それが、働き続けたい職場の最も重要な要件と言えるのではないか。
多様な勤務シフトが設定されている | 57.8 |
---|---|
有給休暇の取得や急なシフト変更に対応できる体制が整っている | 56.7 |
適性や能力に応じて仕事が与えられている | 48.8 |
評価制度が確立され賃金に反映されている | 48.2 |
社会保険・雇用保険に加入できる | 47.1 |
*出所(図表1~2):「パートタイマー白書(2008年)」(アイデム・人と仕事研究所)
アルバイト・パートの採用が難しくなっている近年は、外国人を採用するケースが増えている。今後も外国人のアルバイト・パート採用は増えていくと考えられるが、法的に留意すべき点も多い。以下に、そのポイントを整理する。
在留資格の確認 |
|
||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
留学生の採用 |
|
||||||||||
最低賃金・社会保険 |
|
||||||||||
ハローワークへの届出 |
|
最新の人事部の取り組みやオピニオンリーダーの記事をメールマガジンでお届け。
人事・労務などのバックオフィス業務は、長年にわたって非効率かつ煩雑さが...
ソフトウエア開発を行うNTTデータ・グローバル・テクノロジー・サービス...