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アルバイト・パート採用の「実務」【5】今後の課題

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(1)正社員への転換

●パートタイム労働者から通常の労働者へ転換するチャンスを与える

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アルバイト・パートの中には、正社員として働くことを望みながら、やむを得ずアルバイト・パートとして働いている人も少なくない。このため、「パートタイム労働法」第13条では、パートタイム労働者から、通常の労働者(正社員)へと転換するチャンスを整えることを、事業主に義務付けている。


【「パートタイム労働法」第13条のポイント】

事業主は通常の労働者への転換を推進するため、その雇用するパートタイム労働者について、次のいずれかの措置を講じなければならない。

  1. 通常の労働者を募集する場合、その募集内容を既に雇っているパートタイム労働者に周知する
  2. 通常の労働者のポストを社内公募する場合、既に雇っているパートタイム労働者にも応募する機会を与える
  3. パートタイム労働者が通常の労働者へ転換するための試験制度を設ける
  4. その他通常の労働者への転換を促進するための措置を講ずる

通常の労働者について、新規学卒者の採用しか行わない事業所では、「1」の措置を講じたとしても、応募できる対象者が限定されているため、全てのパートタイム労働者について措置を講じているとは言えない。このため、別途「1」以外の措置を講ずる必要がある。

「3」の措置を講ずる場合、パートタイム労働者から通常の労働者への転換の要件として、勤続期間や資格などを課すことは、事業所の実態に応じたものであれば問題ない。しかし、必要以上に厳しい要件を課した転換の仕組みを設けている場合は、法律上の義務を履行していると認められないこともある。

パートタイム労働者から契約社員へ転換する制度を設け、さらに契約社員から正規型の労働者へ転換する制度を設ける、といった複数の措置を講じ、正規型の労働者へ転換する道が確保されている場合も、13条を履行したことになる。

「短時間正社員」への転換推進措置を講ずることでも、13条を履行したことになる。「正規型のフルタイム労働者」への転換を希望する短時間労働者の希望に応じて、「短時間正社員」への転換後に、「正規型のフルタイム労働者」に転換できる制度を設けることが望ましい。

正社員への転換を推進するためにも、どのような措置を講じているか、事業所内のパートタイム労働者に予め広く周知することが大切である。

(2)人材の定着

●働き続けたい職場の要件とは何か?

近年の厳しい採用事情に加え、仕事に習熟したアルバイト・パートをいかに長く定着させるかが、大きな課題となっている。勤続の長短を左右する要因は学業や家庭の事情もあるが、仕事や職場への印象や働きやすさが影響していると考えられる。では、企業がアルバイト・パートの定着に向けて工夫すべきポイントはどこにあるのか。アイデム・人と仕事研究所の「パートタイマー白書(2008年)」では、アルバイト・パートに働きにくいと感じる職場環境を聞いているが、その結果を見ると、職場の人間関係や勤務シフトの問題よりも、上位に挙げられているのは評価と賃金反映への不満である。その意味からも、納得できる評価と昇給に対する仕組み作りが求められている。

図表1:働きにくいと感じる職場環境(上位5項目)(%)
評価が賃金に反映されない 26.2
仕事ぶりに応じた評価がなされていない 17.5
仕事の繁閑によって急な残業や就労時間に短縮が発生する 15.9
上司の指示が明確でない 14.7
年次有給休暇が取りにくい 12.3

また、アルバイト・パートが職場に定着するために企業が行っている施策を見ると、6割近くが働く時間や休みの柔軟性を挙げている。そして、「適性や能力に応じた仕事の付与」「評価の賃金反映」がいずれも5割弱で続いている。アルバイト・パートが担当する仕事の内容や幅の広さは、業種や業態によって大きく異なる。また、長く勤務しても補助的業務の範囲にとどまる場合は、評価や賃金面で働く本人が実感できるような違いを示すことは容易ではないだろう。しかし、そうしたケースも含めて、自分の仕事が会社と自分自身に価値を生み出していることが実感できる何かしらの仕組みを整えること。それが、働き続けたい職場の最も重要な要件と言えるのではないか。

図表2:アルバイト・パートが職場に定着するために有効な企業の施策(上位5項目)(%)
多様な勤務シフトが設定されている 57.8
有給休暇の取得や急なシフト変更に対応できる体制が整っている 56.7
適性や能力に応じて仕事が与えられている 48.8
評価制度が確立され賃金に反映されている 48.2
社会保険・雇用保険に加入できる 47.1

*出所(図表1~2):「パートタイマー白書(2008年)」(アイデム・人と仕事研究所)

(3)外国人採用

●「在留資格の確認」などが必要に

アルバイト・パートの採用が難しくなっている近年は、外国人を採用するケースが増えている。今後も外国人のアルバイト・パート採用は増えていくと考えられるが、法的に留意すべき点も多い。以下に、そのポイントを整理する。

【外国人を採用する際のポイント・留意点】
在留資格の確認
  • 外国人の採用選考時には、「外国人登録証明書」を提出してもらい、「在留資格」と「在留期限」を確認することが必要である。
  • 雇用可能な在留資格は、「留学」「特定活動(ワーキングホリデー)「定住者」「永住者」「特別永住者」「永住者の配偶者」「日本人の配偶者」「家族滞在」である。
  • 「外国人登録証明書」以外に、留学、家族滞在の場合には「資格外活動許可書」、特定活動(ワーキングホリデー)の場合には「指定書」の持参が必要である(いずれも日本の法務大臣が発行)。
留学生の採用
  • 留学生の採用には、以下のような就業時間の上限が定められている。
区分 1週間の就労可能時間 教育機関が長期休業中の1日の就労可能時間
大学等の正規生 28時間以内   8時間以内
大学等の聴講生・研究生 14時間以内
専門学校等の学生 28時間以内
最低賃金・社会保険
  • 外国人のアルバイト・パートであっても、最低賃金法や労働基準法が適用される。そのため、最低賃金や社会保険については、通常のアルバイト・パートと同じ扱いとなる。
ハローワークへの届出
  • 外国人労働者(アルバイト・パート含む)を雇い入れた場合(離職した場合)、氏名・在留資格・在留期間などを、ハローワークなどを通じて、厚生労働大臣へと届け出ることが義務付けられている。

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