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アルバイト・パート採用の「実務」【4】評価と時給

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店舗など職場における業務の効率性、サービスの向上を図るには、いかにアルバイト・パートを活用できるかにかかっている。その中でも、アルバイト・パートをどう「評価」し、「時給」へと反映していくかが大きなポイントとなる。

(1)評価項目の設定

●「仕事」と「勤務態度」の2項目で評価する

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適切な評価を実施し、フィードバックすることで動機づけが図られ、アルバイト・パートのやる気を醸成することができる。その結果、さらなる生産性が図られることになる。そのためにも、明確で分かりやすい「評価項目(基準)」を策定、公開し、各々の達成度に応える「評価システム」の確立が重要となる。なお、正社員と働く動機が違うアルバイト・パートについては、「仕事」と「勤務態度」の二つに分けて評価することが基本的な考え方である。

「仕事」は、職務や仕事内容の実施レベルを見るものである。例えば、外食産業では、「Q:クオリティ(品質)」「S:サービス」「C:クレンリネス(清潔感)」などを評価項目においている。アルバイト・パートに各項目が要求する作業内容やポイントを確認させ、自覚してもらうためにも、日々行う作業レベルでの期待される基準に落とし込むことが重要である。そうしないと、上司や店長が各個人の現状レベルで何ができていないのか、あるいは苦手なのかを把握することができない。

「勤務態度」を評価項目におくのは、出勤状況や多忙な勤務曜日・時間帯へのシフト協力、ミーティングへの積極的な参加など、職場組織のモラルが維持されてこそ、店舗や職場のスムースな運営が可能となるからだ。そうした職場・店舗への貢献度合いを重視して見るのである。参考までに、ある外食店のフロア係の評価表を下記に挙げる。


【外食店(フロア係)の評価表(例)】
「仕事に関する評価」
項目主に見るポイント
3点2点1点
「仕事に関する評価」
品質(Q) 正しい注文伺い、おすすめ、オーダー通し      
サービス(S) お客さまとの挨拶、笑顔、会計、お客さまの見送り      
クレンリネス(C) テーブルと周辺、フロアと周辺、カウンターと周辺      
身だしなみ ユニフォーム、髪、靴      
小計(A)      点      点      点
「勤務態度に関する評価」
信頼性 欠勤、早退、遅刻、スケジュール貢献      
態度 進んで行動しているか、スピード、チームワーク、注意力      
小計(B)      点      点      点
合計(A+B)      点      点      点
店長コメント    
昇給額 ○○点~○○点 → 10円
○○点~○○点 → 20円
○○点~○○点 → 30円

(2)評価を実施する上での留意点

●「説得」ではなく、「納得」させること

アルバイト・パートが早期に退職してしまう理由として、「時給」の低さを挙げる企業が少なくない。確かに、一定の相場を保つことは必要だが、その他にも理由がある。それは時給が低いということより、「こんなに頑張っているのに、その見返りがない」と本人が考えるようになってしまっているからだ。しかし、一度その店(職場)で働こうと決めたからには、最初の時給については少なくとも納得しているはず。そのため、納得のいく評価項目を設定し、きちんとフィードバックすることが欠かせない。

評価を下す上司(店長)は、個人面談で評価表の中から、本人と上司の採点ギャップにある項目を拾い出していく。その際、アルバイト・パート本人から聞くことを主眼に置いて面談を進め、上司として正しい評価基準を説明し、本人に納得してもらうことが大切だ。個人面談では、上司が聞き役に徹するのが基本である。

●時給を上げる時期・回数を工夫する

時給は、上げたからと言って満足するものではない。少し上げれば、次はまたその上を望むようになる。大切なのは、時給のことでアルバイト・パートが不満を持たない状況を保つこと。そのためには、「こんなに頑張っているのに、なぜ上げてくれないのだろう」と不満に思う直前に、昇給を実施することである。アルバイト・パートの時給に対する不満を“ガス抜き”するためには、上げる時期と上げる回数は非常に重要である。

実施の時期は、時給に不満を持つ直前のほかに、アルバイト・パートが集まりにくい時期、辞めやすい時期の直前などが効果的である。また、回数は多いに越したことはない。ある外食チェーン大手では、最低でも年に4回昇給を行うと同時に、昇格した際には「ネームプレートのカラー分け」をするなど、メリハリのある形での昇給・昇格を行っている。

(3)昇給の手順

●ベテランのアルバイト・パートとの話し合いの場を持ち、結果の再修正はしない

アルバイト・パートの場合、必ずしも昇給(昇格)する際の評価期間や対象者が一律とは限らない。必然的に個別対応が多くなるが、その際、以下のような手順を踏んで行う。このような一連の実務は多忙な上司(店長)にとって負担のかかる作業だが、これらを適切に実施することによって、結果的に生産性が向上し、職場(店舗)の運営がスムーズに行われることになる。その点からも、アルバイト・パートを正しく評価することは、上司の最も重要な仕事の一つと言える。

【昇給の手順と留意点】
1.実施の告知 昇給の時期が来たら、掲示板等を使って全員に知らせ、評価する人を募る。
2.評価期間の告知 対象者が決まったら、個人別に評価期間を本人に伝える。1~2週間が一般的。
3.評価の実施
  • 個人別の評価期間の間、評価に当たる上司(店長)は、評価表を元に営業時間中、該当するアルバイト・パートを主に見るポイント(着眼点)を中心にチェックし、点数とコメントを記録する。
  • 評価をするのが直属の上司なら問題ないが、そうでない場合は、被評価者をよく知っているアルバイト・パートの中でも、信頼の高いベテランの人と話し合うことが必要となる。このような機会を持つことで、評価後のトラブルや不満を最小限に食い止めることができる。
  • なお、話し合いの「結果」は原則、再修正しない。再修正すれば、話し合いをした相手の信頼を失うことになるからだ。
4.面談の実施
  • 評価結果を評価表を用いて、上司(店長)が面談を行う。時間は20~30分程度で構わないが、必ず個室(ブース)で行う。
  • 面談を行う前に、評価表に自己採点をさせておく。話し合いが比較可能となり、評価内容のポイントが絞られる。
  • 上司は、「こうすればもっと良くなる」といった前向きな話し合いを心がける。
5.昇給の実施
  • 原則、翌月から支給される時給から、昇給を実施する。
  • 「誰が、いくら昇給したか」を知らせるケースも多い。評価を希望しなかった人も、次回は自分もチャレンジしようという意欲が出て来るからだ。

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