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福利厚生施策の実際

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ここでは広義の人事制度の中から、注目度の高い「福利厚生施策」について、そのポイントを解説していく。

(1)福利厚生の目的・領域

●福利厚生とは

福利厚生施策の実際

福利厚生とは、賃金などの労働条件とは別に、会社が社員とその家族の福祉向上と生活の安定のために行うさまざまな制度や施策のことをいう。福利厚生は、一定の費用を伴うものの、優れた労働力の確保と定着の促進、働く意欲の向上、職場の人間関係の安定、労使の信頼関係の形成などに対して効果がある。

●福利厚生の領域

福利厚生にはさまざまな領域があるが、主なものは以下のとおりである。

【主な福利厚生の領域】
社会保険 国が管理している健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険などに加入し、社員の生活の安定を図る
住宅 住宅に困っている社員に対して、社宅・独身寮などを提供するとともに、持ち家の取得を援助する
医療・保健 会社生活を滞りなく送っていくうえで、健康は非常に重要である。「労働安全衛生法」は、社員に対して定期的に健康診断を実施することを義務付けている。また、大きな会社の中には病院を設置しているところもある
生活補助 衣食を中心に、生活面の補助を行うことも福利厚生の一つの領域である。食堂、給食サービス、売店、社員割引購入、制服・作業服など、生活補助関連の福利厚生は内容が豊富なことが多い
慶弔・共済 社員とその家族の慶弔禍福に対して祝い金や見舞金を支給することは、古くからの代表的な福利厚生である。また、会社側と社員とで共済会を作り、共済活動行っているところも多い
文化・体育・レクリエーション 社員の文化・体育活動を支援したり、レクリエーション活動を補助することも、福利厚生の大きな役割の一つである。社員のクラブ活動・同好会活動に一定の金銭的補助を行っているケースも多い。また、社員旅行も広く行われている
資金貸与 住宅の購入や増改築など、まとまった資金を必要とする社員に対して、資金を貸し付けるというもの
財産形成 財形貯蓄制度や社内預金制度などを実施し、社員の財産形成をバックアップする

(2)法定内・法定外福利厚生

●法定福利費とは

法定福利費とは、福利厚生のために会社が支出する経費のうち、法律によって支出が義務づけられているものをいう。主なものは、以下のとおりである。なお、近年の動向を見ると、現金給与額の微増、社会保険料率の上昇などから、各項目で費用が増加傾向にある。

【法定福利費】
健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、労災保険料、児童手当拠出金、労働基準法上の休業補償のうち、企業が負担する分(従業員負担分は除く)

●法定外福利費とは

福利厚生のために会社が支出する経費のうち、会社の任意にもとづくもので、次の二つに区分される。近年は全体的に減少傾向が続くが、持家援助や医療・保険、生活補助(育児関連)、慶弔、文化・体育・レクリエーションなどでは増加傾向にあるようだ。

【法定外福利費】
  • 施設の建設、運営などの費用
  • 慶弔金、拠出金など金銭の給付および現物の支給
【福利厚生の体系(主なもの)】
法定福利厚生
  • 健康保険
  • 介護保険
  • 厚生年金保険
  • 雇用保険
  • 労災保険
  • 児童手当拠出金
  • 労働基準法上の休業補償
法定外福利厚生 住宅
  • 社宅
  • 独身寮
  • 持家援助
医療・保健
  • 病院・診療所
  • 健康診断
生活補助
  • 食堂・給食
  • 購買・売店
  • 制服・作業服
  • 通勤バス
  • 駐車場
  • ホームヘルパー派遣
慶弔・共済
  • 慶弔金
  • 共済会制度
  • 保険
文化・体育・レクリエーション
  • 体育館
  • クラブハウス
  • 保養所
  • 海の家・山の家
  • クラブ活動援助
  • 社員旅行
  資金貸付
  • 住宅資金貸付
  • 厚生資金貸付
財産形成
  • 財形貯蓄制度
  • 社内預金制度
  • 社員持ち株会
その他
  • 労働災害の法定外補助
  • 退職金準備セミナー

(3)これからの福利厚生のあり方

●自社なりのスタンス・考え方を持つ

働く人の価値観や雇用形態が多様化していく中、従業員全員に同じような福利厚生を提供しても、効果は期待できない。法定福利厚生は別にして、固定費的な福利厚生費をいかにコントロールし、効率よく配分していくかは、今後の大きな課題である。特に会社に対する帰属意識や一体感を重視する企業では、福利厚生が重要なツールとなる。このような観点から考えられる、これからの福利厚生の基本軸は次のとおりである。

【福利厚生の体系(主なもの)】
自由時間活用型の充実 ワークライフバランスの重要性が叫ばれている現在、プライベートの自由時間をどのように過ごすのかが、社員にとって重要になっている。そのため、メニューに工夫を凝らし、休日・休暇を安く楽しく、かつ有意義に過ごせるような福利厚生が求められている
多様なメニューの提供
(カフェテリアプラン)
価値観やライフスタイルの多様化が進む中、福利厚生に対する社員のニーズも多様化・個別化している。そのため、福利厚生について多様なメニューを用意し、社員のニーズや好みに応じて自由に選択できる「カフェテリアプラン」の充実が進むと考えられる
外部施設・サービスの利用 低成長・低収益の時代が続く中、福利厚生費用も一定の合理化と再構築が必要である。メニューの多様化を図るためにも、外部の施設やサービスの利用拡大を進めることが求められる
雇用形態多様化への配慮 近年、多くの職場でパート・アルバイトや契約社員、嘱託社員、派遣スタッフの活用など、雇用形態の多様化が進んでいる。そのため、これまで正社員が中心であった福利厚生を、非正社員についても充実させることが求められる

(4)カフェテリアプラン

●カフェテリアプランとは

企業内の福利厚生について、従業員のニーズが多様化している。例えば、保養所や寮・社宅を作るといった「箱もの」から脱皮し、さまざまなメニューを提供して従業員自らが選択する「カフェテリアプラン」へと移行するケースが目立つ。

カフェテリアプランとは、会社が福利厚生費をポイントとして従業員に配分し、従業員がそのポイントを使って、用意された福利厚生メニューから自由に選んで利用するという制度。福利厚生費の管理が容易であり、限られた予算内で従業員の多様化したニーズに対応することもできる。結果的に、従業員はやる気が高まり、自ら選んだという満足感も得ることができる。なお、カフェテリアプランでは、従業員一人にひとりに対して一律に支給、補助しているケースが一般的である。

●外部機関にアウトソースするケースが増加

近年では、カフェテリアプランのメニューの決定やポイントの管理などを、福利厚生の代行会社にアウトソースする企業が増えている。手間暇がかからず、従業員のニーズに素早く応えることができるからだ。カフェテリア方式なら、アルバイト・パートなどの非正社員や派遣社員に対しても、相応の福利厚生を提供することができるため、中小企業やベンチャー企業などでは今後、カフェテリアプランを導入するケースが増えてくると予想される。


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