1. 新入社員研修とは

基本的なスキルの他、社会人として働くにあたって不可欠な内容を考える
新入社員研修とは、企業が行う階層別研修のうち、文字通り、新入社員に対して実施される研修のことである。入社後すぐに実施され、学生という身分から社会人となることを目的に、会社組織で職務・業務を遂行する上で必要な知識やスキル、ビジネスマナーなどの基本を身に付けてもらうために行う。
実施期間は企業によって異なるが、一般的には入社後、1ヵ月から3ヵ月程度をかけて行うケースが多い。ただ最近では、1年から場合によっては3年といった長い期間を設けて、基礎からじっくりと行う企業も出てきている。このあたりは、新入社員を戦力としてどのように位置づけているか(即戦力化を求めるかどうか)、人材育成についてどう考えているかなどで異なってくる。
集合研修を行う際は、自社内の施設で集中的に行う企業が多いが、そうした施設のない中小企業などでは、外部機関を利用して行うケースも増えてきている。
新入社員研修の目的

新入社員教育の目的の第一に、学生から社会人への意識改革がある。まだ、社会に出ていない学生に対して、社会人となること(消費者から生産者にかわること)の意味・心構えや、会社組織の一員としての意識を持たせ、社会人として必要となる基本的な知識やスキル、責任ある行動習慣などを身に付けてもらうのである。
その上で新入社員には、仕事や会社への理解を確実に進めていくことが求められる。何より、自分の働く企業をしっかりと理解していなければ、ギャップを感じ、早期離職へと発展することもあるからだ。事実、大卒者では入社後の3年間に約3割が離職しているが、仕事・業務内容に関する事前の理解不足が理由ということが少なくない。このようなミスマッチをなくすためにも、入社前後の教育が大きなポイントとなってくる。
具体的には、仕事を進めていく上で必要な知識や技術はもちろんのこと、企業の業務内容や企業風土・企業理念、就業規則など、企業内で過ごすために必要な事項や社会人として必要なコミュニケーション能力、最低限の礼儀・マナーなど、社会人として働くにあたって不可欠な内容を幅広く教えていく。